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2021年1月25日 第7076号

【主な記事】

「お年玉切手シート」活用を
千葉県若葉区の郵便局 喜びを差出人へ

 千葉県の若葉郵便局(高須博昭局長)では、若葉区内のエリア14局と連携し、お年玉付年賀はがきの当選者への付加サービス施策に取り組んでいる。お年玉くじ当選者は、年賀はがきを持って郵便局窓口へ賞品の引き換えに来るが、ほとんどが3等の「お年玉切手シート」。そのお年玉切手シートは、当選して引き換えても、実際に切手を使用している人は少なく、自宅に眠っていることが多いのではないだろうかと考え、その活用を推奨している。

 高須局長は昨年、静岡県の焼津郵便局の局長を務めていたとき、お年玉切手シートを何とか有効に活用してもらう方法はないだろうかと考え、賞品の引き換えの来局者に「当選した年賀状の差出人に連絡をしてみませんか」と呼びかけ、お礼用の私製オリジナルはがきを手渡し、差出人へお礼を書いてもらうという施策を発案した。
 賞品引き換え時に、切手が貼付されていない私製オリジナルはがきを無償で渡し、「差出人に向けて『あなたが送ってくれた年賀状が当選しましたよ』というメッセージを発信してみてはいかがですか。郵便料金は当選した切手シートをぜひお使いください」と声をかけた。
 私製オリジナルはがきは、昨年2月12日までに900枚(前年度の交換数を基に算出)を配布。はがきの表面下部には「こちらのはがきを受け取ったお客さまへ」と題し、アンケートへの協力を呼びかけた。
 協力した人へは粗品を進呈する旨と郵便局の電話番号を添えたメッセージを記載した。裏面中央にはメッセージを書く欄を設け、ぽすくまのデコレーションを添え、親しみやすい仕様にした。
 アンケートは「年賀状が当選しましたというお礼はがきが届いてどう思ったか」「この企画についてどう思ったか」「年賀はがきを何枚購入したか、どこで購入したか」「郵便局に対しての意見や要望」という項目で、電話で行った。
 お礼はがきが届いた感想として「年賀状が2回届いた感じがしてうれしかった」「自分が送った年賀状が当選してよかった」「今までこういう企画がなかったので、このような企画があるんだと思った」「昔読んだマンガ『サザエさん』の中で、カツオが自分の送った年賀状のお年玉くじ番号を控えておいて、当選発表後に誰が当選したのかを確かめていたシーンを思い出した」といった声が14件寄せられた。
 また、企画についての感想は「楽しい企画なので、ぜひ続けてほしい」「企画が定着すれば、その後の交流にもつながる」という声が寄せられた。この取組みは、手紙需要を創出するための好取組事例として、全国の営業部長会議で東海支社施策として横展開された。
 焼津局長のときに単局施策として実施した高須局長は、昨年4月に若葉局の局長に着任。今回は千葉県中部地区連絡会(石﨑弘之統括局長/千葉松波)の若葉区内のエリア局と連携して行った。はがきは1月18日から配布を開始し、配布枚数は合計で2000枚を予定している。


■高須局長の話
 この施策を思い付いたきっかけは、「年賀状って、やり取りしているようで実は1年に1回の一方通行。オール印刷か一筆書いて終わり。当選賞品も、昔は豪華なカラーテレビなどが当たっていたけど、今はキャッシュ。これで継続してワクワク感を持ってもらえるのかなぁ。3等の切手が当たっても、使わない、使えない、家のどこに保管したかわからない。使ったとしても、せいぜいゆうパックを差し出す時だけ、どうしたものかなぁ」と思っていました。
 それなら「差出人に当選したことを知らせることで、同年に双方向のコミュニケーション(通信)ができ、差出人と受取人の緊密さをさらに高めることもできる。つまり、毎年行事としての年賀状交換を越えた『もっと年賀状ファン』につなげること。当選してもなかなか使わないお年玉切手シートの利用機会を創出することで、『物をプレゼントする』のとは異なり、『思いを伝える場面をご提供する』ことで、利用者のワクワク感に刺さるのではないか。3等の切手って、よくよく考えると、封書と葉書が送れる切手がワンセット。もともとは通信手段として利用する素敵な賞品なのではないか」と考えたのです。
 さらに、このサービスが当選者に受け入れられれば、次回の若葉区内エリア局の窓口での年賀状購入が第一候補となることも期待でき、オリジナルはがき作製は、ワクワク郵便局づくりの一環にもなる。オリジナルはがきを見た時に、メッセージを書く欄が明示されていて、ぽすくまのイラストも添えられるなど、「メッセージを書いてみようかな」と思ってもらえるような工夫も凝らしています。
 エリア局特製のオリジナル葉書を受け取った差出人に、本施策実施事務局に連絡して簡易なアンケートに答えてもらい、そのお礼として粗品を送付することで、差出人にも「もっと年賀状ファン」になってもらう効果が期待できます。


窓口に掲出された周知用チラシと高須局長


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