「通信文化新報」特集記事詳細
第6908号
【主な記事】「日本郵政キャピタル」設立
収益拡大へ成長企業に出資
日本郵政の長門正貢社長は10月30日の記者会見で、成長性の高い会社への出資を行う「日本郵政キャピタル株式会社」を11月1日に設立することを明らかにした。トータル生活サポート企業としての「新事業の種」を探すことが目的で、中長期的なグループ収益の拡大を図っていく。開始後1か月が経った郵便局のみまもりサービスについては、約2000件の契約となっているとした。また、西室泰三前社長が10月14日に逝去したが「郵政グループの発展に多大な功績を残された。謹んでご冥福をお祈り申し上げる」と哀悼の意を表した。
日本郵政キャピタルについて「日本郵政グループは中期経営計画を踏まえて、トータル生活サポート企業を目指した様々な取組みを行っているが、持続的に発展し安定的な利益を確保していくためには、既存事業のみでなく、時代のニーズに則した新たな事業を育成していくことが必要不可欠」とし、「新事業の種を探すことを目的に、日本郵政グループのネットワークやブランド力などを活用して成長が期待できる企業に投資を行う」と述べた。
資本金は15億円で日本郵政100%出資の子会社として11月1日付で設立した。代表取締役社長には、かんぽ生命の千田哲也専務執行役が就任。千田氏は日本郵政の専務執行役と新会社の社長を兼務する。
当初の社員は6人だが「外部からM&Aの人材を採用する用意もある」とした。
記者からの「投資先はベンチャー企業に限定されるのか、運用の面もあるのか」との質問には、長門社長は「新しいことにトライしていく企業が投資対象になるという意味では絡んでくるが、今回の狙いはあくまでもトータル生活サポート企業としての日本郵政グループが、今後も成長発展していく方向に沿った(新たな事業の)種になる企業が対象になる」とした。
また「運用の一つとしてということは、結果的に何らかのリターンがあるかもしれないが、狙いはトータル生活サポート企業として発展に資するM&Aへのトライが主旨」と強調した。
設立への経緯については「日本郵政の企画部門でM&Aを検討する部隊がいて、かねてよりグループの持続的成長に資するものがあれば聖域なく考えてきたが、机上で検討していても的確な把握が十分できなかったという点もある。具体的に買って検討することも大事で、リスク分析もした上での将来のビジネスの種探しの一環」とした。
さらに「トール社のようなM&Aの大型案件に際しては、相応のノウハウがないとスムーズに成功に導けないということもある。今回の対象は小さい案件になるが、こういうことも通じてノウハウを蓄積していきたい。将来、グループをしょって立てる可能性のある若い人を経営者として担ってもらうということも考えている。グループを支えてもらうという人材の育成にもなる」と意義を述べた。
具体的な分野については「広くトータル生活サポート企業に資する業種であれば聖域なく検討したい。リターンが上がればよいというファンド的なものに投資する狙いはない。投資先の企業から見ても、日本郵政グループのブランドイメージや2万4000の郵便局ネットワークを活用することにメリットがある企業もあるだろう」とした。
投資額などについては「1億円から10億円という感じで考えている。また、100%まるまる買う場合もあるだろうし、事情によってはマイナーな出資に止まることや人を派遣することもある」とし、共同出資も「ありうるだろう。郵政と組むことのメリットを感じてくれる企業に、すでに他の企業の出資が入っているということは十分に考えられる」と語った。
また、11月1日に発行する2018年(平成30)用年賀はがきについて、長門社長は「在庫管理の徹底を図ることなどで昨年より若干少ない約26億枚を発行するが、売れ行きを見ながら追加発行を予定、最終的には前年並みの販売を目指す。年賀はがきは12月15日から1月7日までに限り52円で差し出すことができる」と、多くの利用を呼びかけた。
郵便局のみまもりサービスが始まって約1か月が経つが「2000件くらいの契約」になっていることを明らかにした。
このほか、10月28日に東京オリンピック1000日前を迎えたことから、東京2020オフィシャル郵便パートナーの日本郵便が「東京2020公式ライセンス商品」を11月1日から販売すると発表した。
東京オリンピック、パラリンピックのエンブレムピンバッジ(648円)、ボールペン(702円)、シャープペン(702円)、ミニタオル(648円)8種類で全国1000局の郵便局で販売している。
【日本郵政 役員異動】
=11月1日付=
▽専務執行役〈特命担当〉千田哲也(かんぽ生命専務執行役)
【かんぽ生命 役員異動】
=10月31日付=
▽(執行役の退任)専務執行役・千田哲也
=11月1日付=
▽専務執行役〈新担当=営業推進部、営業指導育成部、エリア本部、法人営業開発部担当執行役補佐〉井戸良彦▽常務執行役〈総務部、文書法務部、融資部〉安藤伸次▽同〈事務企画部、システム管理部、システム企画部、新契約部・契約サービス部・支払部・保険金部・支払サービス推進部の担当執行役補佐〉廣中恭明
▽同〈新契約部、契約サービス部、支払部、保険金部、支払サービス推進部、法人営業開発部、事業企画部担当執行役補佐〉鈴川泰三
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