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2021年6月14日 第7096号

【主な記事】

収益性と公共性の両立を
山内郵政民営化委員長が就任会見

 郵政民営化委員会の山内弘隆委員長は6月3日、就任会見を行った。山内委員長は「主な任務は郵政民営化法に従い、3年に一度の検証で内閣総理大臣に、金融2社の新規業務の認可に対しては総理、総務大臣、金融庁長官に意見を述べることと認識している。他の委員と共に郵政民営化の推進に向けて力を尽くしたい」と抱負を述べた。

■山内委員長は公共経済や公共事業が専門。郵政グループに問われている公共性と収益性について今後、委員会でも議論されると思うが、どのように考えているのか(通信文化新報)。
 学生の頃から公益事業を専門にしてきた。1980年代から3公社改革問題があった。大きな変化は国鉄がJRになった時。公益性と収益性が問われ、どのように調和させていくかが問題になった。収益を上げながら公益性を維持する仕組みは日本郵政グループにとっても必要なこと。 国鉄とJRの関係の時も、企業の経済価値や市場価値をどう上げていくかという中で、社会的見方がずいぶん変化したと思う。
 新型コロナウイルス感染症を契機に、企業に求められるもの、社会的に求められるものに対して、市民や投資家も含めて、見方が変わりつつあると考えている。その中で公共性と収益性を模索していくことではないか。

■日本郵政グループの中期経営計画では、金融2社の全株売却後も一体性を維持するイメージだが、独立した上場企業がバラバラになって、現実的に可能なのか。
 JP改革委員会で経営戦略を勉強した。研究者が集まりいろいろと議論したが、グループとしての一体性や戦略を持っていくこともあり得ると思う。誰が株主になるかは分からないが、現在のビジネスモデルは郵便局という拠点を使いながら、金融2社が存立していくことが前提だ。
 今後、法的にどうなるかは分からないが、郵便局も金融2社もユニバーサルサービスの義務がある。営業など実態面での協力がなされていくのではないか。郵便局ネットワークが金融2社にとって、どのように魅力的なものになっているのかという中で、一体的な経営、グループとしての機能が維持されるのではないか。

■日本郵便は減益になっているが、委員会として危機感はあるのか。
 日本郵便が業績を上げる、社会に奉仕していくことも含めて、社会的な存在を大きくしていくことが重要。衰退した地域を考えた時にも意義がある。社会サービスの中で、維持できなくなっていくサービスについて地域として考えた時に、やれることはある。すぐに儲かることはないので、費用負担を考えながら、事業として拡大していく。一方でデジタルと融合しながら、役割を果たすことに成長があるのではないか。

■楽天と日本郵政グループとの連携は期待もあるが、テンセントの出資はマイナスという声もあるが。
 楽天の持つデジタル技術やネットワークをEコマースや配送に生かしていくと、大きなメリットが生まれる。楽天と日本郵政は、違った組織風土を持っている。良い所を引き出すにはかなりの意思疎通がいる。そういう土台も必要。
 これからは個人情報が重視される。郵政の経営の中で個人情報をどのように活用するのか。リスクのある中でいかに成功に結び付けるのか。郵政グループとして提案してもらいたい。

■全国郵便局長会は人事に影響力を持っていると言われているが、郵便局ネットワークで何をしていくかについて、考えを共有すればいいと思うが。
 マスコミで報道されていることは知っているが、私自身、十分に理解していないところがある。これから勉強させてもらい、有効であれば生かしていき、問題があれば意見を述べていきたい。


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