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2021年4月12日 第7087号

【主な記事】

路線バスで郵便物運送
[北海道初]士別軌道と提携


 北海道の士別軌道株式会社(井口裕史代表取締役、士別市)と北海道支社は、共同で路線バスを使用した郵便物などの運送を4月1日から開始した。
 名寄郵便局(村本宗仁局長)から朝日郵便局(山田敦久局長)に、専用で郵送していた社員が定年退職したが、後任の応募がない状況となった。昨今のモーダルシフト推進(輸送手段の転換における貨物輸送の効率化)、CO2削減といった環境などを考慮して、士別郵便局の渡部穣局長の提案を受けて検討してきた。
 その結果、運行時間や区間、士別軌道の路線バスダイヤなどから運行可能であること、また士別軌道に前向きに検討してもらったことから、バス路線を活用することとなった。
 3月23日に士別軌道の本社において、渡部局長と井口代表取締役との調印式が行われた。郵送区間は士別軌道本社から朝日町のバス停までの20キロ、時間は約45分。
 郵便とゆうパックを施錠可能な専用ボックス(高さ60×横65×奥行50センチ)に入れ、お客が乗る前にバス運転手が積み込んで座席に固定、到着後は降車後に朝日郵便局社員が降ろす。1日1回、士別郵便局から朝日郵便局への片道となる。
 共同運送開始に先立ち、出発セレモニーが3月29日に士別軌道本社で行われた。貨客混載輸送の初便出発を記念して、テープカットを井口代表取締役、山崎修次取締役営業部長、渡部局長、士別中央通郵便局の宮島貢局長、山田局長が行った。
 北海道支社郵便・物流オペレーション部から中村伸夫部長も駆けつける予定だったが、新型コロナ感染症の再拡大による往来自粛要請を受けて断念した。
 テープカットに際して、渡部局長は「創業100年を超える歴史を持ち、市民の足として必要不可欠な士別軌道、今年で創業150年を迎え通信・貯蓄・保険、更にみまもりサービスや終活紹介サービスなどのライフラインを担う日本郵便が連携できたことで、単にドライバー不足の解消や排気ガスの抑制だけでなく、安定的な地域サービス提供の維持にもつながることに、大きな意義を感じている」と強調。
 そして「これからも市民の皆さまが、引き続き安心して生活していただけるよう様々な接点を見出して、持続可能な地域づくりに貢献してまいりたい」とあいさつした。
 井口代表取締役は「士別郵便局から貨客混載の提案をいただき、実施に至ったことは、たいへん光栄である。公共的事業を担う企業が相互に業務を補完し合うことで、メリットが生まれることは今後の業務展開を模索していくうえでの道標にもなると思う。今回の提携は北海道初ということだが、これが順調に進み、全道に広がっていくことを期待している」と意義を述べた。
 また、「急速に過疎化が進むなかで、公共交通を維持していくことは困難が予想されるが、安全第一を基本として地域の皆さまにより信頼されるバス会社を目指し、経営基盤をさらに強固なものにしていく」と語った。
 テープカット時に登場したのは、日本で路線バスとして唯一運行されている士別軌道の人気の「モノコック(外殻単一構造)バス」。今は珍しくなったレトロな昭和の丸っこい形のバスで、全国からこの車両を目的にファンが訪れるほどだという。
 路線バスとの貨客混載は北海道では初めて。他には九州支社(宮崎県) 村所旧集配センターと西部旧集配センター間(2018年2月開始)、東北支社(秋田県) 象潟旧集配センターと本荘郵便局間(2018年2月開始)、近畿支社(兵庫県) 播摩山崎郵便局と千種旧集配センター間など(2018年2月開始)がある。


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