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2020年10月19日 第7062号

【主な記事】

日本郵便と茨城県久慈郡大子町
「包括的連携に関する協定」
「包括事務受託に関する協定」
両協定を同時調印
包括事務受託は関東初


 茨城県久慈郡大子町と日本郵便株式会社は9月29日、大子町役場庁議室で「大子町と日本郵便株式会社との包括的連携に関する協定及び包括事務受託に関する協定調印式」を行った。包括事務受託は全国では5例目、関東支社管内では初めてとなる。
 大子町は人口1万5725人(9月1日現在)。日本三名瀑のひとつ「袋田の滝」の所在地、また、奥久慈しゃも(地鶏)の産地として、全国的な知名度を誇る。2007(平成19)年には、日本初の「読書のまち」宣言により、読書を通して子どもたちを中心とした「心の豊かさ」を育てる事業に、町を挙げて取り組んでいる。
 日本郵便と大子町はかねてから、「郵便局のみまもりサービス」や「みまもりサービス利用者への買い物支援サービス」の実施など、平素からの良好な関係が今回の締結に結びついた。
 締結式には関東支社の西澤茂樹支社長、茨城県北部地区連絡会の石井義孝統括局長(上小川)、関東支社経営管理本部の新井敦部長、旅澤雅博副統括局長(地方公共団体担当[主]/上野宮)、田中秋利局長(地方公共団体担当[副]/那珂)、肥後正史局長(包括事務受託局代表/生瀬)はじめ関係者が出席。
 大子町からは高梨哲彦町長、赤津康明副町長、椎名信一総務課長、矢田部信彦町民課長、町島弘幸税務課長、鈴木大介福祉課長が迎えた。ぽすくまと、大子町のマスコットキャラクター「たき丸」も参加し、賑やかに進行した。
 出席者紹介、概要説明に続き調印。高梨局長と、包括的連携協定には旅澤副統括局長、田中局長が、包括事務受託協定には西澤支社長が署名した。記念撮影後、代表あいさつへ。
 高梨町長が、包括的連携について「日本郵便とは、既に高齢者のみまもりを中心とした協定などを結んでいる。町政全般にわたり、多方面から行政の後押しをしていただく。内容として、具体的に大きく5項目について取り組む。双方がもつ情報やネットワークなどの人的・物的資源を活用し、町が取り組む地域活性化に関する施策について、共同して取り組むことにより、町民が暮らしやすい街づくりの実現を目指したい」とし、包括事務受託については「包括的連携の項目でもある『住民サービス向上』のひとつ。町民の利便性向上、窓口行政の円滑な運営、地域に根差した行政サービスの拠点作りを目的に、町の特定事務を取り扱う郵便局として、町内の3局を指定した。高齢化率が46%を超え、県内1高い当町において、今後を見据えた事業。また、広い面積をもつ当町にとって、地域に密着した郵便局で証明書などの交付ができるのは、住民サービスの向上に寄与するものと期待している。地域の皆さんに広くご利用いただき、長く定着していくことを願う」と期待を述べた。
 郵便局については「これまでも高齢者のみまもりや道路破損など、多岐にわたり情報をいただいている。地域の郵便局がそれぞれもつ機動力や、日々の業務による住民との関わりを通じ、安心して暮らしていく上で、きめ細かい対応に努めていただいている。町政に対する強力な応援団として、2協定は大変心強い。本日を契機に、更に町民の安心・安全な暮らしに向けた環境整備ならびに地域の活力向上に繋げていけるよう、今後もいい関係を保ちながら協力していきたい」。
 また「当町は昨年10月に台風19号の被害を受け、復旧・復興に向かう中で、新型コロナウイルス感染症の猛威に晒されている。官民連携をして地域の皆様をしっかり守っていく時代に入るなか、非常に意味のある連携。この連携が全国に波及していくものだと、熱い思いでいる。これからも色々な形でご指導、ご協力をいただきたい」と希望した。
 西澤支社長は台風被害について哀悼の意を表した後、「大子町とは2017年4月に『郵便局のみまもりサービス』の行政受託契約を締結し、その後、みまもりサービスご利用者向けの買い物サービスをいち早く開始している」と謝意を伝え「今回の包括連携協定については、町内11局と那珂局で、安心・安全な暮らし、未来を担う子供たちの育成、地域の活性化などを目的とし、事務受託については、住民サービスの向上に資する内容となっている。協定を結んだからには、実効性をどのように担保していくのか、これからが問われるため、背筋が伸びる思い」と語り「事務受託では、戸籍の全部(個人)証明書など様々な書類を取り扱う。万全の体制で臨み、町民の生活向上に貢献したい。デジタル化が叫ばれる中、いよいよ実態、物理的な力が注目されてくる。日本郵便は365日郵便を配達し、地域の異状が判るだけでなく、町内11局のうち8局の局長は大子町に住んでおり、365日24時間、町の役に立てるのではないかと考えている。人々の生活を生涯にわたって支援することにより、ふれあい溢れる豊かな生活に貢献することは弊社の経営理念でもある。本協定を契機に益々頑張っていきたい。今後もご支援と叱咤激励をお願いしたい」と力をこめた。
 新型コロナウイルス感染症など、不安の多い社会情勢のなか、郵便局には、地域住民や生活に密着した地域貢献と、地域社会で多様化・複雑化する課題の解決に向けた取り組みへの期待がますます高まっている。

【包括的連携に関する協定】
 大子町と日本郵便株式会社がそれぞれ有する人的・物的資源を有効に活用して、住民サービスの向上等を図ることが目的。
 相互が連携し、①安心・安全な暮らしの実現②地域経済活性化③住民サービス向上④未来を担う子供の育成⑤その他、地域の活性化、の事項について、業務に支障のない範囲で取り組む。また、連携事項を効果的に実施するため、定期的に協議を行い、具体的な協力内容については合意の上決定する。
 協力郵便局は那珂、大子、西金、町付、生瀬、大子佐原、上小川、下金沢、大子下野宮、大子袋田、上野宮、大子池田局。開始は9月29日。
【包括事務受託に関する協定】
 高齢化や交通手段の変化により、役場での行政手続きが困難な町民が増加しており、地域に根差した行政サービスの拠点づくりが必要となっていることから、事務の一部を郵便局に委託することにより、効率的な財政運営を行いながら、住民サービスの向上を図ることが目的。
 大子佐原局、町付局、生瀬局の計3局で、①公的証明書の交付事務、②公的証明書以外の申請受付等事務、の2つを実施。
 委託内容は、
①公的証明書…戸籍の全部(個人)証明書▽納税証明書▽住民票(写し)▽戸籍の附票(写し)▽印鑑登録証明書 の交付請求の受付と引渡し。※郵便局窓口で交付申請できる者は、法律により代理人による申請はできない。
②公的証明書以外…[受付事務]国民健康保険関係(負担限度額の認定、被保険者証等の再交付)申請▽後期高齢者医療制度関係(同)▽介護保険関係(要介護・要支援の認定更新、高額介護・予防サービス費の再交付など)申請▽医療福祉費制度の申請。[交付事務]児童手当の各種申請書等▽精神障害者保健福祉手帳▽身体障害者手帳▽療育手帳の交付申請書。
 取扱日時は平日9~17時(祝日及び12月29日~1月3日を除く)。開始は11月12日。


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