「通信文化新報」特集記事詳細
第6743号
【主な記事】大宮JPビルが竣工
次世代見据えた高機能オフィス
日本郵便の不動産事業第3弾
郵政グループの経営基盤を確立するため、日本郵便が進める不動産事業の第3弾となる「大宮JPビルディング」が8月29日、竣工した。東京・丸の内のJPタワー、札幌三井JPビルディングに続くもので、初の単独オフィスビルとして建設された。「次世代を見据えたオフィスビルの新しい“カタチ”」をコンセプトに、柱のない400坪の執務スペースを企業ニーズに応じてデザインできるフレキシブルな整形オフィスフロアとビジネスの機動力を高める大型(約440台収納)の自走式駐車場を特徴としている。転入企業超過数(転入から転出企業を差し引いた統計)が過去10年間全国トップのさいたま市の中心の大宮エリアに誕生した高機能オフィスビルを拠点に新しいビジネス発展のうねりが生まれそうだ。
大宮JPビルディングが建設されたさいたま市大宮区桜木町一丁目は、JR大宮駅から徒歩5分。東京都心から20〜30キロ圏内にあり、JR京浜東北線、埼京線、東北新幹線、上越新幹線など10路線が乗り入れ、東北方面、上信越方面へのアクセス拠点となる。また、東北自動車道、首都高速、東京外郭環状道路、関越自動車道、常磐自動車道、圏央道が近く、自動車移動に便利な場所となっている。
さらに、さいたま市は人口124万人、平均年齢が約42歳と若さあふれる大都市。企業活動の中核となる生産年齢人口比は15歳以上65歳未満が約67%と高く、優れた人材の採用や定着が期待されている。さいたま市の直下には活断層は存在しないと言われ、液状化危険度もかなり低い地域に分類されているほか、津波の心配がないなど災害に強い地域となっている。
竣工に先立ち27日に行われたプレス内覧会で、日本郵便の野村洋不動産部長は「不動産事業を通して地域を支え、地域の価値向上に貢献してまいりたい。今回、大宮エリアの持つ価値をどう向上させて不動産開発につなげるか、を考え抜いた結果、『次世代を見据えたオフィスビルの新しい“カタチ”』を提案しようとなった。自由度のあるオフィスフロアと自走式駐車場は、東京などに本社を構える企業に思いきり使っていただける。おかげさまでオフィスは、ほぼ満室。駐車場は営業車用としてご好評いただいている」と強調した。
また、大宮JPビルディングが提供する価値を、顧客、品質、安全、地域、環境の五つの観点で分類。日本郵政一級建築士事務所の内田洋グループリーダーは「ユーザー企業の利便性を追求したフロアは11分割に小割が可能な柱の無いビッグプレートを採用した。自然採光の変化に合わせてベース照明を制御し、常に最適な照度を提供する。万が一の場合に備え、企業の事業継続を確保できるように、外部ライフライン途絶時に非常用発電機により連続72時間ビル機能を維持できる。郵便局入居により地域の利便性を向上させている。壁面緑化や雨水利用なども行う環境配慮型ビルディングだ」などと説明した。
郵政グループは、中期経営計画「〜新郵政ネットワーク創造プラン2016〜」で不動産事業を収益の柱として育成することを掲げ、ビル、住宅、分譲事業や駐車場事業などを着々と進めている。大宮JPビルディングは、建築物の環境性能を総合的に評価するシステム「CASBEEさいたま」で最高位のSランクをさいたま市大宮区で初めて取得した。現在、新築工事中のプロジェクトに、JPタワー名古屋、新博多ビル(仮称)、博多駅中央街SW計画(仮称)などがある。
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