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2020年11月16日 第7066号

【主な記事】

北海道全域に拡大
郵便局の終活紹介サービス
[日本郵便]都内では一昨年から試行


 日本郵便は9月11日から、北海道・札幌市内225の郵便局において試行導入している終活紹介サービスを、11月13日から北海道全域1207の郵便局に拡大した。同サービスは、葬儀やお墓など、葬祭関連や相続手続きなどの終活相談に応じてくれる事業者・専門家(葬儀社、仏具店、行政書士、税理士、民間介護施設など)を、お客さま自身や家族に日本郵便が紹介するもの。平成30年10月10日から東京都江東区内の40の郵便局で試行的に開始し、平成31年2月19日から東京都内全域の郵便局へと試行を拡大している。

 近年、浸透しつつある「終活」という言葉。高齢化や核家族化が進み、高齢者を支援する制度やサービスが求められている一方で、葬儀・お墓などを事前に準備して、その人の人生をどのように締めくくるかを能動的に考える人が増えてきている。
 そうした社会背景の中で、株式会社鎌倉新書、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託、株式会社エイジプラスといった終活業界で様々なサービスを展開している協力会社が、蓄積してきた終活に関する情報やネットワークを活用し、地域に根差して人々から大きな信頼を得ている日本郵便と連携して終活サービスを提供することで、高齢者とその家族の「お困りごと」を解決するため、各社協働してこのサービスの試行を推進している。
 日本郵便では「郵便局ネットワークの将来像について」の中に、「郵便局の果たすべき社会的使命は、創業以来培ってきたお客さまや地域からの信頼を基に、ユニバーサルサービスを提供しつつ、地域と寄り添い、地域と共に生き、地域を丸ごと支えること」とある。これこそがまさに、終活紹介サービスの取組み意義といえる。
 地域のお客さまの困りごとについて、郵便局が幅広く対応していくため、日本郵便は今後の市場拡大が見込まれる終活の相談に対応することで、郵便局のサービス拡充に取り組もうと、東京都江東区内の40の郵便局において試行的に開始し、都内全域の郵便局へと試行を拡大した。
 これまで利用したお客さまからは、「郵便局みたいな、中立的な立場で客観的なアドバイスをもらえる窓口があるのはありがたい」、「利用者の立場に立って案内してくれる業者につないでもらえるのは助かる」といった声が寄せられており、特定の業者に偏ることなく中立的に専門家を紹介できる郵便局の特長が評価されているようだ。
 また、お客さまの悩みや思いを聞いて、解決のお手伝いをする終活紹介サービスを通して、お客さまの信頼回復の取組みにつなげるとともに、今後は総合的なコンサルティングサービスに関する取組みとの連携も図っていく考えだ。

道内独自の要素も提供

 今回の札幌市から開始した北海道での試行は、これまでとは違って、新たな要素も含まれている。
 具体的には▽郵便局の金融商品と親和性が高い相続関係について、日本郵便が仲介事業者となり、行政書士などを直接顧客に紹介を行う▽丁寧な顧客対応のため、日本郵便が顧客と行政書士などの間の相談サポートを行う。
 これらについては、北海道支社金融営業部に専門の担当を配置する。
 さらに▽窓口社員が、ゆうちょ・かんぽの相続手続時の関心の高いタイミングでサービスを紹介する▽顧客に代わり、行政書士などが相続に必要な書類を収集することにより、顧客・郵便局・ゆうちょJC・かんぽSCの相続手続きに関する負担を軽減する▽窓口社員に加え、金融渉外社員(コンサルタント)もサービス紹介を実施する―というもの。
 北海道での試行の枠組みはというと、まずは郵便局で窓口社員または渉外社員(コンサルタント)が、お客さまに終活相談ダイヤルを紹介する。
 お客さまがゆうちょ・かんぽ商品の相続手続きのために来局した際、窓口社員がパンフレット等を使い、サービスをお客さまに紹介。
 お客さまがサービスについて相談したい場合、窓口社員が申込書兼同意書の原本を北海道支社終活紹介担当へ送付する。一方で、お客さまが自ら日本郵便終活相談ダイヤルに電話し、オペレーターは専門家の紹介を協力会社に依頼する。これについては、鎌倉新書にコールセンター業務を委託する。
 そこから先は、供養関係については鎌倉新書が供養関係事業者である葬儀社や石材店、寺院霊園、遺品整理会社等へ依頼。介護施設関係については株式会社エイジプラス(みまもりでんわサービスの業務委託先)が老人ホーム等事業者である有料老人ホーム、高齢者住宅等へ依頼。相続関係については、日本郵便北海道支社金融営業部が、相続関係専門家である行政書士等へ依頼する。
 北海道での終活紹介サービス開始に際し、長野善仁北海道支社長と佐々木靖主幹地区統括局長(手稲駅前)が思いを語ってくれた。

より良いサービスに成長を
[北海道支社]長野善仁支社長

 社員の皆さまには、この度の新型コロナウイルス感染拡大防止にあたり、最大限の対応をいただき、感謝申し上げます。
 札幌市内の郵便局では、お客さまのお悩みごとを解決する新たなサービスとして、9月11日から試行導入している終活紹介サービスを11月13日から北海道全域の郵便局でお客さまにご紹介することになりました。
 「終活」という言葉はここ数年、社会的にも認知されつつありますが、実際には「どこに相談したら良いのか」、「何から手を付けたら良いのか」分からずに悩んでいる人が多いのが実情です。
 そこで、地域に根ざし、気軽に相談できる郵便局がこのサービスを提供することによって、お客さまにも安心してご利用いただけるものと考えております。
 終活紹介サービスは、お客さまの生活をトータルにサポートする企業として、郵便局の存在価値を高め、将来の発展につなげることを期待されているサービスです。
 全員で、このサービスを、より良いサービスに成長させましょう。

お客さまの信頼を回復
地方創生の取組みにも
佐々木靖主幹地区統括局長(手稲駅前)

 各種研修等で業務が輻輳する中、スムーズなサービスインを行うための準備に対応をいただき、感謝申し上げます。
終活とは「人生の終わりのための活動」であり、人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉です。
 今回試行導入される「終活紹介サービス」は、単に会社の収益を上げるだけでなく、“郵便局に行けば相続等の心配や面倒な手続きが解決できる” という地域の役割を担うことを趣旨として、北海道支社内に専門部署を設置するなど、すでに先行導入している東京支社管内とはまた違う形で“北海道独自の新たな取組み” となるものです。
 高齢化・低金利と、厳しい時代の中での新事業の立ち上げは難しいことではありますが、「終活紹介サービス」は将来に向かって必要なサービスであり、今後、サービスエリアの拡大、サービスの拡充をしていく中で、地元の行政書士などの専門家、地元事業者と連携することで、地方創生の取組みにもつなげていけるものと考えています。
 昨年のかんぽ生命保険の不適正営業の問題では「高齢者に対する不正販売」と厳しい報道もありましたが、終活紹介サービスのような高齢者のお悩みや面倒な手続きが解決できるお客さまにとって優しいサービスを提供することが、失われたお客さまの信頼を回復するための礎の一つとなるものと確信しています。
 全員で一丸となって、本サービスをより良いものに発展させていきましょう。


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