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2021年3月15日 第7083号

【主な記事】

「四国家(しこくけ)サポーターズクラブ」始動
[四国支社]24企業・団体で地域活性化へ


 日本郵便四国支社(浦瀬孝之支社長)はじめ、四国旅客鉄道(JR四国、西牧世博社長)、四国電力(長井啓介社長)の3社が連携して取り組んでいる四国地域の活性化事業に、新たに21の企業・団体等が加わり、「四国家サポーターズクラブ」が発足した。香川県高松市で行われたキックオフミーティングでは、四国遍路世界遺産登録に向けたプロジェクトの始動や、地域の祭り・郷土芸能など伝統行事の活性化と観光コンテンツ化を目指すなど、今後のビジョンが紹介された。

 生活インフラ企業であるJR四国、四国支社、四国電力の3社は経営資源を生かし、全国に先行して少子高齢化や人口減少が進み、地域経済の縮小や地域社会の衰退という課題に直面している四国において、地域における話題・賑わいの創出、地域との共生・啓発活動を通して活性化に取り組んでいる。
 2017年10月に、JR四国と四国支社が「四国地域における協力に関する協定」を締結。翌18年3月に四国電力が加わり、3社連携がスタートした。
 同年5月には愛媛県松山市の大街道商店街で、3社連携事業第1弾となる子ども向け体験イベント「大集合!!ワクワク体験Kids王国in大街道」を開催。子どもの日ということもあり、多くの親子連れが訪れる中、ミニ列車乗車体験やプラレール展示、ゆうパック配達体験やはがきワークショップ、高所作業車の乗車体験や自転車発電ゲームなど、創意工夫を凝らした様々なコンテンツで大街道は賑わいを見せた。
 2019年10月にも第2弾として「大集合!!ワクワク体験Kids王国inサンポート高松」を開催し、こちらもまた大盛況となった。
 子どもたちに体験してもらうモニターツアー「石鎚の水の恵みを体験しよう!」や、子どもから大人まで楽しめる地域活性化イベント「お城下ミニミニ運動会in大街道」のほか、予土線沿線の魅力を発掘し、情報発信することを目的に、魅力的な風景をはがきにして、イベント等で配布し、駅で掲出することで話題・賑わいを創出しようと「ひと結び予土線お便りコンテスト」も開催。
 2019年3月には、出会いを求める男女の良いきっかけになってほしいとの願いから、「春よ恋い♡ひと結びよどせん桜」と題した、記念列車を利用したツアーも開催している。また、人材交流や女性活躍推進にも取り組んでいるほか、災害復興支援も行っている。
 2018年12月に行われた3社トップミーティングを経て、3社連携の統一的な相談窓口「S-PERデスク」を19年4月に開設。持続性を大切に、取組みを進めている。
 昨年10月には、コロナ禍で売り上げの減少が続いている飲食店を応援しようと、地元食材を使ったお弁当を特急列車で高松駅まで運び、サンポート高松での販売や協力企業へ宅配する「お弁当マルシェ」を開催し、大好評となった。
 こうした取組みを一層力強い、効果的なものとして、地域経済発展に貢献するため今回、地域振興や観光振興に取り組む企業や団体等による「四国家サポーターズクラブ」を設立し、広く会員を募集していくこととなった。
 同クラブは、地域振興・観光振興に志を持つ企業・団体等が業種の枠を越えて集まり、みんなで協働して地域の賑わいを創出するなど活性化に取り組むことで、地域経済の発展に貢献することを目的としている。
 「四国家」という名称は、徳島県、香川県、愛媛県、高知県の4県から成る四国を大きな家族と見立てて名づけられたもので、3社が連携して取り組んでいるもの。そこに今回、新たに21の企業・団体等が加わり、「四国家サポーターズクラブ」として発足した。
 その「四国家サポーターズクラブ」のキックオフミーティングが3月3日に、高松市のJRホテルクレメント高松で開催された。
 発起人を務めるJR四国の半井真司代表取締役会長、四国支社の浦瀬孝之支社長、四国電力の佐伯勇人取締役会長をはじめ、四国4県の24(3社含む)の企業・団体等が初めて顔をそろえた。この中で示された主な2021~25年度の中期計画は次のとおり。

【地域における話題・賑わいづくり】
▽2020年度、四国4県の産品を詰め合せたお土産セット「四国家 故郷のものがたり」の企画・販売等を行い、事業としての成立の可能性を確認できたことで、これを展開していく(後述)。

【地域との共生・啓発活動】
▽地域の意欲ある事業者との協働で、テーマ性のあるツアーを企画する「四国家のお宝」(JR四国が地域との協働で潜在的な文化・地域・観光の資源を発掘し、商品展開してきたシリーズ)とそのKids版やYouth版を実施。Kids版では子どもたちの郷土愛醸成、将来地域を元気にしてくれる人材の育成を目指し商品サービスを創出。そのエリア拡大、販売チャンネル強化を目指していく。
 Youth版では若者をターゲットに、地域資源や暮らす人々の魅力を知ってもらい、四国でのライフデザインを考えてもらうきっかけとなる場を提供。実験的な知見を収集し、若者向けの滞在促進、ワーケーションにつながる観光コンテンツづくりを行う。
▽地域の祭りや郷土芸能などの伝統行事の活性化と観光コンテンツ化を図っていく。伝統行事を支える地域人口の減少、担い手や資金の不足、さらには観光コンテンツとしての潜在的魅力がありながら、その掘り起しが不十分であるといった課題がある。
 それを踏まえ、伝統行事の企画や運営の見直し等による参加者のモチベーション向上や、インバウンドも含めて地域外から体験型観光として伝統行事に参加するツアーの企画、さらには伝統行事の歴史や意義の掘り起しに加えて、新たな企画で伝統行事の魅力向上などを通じた協賛者拡大、クラウドファンディング活用による資金調達の実施などをイメージしている。
▽「四国遍路世界遺産登録祈願プロジェクト」と題し、88か所デザインラベルの銘酒88本のセット販売を行うことで、四国遍路の世界遺産登録支援を目指していくとともに、コロナ禍で影響を受けた酒蔵の支援も行い、地域産業応援につながる物産の企画商品化に取り組んでいく。
 同クラブ設立により、地域活性化につながる情報を共有し合えることで、新たな協働が生まれる可能性も大いに秘めている。今後は、3社連携の取組みをブラッシュアップしていくほか、同クラブとして協働しながら、観光コンテンツの掘り起しや地域共生活動の推進など、更なる地域活性化を目指した活動に向け、新たな取組みも行っていく。必要に応じて、地域おこしに取り組んでいる人たちや企業、自治体等も巻き込んでいくことも検討していく。
 同クラブでは今後、参加を希望する企業・団体等を増やしていきたいとしている。JR四国の半井会長は「四国は人口減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、観光業界を中心に非常に厳しい状況となっている」と現状を踏まえ、「こういう時だからこそ四国が一体となって、地域振興や観光振興に力を入れていきたい。四国家の一員としていろいろな提案が出てくると思うので、非常に期待している。一緒に取り組んでいき、活性化につなげていきたい」と話している。
〈四国サポーターズクラブ会員〉(発足時点、敬称略)=今治造船、四国アライアンス(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)、四国ガス、四国化成工業、四国ツーリズム創造機構、四国電力、Shikokuブランド、四国旅客鉄道、セーラー広告、ソラヤマいしづち、損害保険ジャパン、太陽石油、高松空港、徳島県物産館、NHK松山拠点放送局、日本郵便四国支社、日本航空、日本自動車連盟四国本部、本州四国連絡高速道路、道の駅源平の里 むれ、ユナイテッドシルク


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