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2021年3月8日 第7082号

【主な記事】

日本初のロボット屋内配送
[日本郵便]ラストワンマイル試行


 日本郵便は2月25日、ラストワンマイル配送での配送ロボットの可能性を検証する日本初の試行を実施すると発表した。2020年9月末から同年11月まで実施した日本初の公道での輸配送実証実験に続く取組み。配送の高効率化を目的とする。

 日本郵便は2017年度以来、配送ロボットの可能性を検証するため、実証実験を継続的に実施。2019年度に日本郵便本社で行ったエレベーター連携の試行を踏まえ、今回はエレベーター連携を前提とするオートロックシステム付きマンションにおける実環境での荷物等の配送を実施する。
 試行の期間は2月下旬から3月下旬を予定しており、千葉県習志野市に所在する居住者がいるマンションで行う。
 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」の補助を受けた事業。
 複数台の配送ロボットとエレベーターおよび運行管理システムを連携させて、オートロックシステム付きマンション内での荷物配送を行うと同時に、複数台の配送ロボットの運行管理に必要となるシステムの実証を実施する。ラストワンマイル配送における配送ロボットの可能性を検証し、省人化配送実現の推進を目指す。
 日本郵政の増田社長は「この試行で得られたデータを活用して、3年後の実用化に向けた検討を重ねていきたいと考えている。2016年度から実施しているドローンや2017年度から実施している配送ロボットは実際の郵便物や荷物などを運び、実用化までもう一歩のところまで来ている。制度整備後の実用化を目指したい」と説明。
 そのうえで「当初から配達員と同じ容量を運ぶことは制度面でも技術面でもまだ難しいものがある。スモールスタートでも定期的、継続的に実施してまいりたい」と2月25日のウェブ定例会見で語った。
 また、同日発表した2050年のカーボンニュートラル(=脱炭素社会の実現)を目指す日本郵政グループの長期目標は、「今回の配送ロボット検証試行の背景となる」との考えを示した。
 試行に協力するのは、㈱日立製作所(運行管理システムの試作および運行の実施)、㈱日立ビルシステム(配送ロボットのエレベーター連携対応)、アスラテック㈱(配送ロボット〈RICE〉の提供および運行の実施)の3社。
 試行には、アスラテックの電動式配送ロボット「RICE」を使用する。
 最高時速は4キロ、認証方式はPINコード、外寸は縦約54センチ×横50センチ×高さ76センチ、重量55キロ、最大積載量10キロ。エレベーター連携のほか、自律移動、遠隔監視・操作が特徴。
 配送ロボットからエレベーターのかご内のボタン操作が遠隔で可能。居住者とロボットの同乗を前提とし、ロボットが共生するために必要な安全確保のための機能等の要件を確認していく。
 配送ロボットは①エレベーター呼出し②エレベーター到着~乗車③行先階登録④目的階到着~降車―を行う。
 連携機能は次の通り。
①ロボットからの信号によってかご内の行先階ボタンを登録することが可能②ロボットからの信号により、かご内の戸開釦を操作することが可能③ロボットがエレベーターを使用している場合も居住者はエレベーター利用が可能(乗場・かご内設置のボタンの操作が可能)④ロボットの乗降に失敗した場合にはロボットを安全な位置に移動した後、エレベーターの制御(戸開ボタンの解除等)を解放(住民の継続利用が可能)
 運行管理システムでは、複数台の配送ロボットを運用するに当たり、運行管理システムに要求される配達管理、遠隔監視等の要件を確認する。
 配達先指定画面では、配達先を指定し、ロボットを呼び出す。ロボット詳細確認画面では、各ロボットの詳細なステータスおよび走行状況を画面上で確認する。さらに、複数台のロボットのステータスや配達状況を一元管理する。
 ロボットに搭載したカメラ映像を確認し、緊急時での操作介入が行えるのも特徴のひとつ。


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