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2021年10月18日第7114号

【主な記事】

拠点集約、顧客担当制に
新しいかんぽ営業体制を構築

 日本郵政グループ4社(日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)は「新しいかんぽ営業体制」について9月28日、発表した。新体制では、コンサルタント(渉外社員)のいる郵便局を3分の1に集約するとともに、訪問販売は顧客ごとの担当制にする。郵便局は投資信託やその他の金融商品、保険商品は主にコンサルタントが担うことで、棲み分ける。
 新体制への移行の背景には、かんぽ営業の不適正募集やかんぽの保険商品と投資信託の横断販売で問題が起き、営業管理や商品の専門知識などが課題になっていたことがある。新体制により「信頼回復を継続して取り組むだけでなく、よりお客さまとの信頼関係を進めたい」という。
 顧客ごとの担当制については、これまで一人の顧客に、コンサルタントと郵便局の社員ら複数の社員が保険契約を行っていたが、新体制では専任のコンサルタントに一本化。顧客を訪問できるのは専任の担当者だけとなる。専門性により募集品質を高め、多様化する顧客ニーズにきめ細かに対応するのが狙い。
 販売面では商品の担当を分け、かんぽ生命商品とアフラック商品は専任コンサルタント、投資信託、変額年金保険、引受条件緩和型医療保険、自動車保険、JP生活サポート保険などは郵便局の担当者が取り扱う。保険手続きや保険金の請求は従来通り、郵便局窓口でもできる。
 郵便局で担当していた顧客は、コンサルタントに引き継がれるケースも生じる。コンサルタントがカバーできない地域は、郵便局単独で保険サービスを提供することになり、郵便局単位で専任の担当者を置く。
 コンサルタントを置く拠点は、現在2061局あるが、これを623局に集約する。来年1月以降、段階的に進めていく。 その理由として「保有契約や人口などの市場性」や「かんぽ生命の指揮命令の下、しっかりと管理すること」を挙げる。
 約1万2000人のコンサルタントを対象に、来年4月からは日本郵便からかんぽ生命に兼務出向する。現在、本人の意向も確認しつつ最終調整をしているという。
 通信文化新報は、新しいかんぽ営業体制の発表会見と9月30日に開催された日本郵政の増田寛也社長の会見で質問した。

■新体制の狙いは。
増田社長 質が高く、不祥事に繋がらない、お客さまが望んでいる商品を的確に提案できること。保険のセールスには高度な知識が必要で、集約により研修のレベルアップや管理監督にも対応しやすくなる。コンサルタントがお客さまとの関係をきちんとできるような形にした。

■担当が分かれているのは、利用者にとって不便はないのか。エリア局のリソースを十分使い、グループのシナジー効果を上げることにマイナスの影響はないのか。
増田社長 窓口で要望を聞き、コンサルタントに伝えることを基本に置いているが、問題は窓口とコンサルタントとの連携がうまくできるかどうか。スムーズな役割分担や連携が重要になる。コンサルタントを置く拠点が集約されると、カバーできないところもあるが、サービスに取り残されることのないように準備をしていきたい。

■保険は顧客ごとの担当制にするということだが、渉外社員とエリア局社員との間で顧客がバッティングしている場合、どのようにして決めるのか。
担当者 担当制は良い所も悪い所もあるが、契約ごとにしたために弊害も出た。担当制にするに当たり細かいルールをしっかりと設定しなければならない。顧客情報の管理など会社全体で決めていきたい。渉外社員とエリア局の社員との間では、最後にお客さまが加入した郵便局をベースに担当してもらうことを基本にしたい。

■エリア局の営業社員はお客様を訪問することはあるのか。
担当者 エリア局の渉外社員は拠点集約の対象になる。窓口での募集活動はないわけではないと思う。例えば、コンサルタントが担当している顧客に郵便局で話をしてしまうケースもあると思うが、その場合、お客さまが担当者を選ぶのではなく、会社の決めたルールに基づきたい。離島などコンサルタントが行きにくいエリアは窓口でサービスを提供する。投資信託などでは窓口の担当者が顧客宅を訪問することになる。

■ルールはいつ頃決まるのか。
担当者 新体制について現在、社員に説明しているところ。基本的な意見を踏まえ、年末から年始にかけて取りまとめ、来年4月に向けて取り組みたい。
(永見恵子)


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