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2021年1月4日 第7073号

【主な記事】

新年の挨拶
「夢なき者に成功なし」
地域社会の発展に寄与
[全国郵便局長会]末武 晃会長


 新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 さて、本年の干支は“辛丑”(かのとうし)であります。「丑」という漢字は、一説には「紐」(ちゅう:「ひも」「からむ」の意味)で、芽が種子の中に生じてまだ伸びることができない状態を表しているとされ、指をかぎ型に曲げて糸を撚ったり編んだりする象形ともされています。また、「辛」は、植物が枯れて新しい世代が生まれようとする状態の意味だとされています。
 まさに今の世界、日本の状況、そして郵便局の現状を表しているのではないかと思います。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大、大雨等による甚大な被害の発生、会社関係では、前年からのかんぽの不適正募集問題の対応が継続する中での郵便認証司の未承認兼業問題、ゆうちょの不正引き出し問題などの郵便局の信頼を損なう事象、さらには、ゆうちょ銀行に係る減損処理や子会社であるトール社の業務の一部売却の検討決定等、会社の経営に重大な影響を与える事象が矢継ぎ早に起こりました。
 現在も、新型コロナウイルス感染症の関係では、感染拡大防止のため、外出や外食の自粛が求められ、また、会社関係では、営業活動再開に向けての管理体制整備が続いていますが、本年は、郵政事業にとって、明治4年(1871年)の郵便事業の創業から数えて、創業150周年を迎える記念すべき年でもあります。
 あらためて、前島密翁の尽力により創設され、先人の弛まぬ努力により、今日、国民共有の財産となった郵便局ネットワークを維持し、それぞれの地域において公益性を十分発揮するとともに、郵便局が提供するサービスの利便性をさらに向上させることで、郵便局ネットワークの価値をさらに高め、地域のお客さまの生活を総合的にサポートすることが郵便局の使命であり、そのために、本年は、先ほどの「辛丑」でも申し述べましたが、飛躍への変革点となる記念すべき年にしたいと思います。
 この郵便局ネットワークを支える全特の原点は、「地域密着性」と「集団的機能」にあります。本年はこれらの充実、強化を、本年の干支に例えて、「牛が歩むがごとく」着実に進めてまいりたいと考えます。
 「牛歩」は、「牛のように歩みが遅いということと、物事がなかなかはかどらない様子」という意味がある一方、「ゆっくりではあるけれど、少しずつ成長している」という意味があります。複雑に絡み合った物事は、一朝一夕にすべてが解決するものではありません。解決、躍進のための努力を一歩一歩着実に行っていく必要がありますので、この事を強く意識し、活動していきたいと思います。
 私たちは、一人ひとり、一局一局では活動に限界があることから、社会的、政治的な力を有する局長会の組織力により、郵政事業に対する信頼の回復を図りつつ、課題を乗り越えていくことができる、素晴らしい組織です。
 組織力は単に人が集まるだけでは高まりません。そのためには良好なコミュニケーションが必要であり、私が会長に就任した昨年5月から申し上げている「風通しのよい組織」を作っていくことが必須です。この点については、本年もより充実・強化して取り組んでまいります。
 今、全特が実現を求めている具体的な課題は、大きく二点あります。
 一点目は「地方創生の取組み」です。これについて、郵便局は、地域社会の維持・発展と地域住民の利便向上に貢献しながら地域で存立していかなければなりません。そのためには、地方公共団体事務の受託、地方移住、各地域での特産品販売などの新事業創出、各地域での新サービスの開発等について、地方公共団体や地域の団体・NPO法人・企業等と密接に連携し、取り組んでいく必要があります。また、国に対しては、地方創生に資する郵便局の活用を強く要望するものです。
 二点目は「郵政事業の健全経営と郵便局ネットワーク維持の取組み」です。こちらは、郵便局が全国各地においてサービスを展開し、「地域の拠点であり続けてほしい」という地域の要望に応え、役割を果たしていくための礎は、全国津々浦々に設置されている郵便局のネットワークであり、郵政事業の健全な経営の下で、現在の郵便局ネットワーク水準を維持していくことが必要です。
 そのためには、時代に合ったサービスの改正や規制緩和の下での適正かつ安定した収益確保のための態勢の構築が重要です。これらを実現していくためには、郵便局への信頼回復が必要不可欠です。あらためてそのことについて、会員一人ひとりがよく理解し、営業再開に向けた各種活動にしっかり取り組んでいくよう浸透徹底を図っていきたいと思います。
 最後に私の地元・山口県が生んだ幕末の思想家、吉田松陰先生の言葉を引用します。昨年5月の就任時には、「至誠にして動かざる者は未だこれあらざるなり」という言葉を引用しましたが、令和3年の年頭に当たり、「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」を引用させていただきます。
 本年は、「夢(郵便局長魂)なき者に成功なし」の精神で、局長会の目的である「会員の団結により、郵政事業及び地域社会の発展に寄与するとともに、会員の勤務条件の向上を図ること」の実現に邁進してまいりたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。


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