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2021年5月17日 第7092号

【主な記事】

大阪造幣局で打初め式を開催
郵便制度150周年貨幣


 わが国の郵便制度が4月20日で150周年を迎えたことを記念する「郵便制度150周年記念貨幣」(一万円金貨と千円銀貨)の打初め式が、4月26日に独立行政法人造幣局(大阪市北区天満)で行われた(本紙4月26日付第7089号4・5面の郵政創業150年特集参照)。
 打初め式は、財務省の奥達雄近畿財務局長、総務省の髙野潔近畿総合通信局長、日本郵便の小方憲治常務執行役員近畿支社長、山名規雄独立行政法人造幣局理事長が出席。新型コロナウイルス感染症への予防から、人数を絞った開催となった。
 打初めは、式典会場と記念貨幣の製造を行うプルーフ貨幣工場を通信回線で結び、遠隔操作で行われた。プルーフ貨幣工場は特殊な仕上げを施したプルーフ貨幣を製造するため、空気清浄度が確保された工場となっており、防塵服を着て作業している。工場内の様子はモニター映像で紹介された。
 打初め者4人がそれぞれの始動ボタン前に進み、司会者の合図で右側の一万円金貨幣の赤い始動ボタンを押すと、プルーフ貨幣工場が動きだした。続いて、千円銀貨幣の打初めとなり、左側の緑色始動ボタンを押すと、千円銀貨ラインが稼働。圧延機による連続圧延、千円銀貨のカラー印刷が開始された。その後、打初め者のテーブルに完成した一万円金貨と千円銀貨が運ばれ、記念貨幣を手に取って確認。記念撮影が行われた。
 奥近畿財務局長は「明治4年4月に近代化の基礎となる郵便制度が開始され、150周年の節目を迎えた。記念貨幣を発行するに相応しい機会。貨幣は郵便搭載作業など創設時の様子、郵便制度を象徴する赤い丸型ポストなどが盛り込まれ、歩みを国民に良く感じ取ってもらえる。歴史を積み重ねてきた郵便制度を記念する一翼を担いうるものと考えている」とあいさつ。
 髙野近畿総合通信局長は「創業以来、近代化を促進し、国民生活・経済社会の発展を支える重要な役割として貢献してきた。郵便局は年間163億通もの郵便物を日々配達しており、この新型コロナウイルス感染症拡大の中においても社会インフラとしての機能を果たしている。郵便事業は先人が築き上げてきたかけがえのない財産。2万4000の郵便局ネットワークを活かしながら、ユニバーサルサービスを展開している不可欠の事業」と強調。
 一方「デジタル技術の進展で郵便を取り巻く環境は変わってきている。総務省では新しいデジタルの時代に向けた郵政事業・郵便事業の在り方について議論を進めている。データを活用した既存サービスの効率化、品質の向上や新たなコンテンツの創出、地域に合った郵便局の活用推進、SDGs・ESGの取組み促進など、デジタル時代の将来像を示すことにしている」と語った。
 小方常務執行役員近畿支社長は「本年は造幣事業が創業150周年を迎えたと伺っている。郵便事業が登場してからも150周年。『縁の下の力持になることを厭うな、人のためによかれと願う心を常に持てよ』という、創業の父・前島密の信条を礎に、各時代の期待に応え続けてきたことで、日本郵政グループは今日を迎えることができた。改めて創業の精神に立ち返り、先人たちが築き上げてきた軌跡を振り返るとともに、新たな成長への第一歩を踏み出す年にしたい」とした。
 そして「地域社会に貢献し、お客さまに思いを馳せ、これからも愚直に、誠実に活動を続けていくことが必要と考えている。『すべてを、お客さまのために』を合言葉に、お客さま本位のサービス提供と真心のこもった対応を進めたい」と思いを述べた。
 山名造幣局理事長は「記念貨幣は近代化の基礎となる東京・大阪間で官営の郵便事業が開始されてから150周年を迎えることを記念して発行されるもの。この間、郵便は人と人をつなぐ手段として、暮らしに欠かせない生活インフラとして定着し、果たしてきた役割は計り知れない。今後も郵便が通信手段の一つとして重要性は変わることはない」と話した。
 今回の記念貨幣はプルーフ貨幣で美しい表面と鮮やかな模様を有する特別仕上げ。製造には専用の機械を用いて、特別に磨き上げた材料を使用し、プレス加工用の金型も模様部分は手焼きし、背景部分は鏡面となるよう特殊な表面処理を施した。プレス回数も通常の貨幣なら1回のところ、模様をより鮮明にするために複数回行っており、製造スピードも通常は1分間に約750枚だが、プルーフ貨幣は約3枚と時間と手間をかけて丁寧に製造されている。発行枚数は一万円金貨が2万枚、千円銀貨は5万枚。


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