コラム「春秋一話」

 年/月

2020年11月23日 第7067号

渋沢栄一の「道徳経済合一」

 真の成功とは「道理に欠けず、正義に外れず、国家社会を利益するとともに、自己も富貴に至る」ものでなければならない。「近代日本経済の父」「日本資本主義の父」と言われる渋沢栄一が改めて脚光を浴びている。今年は生誕180周年となる。昨年4月には、新一万円札の肖像に決まり、2024(令和6)年の発行が予定されている。来年のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公でもある。
 紙幣の肖像では、渋沢が初代の紙幣頭(後の印刷局長)だったこともあり、実は過去に何度も候補にあがったという。1963(昭和38)年に発行された千円札では、最終選考まで残った。伊藤博文が採用されたのはヒゲがあったから。当時は偽造を防ぐためにヒゲがある人物が用いられた。
 渋沢は1840(天保11)年2月13日(新暦3月16日)、現在の埼玉県深谷市の農家に生まれ、1931(昭和6年)11月11日に92歳で亡くなった。命日の11日、深谷市内の小中学校では、渋沢の好物だった郷土料理「煮ぼうとう」が給食に出された。JR深谷駅北口の「青淵(せいえん)広場」にある銅像前では献花式が行われ、地元出身の偉人の業績をしのんだ。
 明治政府に出仕、退官後は近代日本のあらゆる産業を興したと言ってよいほどの活躍をした。半面、単なる利益を目指すだけの実業家ではない。文化活動の支援、障がい者や貧しい子どもたちの施設を助け、女子教育や国際交流にも力を尽くした。
 渋沢の著書「論語と算盤」が有名だが、人生の模範としたのが論語。いつもポケットにしのばせていたという。論語を道徳、算盤を経済と普遍化した概念に置き換え、「道徳経済合一」を説き続けた。道徳と経済の一致で、企業倫理の徹底を求めた。企業経営自体も社会事業として捉え、利益を社会に還元するという信念。道徳観や倫理観の欠如から不祥事を起こしている企業が多い昨今、改めて注目される。
 生涯関係した企業が500とされるが、それ以上に600の福祉・教育・学術などの社会公共事業にも関わり続ける。近代化の中で取り残された施設の構築などを援助する。日本の社会福祉事業の創始者との一面があったことは注目されよう。
 社会福祉事業への端緒となったのが東京養育院の改革。東京都板橋区に東京都健康長寿センターがあり、お年寄りの健康を支えているが、そこには以前、職を失った旧士族、貧しい人を収容するだけの施設があった。改革に取り組み、手に技術を持たせて社会復帰を支援、子どもには教育の機会を与えた。
 「困った人々を助けるのは社会を治めるのに必要な義務。社会が手を差しのべないと経済が発展しない。それは本当の国家ではない。貧民が多くなるのは社会的な経済合理性に合わない」と、亡くなるまで院長を務め、貧しい人々の救済に奔走した。保育所の構想も持っていたという。終生、福祉事業活動を続けた。新自由主義によって格差が拡大している現在を、渋沢はどう見るのだろうか。
 「救護法」の制定にも尽力、1929(昭和4)年に実現する。貧困の救護を国や自治体に義務づけ、現在の「生活保護法」につながるものだ。しかし、政府の緊縮財政政策のため実施は延期された。91歳の渋沢は病をおして内務大臣を訪ね、「渋沢の最後のお願いです。救護法を実施してください」と頼んだ。実施を見ることなく31年に永眠したが、その熱意は翌32年に実現した。
 「仁義道徳と生産殖利とは元来ともに進むべきものであります」。長期的視座で日本の近代社会を見据えた事績や思想は、決して古びてはいない。企業の果たすべき責任として、視点の先には常に公益の追求があった。資本主義に内在する貧富の拡大をいかに調整していくか、社会福祉政策こそ最大の利益追求という観点からも、現在のセーフティネットの在り方を考えさせられる。
 また「郵便の父」前島密とも交流があった。1869(明治2)年の春、渋沢が静岡で企てた商法会所へ前島が訪ね、これから先の世について意見交換をしたという。その後、共に明治政府に出仕、親交を深めた。渋沢は「独創的な考えを持ち、応用の才を発揮し、新機軸の種々の方法を出す人物」と、前島に大いに敬服している。
 こうした事績を知る「渋沢栄一伝~道理に欠けず、正義に外れず」が11月1日に発刊された(ミネルヴァ書房、2400円+税)=写真=。渋沢資料館の井上潤館長が、多面的な魅力を語る。東京都北区にある渋沢資料館は、かつての渋沢邸跡地に建つ。事績に関する資料を収蔵・展示している。
 また、東京支社では北区が広告主となった広告付年賀はがきとフレーム切手「近代資本主義の父 渋沢栄一」を発売している。多くの人に渋沢の事績を知ってもらうことは意義深い。
(麦秀の嘆)

2020年11月16日 第7066号

肥満の男性が33%に、増加傾向

 成人男性の肥満が一段と進んでいる。厚生労働省が2019(令和元)年の「国民健康・栄養調査」の結果を10月27日に公表した。健康増進法に基づき、国民の身体や栄養素摂取量、生活習慣を把握することを目的に毎年実施している。19年は4465世帯を無作為に抽出し、2836世帯から回答を得た。
 BMI(Body Mass Index)の25以上が肥満とされる。BMIは体重と身長から算出する肥満度を表す体格指数。肥満の割合は男性33.0%、女性22.3%。09年からの10年間では、男性が13年まで1.9ポイント減だが、その後は4.4ポイントも増加した。女性は13年まで0.5ポイント増、その後は2.0%ポイント増と有意な変化は見られなかったという。男性のみがなぜ増えたのか、厚生労働省は今後の分析が必要としている。
 年代別の肥満の割合は、男性の40~49歳が39.7%、50~59歳が39.2%、60~69歳が35.4%と高い。女性は60~69歳が28.1%、70歳以上が26.4%、50~59歳が20.7%。一方で女性の20歳代の20.7%をやせている人が占めるのも気になる。
 肥満の人に食や運動の習慣を改善する意思の有無も質問した。食習慣では「関心はあるが改善するつもりはない」が最も多く、男性は25.0%、女性は25.1%。「改善することに関心がない」と合わせると男性39.3%、女性33.1%を占める。運動習慣でも「関心はあるが改善するつもりがない」が最多で、男性24.4%、女性27.7%。「関心がない」との合計では男性34.9%、女性も36.3%。
 肥満でない人を含めて1か月~半年以内に食や運動習慣を改善する意向がある人に、妨げとなっていることを聞くと、「仕事(家事、育児)などで忙しくて時間がない」が最多だった。「面倒くさい」「外食が多い」「自分を含めて家で用意する者がいない」「経済的に余裕がない」なども理由となっている。
 生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている人の割合は、男性で14.9%、女性が9.1%。リスクを高める飲酒とは1日当たりの純アルコール摂取量が、男性で40グラム以上、女性で20グラム以上の場合。10年からの推移では、男性はほぼ横ばいだが、女性は増加している。習慣的に喫煙している人は男性27.1%、女性7.6%。この10年間でいずれも減少した。
 定期健診でメタボリックシンドロームと指摘されても、なかなか生活習慣を変えられず、また禁煙に何度も挑戦した経験のある人も多いだろう。運動不足や食べ過ぎなどで内臓脂肪が増えると動脈硬化が進行しやすい。日本人の死因で多い急性心筋梗塞や脳卒中などを発症するリスクが高まる。新型コロナウイルス感染症の影響で家飲みも増えたと言われる昨今、生活習慣を見直す良い機会にしたい。
 「国民健康・栄養調査」では災害時に備えて非常用食料の用意状況も聞いた。用意している世帯は53.8%だが、地域ブロック別に見ると差がある。最も高いのは関東Ⅰ(埼玉、千葉、東京、神奈川)で72.3%。次いで東海(岐阜、愛知、三重、静岡)が60.6%、関東Ⅱ(茨城、栃木、群馬、山梨、長野)が57.0%。最も低いのは南九州(熊本、宮崎、鹿児島、沖縄)で33.1%。北陸(新潟、富山、石川、福井)が34.0%、近畿Ⅱ(奈良、和歌山、滋賀)が36.5%となっている。首都圏直下型や東南海地震が想定されている地域は関心が高い。
 非常用食料を備蓄している世帯のうち、3日以上が69.9%。種類は主食(レトルトご飯、乾燥させた加工米、乾パンなど)が80.0%、副食(肉や魚などの缶詰、カレーやシチューなどのレトルト食品)が79.0%、飲料(水やお茶など)が90.3%である。
 なお、地域のつながりに関する状況についても調査しているが、「お互いに助け合っている」と思うのは50.1%、「地域の人々のつながりは強い」は40.2%。どちらも年代が高くなるほど思うと回答した割合が高い。社会活動への参加は「町内会や地域行事など」が男性42.8%、女性43.4%、「ボランティア活動」「スポーツ関係のグループ活動」「趣味関係のグループ活動」などは、いずれも2割程度だった。
(和光同塵)

2020年11月9日 第7065号

生活の充実と運動・スポーツ

 前回の東京オリンピックが開催されたのは1964(昭和39)年、当時と比べて2019(令和元)年の10~19歳の青少年の体格は、男女ともに身長、体重ともに大きく向上している一方、握力は14歳まではほとんど差が見られないものの15歳以上は下回っているという調査結果が明らかになった。
 スポーツ庁が10月18日に「令和元年度体力・運動能力調査」の概要を公表した。64年から毎年実施し、2019年は6~79歳の約6万3000人を調査。来年に延期となっているが、再び東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから前回と比較したという。
 50メートル走、持久走、ボール投げも比較。50メートル走はいずれも男子は17歳、女子は14~15歳でピークに達し、加齢とともにゆるやかに低下するが、記録は現在の方が良かった。持久走は大きな差はないが、ボール投げは前回が上回った。身長や体重といった体格は向上しているが握力が低下、ボールを投げるという経験も少なく、体の動かし方が身についていないのではないかと指摘される。
 また、前回の開催を経験した世代は、その後も体力や運動能力の高い者が毎年増加しているという。経験していない世代、特に40代前半の女性は低い値のまま推移している。経験した世代、していない世代ともに体力・運動能力の評価が高いのは、当然のことながら週1回以上の運動を行っている。
 小学生(6~11歳)でも入学前の幼児期に外遊びをよくしていた子どもは、日常的に運動をして、体力も高いという結果だ。幼児期に外で身体を動かして遊ぶ習慣を身につけることが、運動習慣の基礎を培い、体力向上の一要因になっていると考えられる。幼児期の外遊びは重要。
 青少年期の子ども(15と18歳)についても、日常的に運動・スポーツを実施している者の多くが「達成意欲(何でも最後までやりとげたいと思う)」が高い。達成意欲と運動習慣・体力に因果関係が見られるという。
 成人(20~79歳)の運動とストレス解消効果では「大いに感じる」とする人が多い。日常的な運動・スポーツのストレス解消効果を高く評価している。効果を肯定的に捉えている人は、年代や男女を問わず90~97%にも達した。ただ、年代によって意識と行動に差がある。
 週1回以上の割合は、男性の30~54歳、女性の20~49歳で50%を下回る。運動の効果に対する意識が実際の行動に結びついていない。仕事や子育てで忙しく、運動の時間がなかなか持てないのかも知れない。働き方の見直しや運動のできる環境整備が求められるだろう。
 生活の充実にも運動は深く関わる。比較的運動している人では、充実していると感じる割合が高い。週1回以上運動・スポーツをしている人は、毎日の生活が充実していると回答した割合が、男女ともに全ての年代で高くなっている。
 生活の充実では、高齢者(65~79歳)について日常生活の基本となる歩行との関連について分析。男女とも生活が充実している人は6分間で歩行できる距離が長い。男性で①充実は619メートル②まあ充実は611メートル③あまり、全く充実していないは599メートル。女性では①573メートル②577メートル③566メートルとの結果だった。
 運動・スポーツの日常的な実施は、長い時間を歩くことに代表されるように全身の持久力に影響を及ぼす。人生100年時代と言われるが、いかに「健康寿命」を伸ばすかが重要。改めて運動・スポーツの効果を考えてみたい。
(和光同塵)

2020年11月2日 第7064号

デジタル後進国を脱せられるか

 本紙8月3日号の本欄で、特定定額給付金の支給にあたり日本のマイナンバーカードが諸外国における同様のカードとの違いが明確になったこと、日本のデジタル化が遅れていることを話題にした。
 「オンライン申請のために行政窓口に行列」「FAXでコロナ感染者数を把握」など、今回のコロナ禍で日本における様々なシステムがデジタルでなくアナログで行われていることが明らかになった。
 それから1か月ほどの間に、国内では大きな動きがあった。コロナウイルスの感染者数は第2波の只中にあり、減少する目処が立たないままであったが、8月28日、電撃的に安倍晋三首相が自身の健康問題を理由に辞任を表明。その後、自民党総裁選に立候補した菅義偉氏が9月14日に総裁に選出され、16日に開催された臨時国会で首相に指名され、第99代内閣総理大臣となった。
 同日夜、初の記者会見において菅首相は「規制改革を政権のど真ん中に置いている」と述べ、「複数の省庁に分かれている関連政策を取りまとめて強力に進める体制としてデジタル庁を新設する」と話し、平井卓也衆議院議員をデジタル改革担当大臣に任命した。
 平井卓也議員は、2018年10月に発足した第4次安倍改造内閣で情報通信技術(IT)政策担当大臣として初入閣しているが、それ以前にも自民党内でIT戦略特命委員長をつとめ、2015年に制定された「サイバーセキュリティ基本法」制定の中心となったと言われている。
 日本国内において行政サービスのデジタル化、いわゆるデジタル・ガバメント(電子政府)の構想が初めて登場したのは2001年に森喜朗首相(当時)が提示した「e-Japan戦略」である。このとき「国が提供する実質的にすべての行政手続きをインターネット経由で可能とする」方針が示されたが、それから20年経ち、掛け声だけで何も進んでいない政策だったわけである。
 9月末にスイスの国際経営開発研究所は、2020年版の「世界のデジタル競争力ランキング」を発表した。
 このランキングは、政府や企業が変革に向けどれだけ積極的にデジタル技術を活用しているかを示したもので、知識、技術、将来への備えの3項目で評価している。
 米国が3年連続で1位になっているが、日本は昨年の23位からさらに順位を落とし27位、インドネシア(2位)、香港(5位)、韓国(8位)、中国(18位)と比べアジアの中でも後進国であることがわかる。
 90年代までの日本はIT分野でも工業製品でも世界標準レベルのものを供給していた。それがわずか20年でデジタル化においても世界の後進国のレッテルを貼られ、一人あたりのGDPでも世界2位から26位まで落ちているのが現状である。
 日本郵政グループ内においても、9月30日に行われた会見で、増田寛也日本郵政社長が「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室を新たに設置し、抜本的なデジタル化によって業務の効率化やサービスの向上を図る」と発表した。体制を整えるのは当然のことだが、日本郵便社内ではいまだに民営分社した際に所属していた会社によって20系(旧郵便事業会社系)、30系(旧郵便局会社系)と区分けがあり、社員の勤務管理などが統合されていないと聞く。
 デジタル化推進においては、国民にとってどうか、現場で働く社員にとってどうかということが最も重要なことだろう。今後の日本、また日本郵政グループ内におけるデジタル化の推進に注目したい。
(多摩の翡翠)

2020年10月26日 第7063号

ちょっとした気遣いが癒やしに

 遠い昔、郵便局の集配業務をしていた。まだ郵政省の頃だ。規模の大きい郵便局で、地下の駐車場には配達用のバイクが相当数あった。
 日々、道順組立を済ませた郵便物をファイバーに入れて台車に載せ、エレベーターで地下の駐車場の自分のバイクのところへ行き、キャリーボックスに郵便物を積んで出発する。その際、郵便物を載せてきた台車は、他の人がバイクで出発する際に邪魔にならないところへ置いておく。
 その頃、駐車場では郵便課のSさん(年配の男性)が仏頂面で、いつも配達員が出発した後の台車を集めて、集配課や郵便課へと運ぶ作業を黙々と繰り返していた。
 いつもいる人で、特段気にはしていなかったが、すれ違った際に名札に「主任」という文字が見えた。「郵便課の主任さんなんだな」くらいにしか思っていなかった。
 そんな日々の中、バイクに郵便物を積んでいると、パートの女性がSさんに「おじさん!これ邪魔だからどかしておいて!」というようなことを言っていた。いつになく険しい表情のSさん。それでも、言われたとおりに物をどかしていた。
 その時にふと思った。「規模の大きい職場なので人数も多いし、ましてや他の部署の人となると名前までは分からないだろうな。でも、おじさん、って呼ぶのは失礼じゃないのかな」と。
 ある時、大区分・道順組立作業をしている区分口の上の蛍光灯が切れてしまった。上司に話したら「郵便課のSさんって人に言ってきな。下(駐車場)にいるから」と言われた。
 駐車場へ行くとSさんがいた。そこでふと、これまで見てきたことを思い返した。そして「S主任、集配課の○○といいます。区分口の蛍光灯が切れてしまって、新しい蛍光灯はどこに行けばあるか分かりますか」と話しかけた。
 するとSさんは、それまで仏頂面だったのが優しそうな表情になり「あ、私が持って行きますよ」って言ってくれた。それに対して「いえ、渡していただければ新しいのと交換して、切れた方の蛍光灯をすぐに持ってきますから」と答えると、Sさんは新しい蛍光灯をすぐに持って来てくれ、「すいません、じゃあよろしくお願いします」と笑顔で言ってくれた。
 私は上に戻って区分口の蛍光灯を取り換えて、切れた蛍光灯を持って再びSさんのところへ行き、「交換してきました、これ(切れた蛍光灯)お願いしていいですか。ありがとうございます」と言うと、Sさんは「あとはやって(処分して)おきますよ。ありがとうございます」と答えてくれた。
 その日、仕事を終えて着替えを済ませて帰ろうとした時、たまたまSさんを見かけた。やはり仏頂面だったが、「S主任、今朝は蛍光灯の件、ありがとうございました」と声をかけると、Sさんは表情が柔らかくなり、「あ、いえいえ」と答えてくれた。そして「お疲れさまでした」と会釈をして声をかけ、帰路に着いた。
 その日以降、配達に出発する際にSさんと会った際には「おはようございます」「お疲れさまです」とあいさつし、Sさんも笑顔で返してくれた。
 世の中、いろいろな職場があり、いろいろな役どころがある。必ずしも本人が望んでその仕事をしている、とは限らない。「何で自分がこんな仕事を?」と疑念にかられながら黙々と働いている人もいると思う。
 今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、仕事・職場環境も大きく様変わりしているところも多くあり、ストレスが相当溜まっている人も多いと思う。そうした中で、ちょっとした相手への気遣い、声かけが、お互いにとって癒しになると思う。
(九夏三伏)

2020年10月19日 第7062号

「言葉の乱れ」感じる人が減少

 記事を書いていると言葉の選択に迷うことが多い。果たして間違っていないか、用法は正しいのか、国語辞典や新聞用語の手引は手元に欠かせない。
 敬語について①「先生は講義がお上手ですね」②「就職はお決まりになったのですか」③「深く反省させていただきます」④「規則でそうなってございます」⑤「昼食はもう頂かれましたか」⑥「お客様が参られています」⑦「お歩きやすい靴を御用意ください」⑧「こちらで待たれてください」。
 この中で違和感を持つのは、どの言い方でしょうか?。気になると思う人は④が最も多く81.5%、次いで⑧の81.3%。以下⑦78.0%⑥77.4%⑤67.5%③49.0%②40.5%①32.4%。
 文化庁が令和元年度の「国語に関する世論調査」の結果を9月25日に明らかにしている。普段の生活で接している言葉で、今の国語が乱れているかどうかを尋ねた。今年2~3月に16歳以上の3557人に面接調査した。有効回答数は1994人。
 その結果、「非常に乱れている」は10.5%、「ある程度乱れている」55.6%、この二つを合わせた「乱れている」は66.1%に達した。一方で「全く乱れていない」2.4%、「余り乱れていない」27.8%の「乱れていない」の合計は30.2%。
 「乱れている」は平成11年度調査の85.8%から減少傾向で、前回の26年度の73.2%からは7ポイント減った。年齢別では「乱れている」は40~70代で7割を超えるが、全般的には「乱れていない」が増加傾向にある。
 文化庁では「スマホやSNSの普及で、文章を発信する機会が増えている。本来の意味と違ったものでも、寛容に受け止める人が増えているのではないか」と見ているが、一方で「寛容というより雑になった」との指摘もある。
 どのような点で乱れているかを複数回答で聞くと「敬語の使い方」が63.4%、「若者言葉」が61・3%と高い。「新語・流行語の多用」の34.3%、「挨拶言葉」の32.2%が続く。ちなみに「手紙や文章の書き方」が16.5%、「語句や慣用句・ことわざの使い方」が16.1%になっている。
 一方、「乱れていない」と思う人に、その理由を聞くと「言葉は時代によって変わるものだと思うから」が39.0%、「多少の乱れがあっても、根本的には変わっていないと思うから」が29.9%、「いろいろな言葉や表現がある方が自然と思うから」が20.4%。
 また、①「〇〇活」(婚活や終活など)、②「○○ビズ」(クールビズなど)、③「○○ハラ」(パワハラ、セクハラなど)、④「ガン○○」(ガン見、ガン寝など)、⑤「アラ○○」(アラサーやアラフォーなど)のさまざま語に付く表現も調査している。
 「自分も使うし、他人が使うのも気にならない」が①52.7%②40.7%③54.4%④22.55%⑤33.5%という結果になった。一方で「自分は使わない」は①43.3%②54.7%③39.3%④67.6%⑤58.7%だ。
 慣用句では「手をこまねく」「敷居が高い」「浮足立つ」の意味を聞いた。「手をこまねく」は「準備して待ち構える」が47.4%、「なにもせず傍観している」が37.2%、「敷居が高い」は「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」が56.4%、「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」29.0%、「浮足立つ」では「喜びや期待を感じ、落ち着かずそわそわしている」60.1%、「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」26.1%。
 いずれも後者が本来の意味だが、少数となっている。過去の調査(平成20年度)でも聞いた①②は、本来の意味とされる方が減少している。
 また、「新規まき直し」「雪辱を果たす」の本来の言い方に対し、「新規まき返し」「雪辱を晴らす」と言う人の方が多くなった。これに対し「噛んで含めるように」との本来の言い方は、「噛んで含むように」よりも多い。こちらは20年度調査より増えたのが特徴。
 いずれにしろ時代とともに言葉は変化、新たな言い方が定着してきた歴史もある。しかし、言葉の成り立ちには意味があり、それを知っておくことは教養を豊かにするだろう。
(和光同塵)

2020年10月12日 第7061号

100歳以上が8万人を超える

 人生経験を重ねた長寿を心から祝う「敬老の日」の催しも、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大で、例年とは異なるものとなった地域も少なくない。離れて暮らす親、祖父母に直接会ってのお祝いもできず、電話やSNSで感謝を伝えざるを得ない家庭も多くあっただろう。
 日本郵便では「マゴ写真レター」と称して、スマートフォンから簡単に写真付き往復はがきが送れるサービスを始めている。孫の写真とメッセージを祖父母に届け、受け取った祖父母は孫の写真とメッセージは手元に、返事を書いてポストに投函する。新たなコミュニケーションサービスとして期待される。
 100歳以上の高齢者は全国で8万450人。厚生労働者が「敬老の日」を控えた9月15日に発表した。昨年より9176人多く初めて8万人を超えた。
 老人福祉法が制定された1963(昭和38)年に統計を取り始めたときは153人だったが、1981年に1000人、1998年に1万人、2012年には5万人を超えた。1971年の339人から50年連続で過去最多を更新している。
 男性が9475人、女性が7万975人。88.2%を女性が占める。人口10万人当たりでは63.76人が100歳以上だ。
 都道府県別では島根が127.60人で8年連続の首位。次いで高知119.77人、鳥取109.89人、鹿児島108.86人、山口100.52人。最も少ないのは埼玉の40.01人。こちらは31年連続で最少。愛知41.79人、千葉45.98人、大阪46.72人、神奈川47.42人が続く。
 最高齢は117歳になる福岡市の女性・田中カ子(かね)さん。明治36年1月2日生まれ。2018年7月から最高齢者となっており、ギネスにも世界最高齢記録として認定されている。「美味しいもの食べ、計算などの勉強をすること」が長寿の秘訣という。
 男性は110歳の奈良市の上田幹蔵(みきぞう)さん。誕生日は明治43年5月11日。今年8月から最高齢者。「身体を動かすことが好き」で「自然に身をまかせている」と達観。なお、今年度中に100歳を迎えるのは4万1802人、まさに人生100年時代を謳歌されて喜ばしい。
 また、65歳以上の人口は、前年に比べ30万人増加し、3617万人となった。こちらも過去最多。総務省が9月20日に明らかにした。総人口は1億2581万人(9月1日現在の概算値=総務省)で29万人減少しているが、高齢者は増えている。
 高齢化率(65歳以上の人口の割合)は28.7%、これも過去最高を更新した。男女別では男性が1573万人(男性人口の25.7%)、女性は2044万人(女性人口の31.6%)。
 1947~49年生まれの“団塊の世代”を含む70歳以上では、78万人増加して2791万人。総人口の22.2%を占める。このうち女性だけで見ると25.1%に達し、初めて4人に1人となった。
 高齢化率は201か国・地域で世界最高。2位のイタリア23.3%、3位のポルトガル22.8%、4位のフィンランド22.6%、5位のギリシャ22.3%を大きく上回っている。日本の高齢化率は今後も上昇を続け、71~74年の“第2次ベビーブーム”生まれが高齢者になる2040年には、35.3%になると見込まれている。
 高齢者の就業者数も16年連続で増え892万人。これも過去最多となっている。就業者数のうち高齢者が占める割合も13.3%で過去最高。65~69歳では48.4%が働いている。
 主要国の中でも日本の高齢者の就業率の水準は高い。就業者のうち役員を除く雇用者は503万人、そのうち77.3%の389万人が非正規雇用だ。非正規雇用は10年間で231万人も増加している。
 日本は世界有数の長寿国だが、医療技術の発展や公衆衛生の改善と並んで、誰でも医者にかかれる国民皆保険の役割が大きい。しかし、コロナ危機では多くの高齢者も感染・重症化した。1989年に848あった保健所を469に急激に減少させた影響も大きかったとされる。
 憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと、国民の生存権を保障、国の使命について規定している。日常生活の中でより具体的に実感できる施策が改めて望まれる。
 高齢化社会はますます進展する。医療や介護、さらに尊厳が守られる体制など時代に合わせてさらに充実させることが求められる。
(和光同塵)

2020年10月5日 第7060号

コロナ禍とドラマ「半沢直樹」

 日曜日夜9時からのドラマ「半沢直樹」をご覧になっていた読者も多いのではないだろうか。原作は作家の池井戸潤氏。今回のシリーズは7年前にドラマ化されたシリーズの続編として放送され、先月27日が最終回だったが、視聴率がいずれも20%を超えるという高視聴率だったそうだ。
 池井戸潤氏は1988年に三菱銀行へ入行、7年後に退職し作家を目指す。1998年に「果つる底なき」で江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューを果たし、2011年に「下町ロケット」で直木賞を受賞する。池井戸潤氏の作品の多くは彼自身の銀行員時代の経験を活かしたものであり、後にドラマ「半沢直樹」の原作となる「オレたちバブル入行組」などの作品も銀行員を主人公としたものである。
 2013年に放送されたシリーズは、合併後の銀行を舞台にしており旧銀行派同士の醜い派閥争いが繰り返される中、主人公半沢直樹が同期の友人と連携しながら奔走する姿を描いている。当時の視聴率は軒並み高く、最終回は40%を超え、主人公の決め台詞「やられたらやり返す、倍返しだ」の「倍返し」が2013年の流行語大賞に選ばれている。
 この年の流行語大賞は他に、NHK連続テレビ小説の「あまちゃん」から「じぇじぇじぇ」、予備校のCMから「今でしょ」、そして東京オリンピック招致を呼び込んだ滝川クリステルさんの「おもてなし」が選ばれている。第二次安倍内閣が前年末にスタートし「アベノミクス」も候補に選ばれている。震災から2年が経ち、明るさが戻り始めたことを反映している言葉が多かったと言えるだろう。
 一方、今年7月からのシリーズは当初4月から放送される予定だったが、コロナウイルスの影響で撮影が延期となり、3か月遅れての放送開始となった。その後も撮影の遅れのために休止される週があるなど、コロナウイルスの影響を大きく受けた番組となった。NHKの大河ドラマも放送開始後に1か月以上の中断を余儀なくされるなど、多くのテレビ番組が放送予定や番組内容を変更するなど影響を受けている。
 そのようなコロナ禍の今回の番組だが、ドラマの中の世界は全くコロナウイルスを感じさせない物語となっている。出演者に歌舞伎役者が多いこともあるから余計に感じるのかもしれないが、ドラマの中で語られる台詞の一つ一つが大袈裟であり、大見得の連続である。出演者同士の距離も驚くほど近く、ソーシャルディスタンスを気にしてしまう。
 今回のシリーズも高視聴率であり、多くの方がこの番組をご覧になったわけだが、ドラマの印象はどうだろう。私自身はやや違和感を覚え、前回ほど夢中に楽しむことができなかった。日本人の勧善懲悪もの好きにはまったドラマではあるが、あえて内容を見てみると、役員会は中高年の男性ばかり、それも日本人だけである。派閥抗争と社内政治に明け暮れている世界が描かれ、まるで昭和の時代そのものと言える。
 コロナ禍を意識した面では、当初はなかった「施されたら施し返す。恩返しです。」という台詞が急遽加えられ、医療関係者に感謝を評したいという社会の気持ちを反映したとのこと。過去の時代を描いたドラマではあったが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に向けて新たな価値観を伝え、日本人一人ひとりが自身を振り返るきっかけを与えたドラマだったと言えるのかもしれない。
(多摩の翡翠)

2020年9月21日 第7058・7059合併号

時代やニーズに合わせアレンジ

 音楽の世界ではよく、カバーソングという言葉を耳にする。過去に発表された曲を編曲、演奏、歌唱して発表することだが、有名なところを振り返ってみよう。
 フォークグループ・かぐや姫の「なごり雪」をイルカがカバーし大ヒット。時代を越えて卒業式の定番ソングとなっている。
三木聖子が歌った「まちぶせ」を、後に石川ひとみがカバーしヒット。さらにこの曲、作詞・作曲を手掛けた荒井由実本人もレゲエ風にアレンジし、セルフカバーしている。
 グループ・サウンズ(GS)・ヴィレッジ・シンガーズの「亜麻色の髪の乙女」を島谷ひとみがカバー。ヴィレッジ・シンガーズのリリースが1968年2月25日、島谷ひとみのカバーリリースが2002年5月9日。実に34年以上もの時を経ての大ヒットとなった。
 演歌歌手・坂本冬美がビリー・バンバンの「また君に恋してる」をカバー。焼酎のCMでも流れてヒットした。
音楽家・大瀧詠一が作詞・作曲した「夢で逢えたら」という楽曲は、歌手・吉田美奈子が最初に発表して以降、ラッツ&スターをはじめ数多くのアーティストがカバーしている。
 国内だけにとどまらず、ヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」を西城秀樹が「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」としてカバーし大ヒット。サザンオールスターズの「愛しのエリー」をレイ・チャールズが「Ellie My Love」としてカバー。
80年代後半に彗星のように現れたアイドルデュオ・WINKのデビュー曲「愛が止まらない」は、カイリー・ミノーグのカバー曲だ。平井堅は既製のアーティストの楽曲ではなく、童謡「大きな古時計」をカバーし、大きな話題となった。
 徳永英明は女性アーティストの曲をカバーしたアルバム「VOCALIST」をリリースし、いくつもの賞を受賞するなど、高い評価を得ている。
 最近では、2018年にDA PUMPの「U.S.A.」が大ヒット。この曲も1992年に、イタリア人歌手ジョー・イエローが発表した「U.S.A.」のカバーだ。「いいねダンス」が浸透し、「ダサカッコいい」と称されてブームを巻き起こした。
一方、テレビドラマの世界では、リメイクという言葉がよく使われる。山崎豊子の長編小説をもとにドラマ化された「白い巨塔」。田宮二郎主演で連続テレビドラマ化されたのをはじめ、何度かテレビドラマ化され、2003年には唐沢寿明主演で連続テレビドラマ化されている。
 反町隆史主演で1998年にドラマ化された「GTO」は、2012年にEXILEのSKIRA主演でリメイクされている。他にも、映画やゲームの世界でもリメイクはいろいろと行われている。
 どのカテゴリーにおいても、オリジナルがやはり一番良い、という人もいれば、カバーやリメイクバージョンの方が好きだ、という人もいる。今までになかった新しいものをクリエイトし、それを世に送り出すのも良いが、すでにあるものを改めて見つめ直して手を加え、アレンジをして、新たなオリジナリティを付け加えるのもまた良いものだ。
 カバーやリメイクは上述のようなものだけに限らず、文化や歴史、伝統芸能など、あらゆるものでも可能ではないだろうか。
 かつて取り扱っていた商品、サービスを、時代に合わせ、さらには将来的に予想される変化にも対応していけるような形でリメイクして、世に送り出していけば、先人たちの思いが過去から現在、そして未来へと繋がっていき、新たな光が見えてくる―そのきっかけとなるものはひょっとすると、普段生活している地域にあるかもしれない。
(九夏三伏)

2020年9月14日 第7057号

激甚化する災害、備えの強化を

 9月1日は「防災の日」。毎年、防災訓練が各地で行われるが、今年は新型コロナウイルス感染症への対策もあって工夫が求められた。地震と同時に大雨など気象災害への備えも怠ることはできない。近年、ゲリラ豪雨や線状降水帯など、以前は耳慣れなかった言葉も頻繁に聞くようになった。
 豪雨被害は2017年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、19年の令和元年東日本台風(台風19号)による豪雨など毎年のように発生している。今年も令和2年7月豪雨(7月3~31日)で被害が出た。50年に一度といった従来のレベルと異なる豪雨が、ここ数年、相次ぐ。
 気象庁によると1時間の降水量50ミリ以上の年間発生件数は増加しているという。1976~2019年で10年当たり28.9回の増加。最近10年間(2010~19年)の平均年間発生件数の約327回は、統計期間の最初(1976~85年)の約226回と比較して約1.4倍になっている。今年1~8月では269回となった。
 今年7月の豪雨は各地で甚大な被害が出た。記録的な雨量で多くの河川が氾濫、土砂崩れも起きた。熊本県の球磨川は短時間の記録的な豪雨で一気に増水、逃げきれなかった人も多い。球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」では、水没により14人が亡くなった。今年1月時点で、社会福祉施設や病院、学校などで洪水被害にあう危険性が高いのは、全国に7万7964か所もあるとされる。
 活発な梅雨前線の影響で、7月は長期にわたって大雨となり日照時間はかなり少なかったと気象庁が発表している。太平洋側、西日本日本海側は、7月として1946年の統計開始以来、最も多雨となった。確かに例年以上に梅雨が長かったような気がする。
 8月は一転して暑い日が続いた。全国的に気温は高く、記録的な高温となった地域が出だ。高気圧に覆われ、8月としては統計開始以来、東日本では最も高く、西日本では1位タイの高温となった。一方で降水量は太平洋側では過去最少だった。9月に入っても3日に東北から山陰地方にかけての日本海側で35度以上となる猛暑日になった所が続出。新潟県の三条市では40.4度を観測、胎内市でも40.0度となった。9月の統計史上最高記録を更新した。
 豪雨の頻度が増加し、激甚化している背景には、気温の上昇に伴う大気中の水蒸気量の増加があるとされる。大量の水蒸気が海洋上から川のように日本上空に流れ込んでいるという。その流量はアマゾン川に匹敵するとされる。
 地球温暖化の影響だろうか、過去に経験のないような大規模な災害も起きており、従来にない発想での備えが迫られる。日本は地球全体の平均の2倍の上昇率で温暖化が進んでいると専門家は指摘する。日本周辺の海面温度の上昇は、日本に接近する台風の力を強める。
 8月の海面水温は、平年よりかなり高く、特に関東南東、四国・東海沖、沖縄の東では解析値のある1982年以降で最も高くなった。30度を超える海域も広く見られる。9月下旬まで高い温度が続くと予測されている。太平洋の海面温度が高いと、発生した台風は強い勢力のまま日本に接近する。
 気象庁の階級「猛烈な台風」をさらに超える「スーパー台風」の災害も懸念される。海面の上昇によって、今後は1年間に複数が上陸するのではないかという。ハザードマップの整備、住民への速やかな情報伝達、迅速な避難体制づくりといった備え、さらに災害に強い街づくりなどに知恵を集めることが求められている。
 普段からの点検や見直しも欠かせない。従来とは異なる工夫が必要だろう。住民の安全を守るために、郵便局と自治体の防災に関する連携も進んでいるが、さらなる強化が期待される。同時に命を守るには一人ひとりの自覚や行動にもかかっている。避難所や防災用品、備蓄の確認などに日常から心がけたい。
(和光同塵)

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