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2021年8月2日第7103号

【主な記事】

旬の野菜を郵便局で販売
千葉市内2局 「やさいバス」事業開始


 千葉県千葉市(神谷俊一市長)では、2016(平成28)年度から「千葉市つくたべ」と題し、市内産の農産物の地産地消を推進する取組みをしている。かねてから市や市議会と強い協力体制を築いてきた千葉県中部地区連絡会(石﨑弘之統括局長/千葉松波)は、市の経済農政局から販路拡大について相談を受けた。7月1日から、市民に身近な販売所として千葉中央郵便局(加瀬秀一局長)、美浜郵便局(助川裕一局長)で農産物の販売を開始している。

 千葉市の農産物の地産地消を推進する取組みは、低コストでの効率よい配送、小ロットへの対応が物流面の課題となっていた。
 千葉県中部地区連絡会は、市の経済農政局から販路拡大について相談を受け、2020年12月17日に締結した「千葉市と日本郵便株式会社との包括的な連携に関する協定」の「市産品の販売促進、地産地消に関すること」の一環として検討することにした。
 千葉市と、定時に決まったルートを巡回して農産物の集荷及び配送を行う「やさいバス」を運営する「やさいバス株式会社」と連携し、生産地からの配送と市民に身近な販売所の確保を目的に、千葉中央局、、美浜局での農産物販売がスタートした。
 今年6月からの販売スペース利用契約、商品棚の設置場所、決済方法、配達ルートおよび配達日の検討などを経て、7月1日に2局の出入り口付近に設置された商品棚に、新鮮な野菜が初入荷した。
 野菜は「やさいバス」の野菜ソムリエプロが選んだ鮮度重視の朝どれ野菜。ラインナップは季節や収穫量などにより変わる。初日には、きゅうり、小松菜、ヤングコーン、ブルーベリーなどが100円からの手頃な価格で並んだ。
 決済は現金(設置された貯金箱に硬貨を投入する。両替は不可)、QR決済(PayPay)の2種。近日中にゆうちょPayも導入する。販売期間は火曜日から金曜日で、①火曜日配達(入荷)→木曜日に現金回収②木曜日配達(入荷)→金曜日に現金回収―というスケジュールが組まれている。土~月曜日は陳列を行わない。
 やさいバス千葉の武田和哉副支店長と佐藤大輔宣伝マンは「我々も『地域密着』という、郵便局と同じ考えを持つ。連携の機会をもらえて、大変嬉しく思う。お客さま、郵便局の社員の方にも、市の周辺でどんな野菜が作られているのか、関心を持って楽しんでいただけたら幸い」と話す。
 また「各農家の一押し、『映える』旬の野菜を揃えている。生産農家の顔写真や商品の紹介POP以外にも、今後、アイデアレシピを用意するなどして付加価値を持たせ、『郵便局八百屋』として愛される場所にしていきたい」とコメント。
 加瀬局長は「『地域と共に歩む』が郵便局の本意。地元の野菜のために、日照や空調なども考え、できるだけ良い販売スペースを用意した。この日を迎えられてよかった。局員でも主婦層が利用するかもしれない」と笑顔をみせた。
 助川局長は「見ただけで新鮮だとわかる良い野菜。生産者である地元の農家、消費者である地域住民、皆さんに喜んでもらえるのは何より。近隣住民の生活に『火・木曜日は郵便局に野菜が入荷する』ということが浸透してもらえたら」と、需要に期待を寄せた。
 販売スペースの設置中に来局した人から「何これ?」と声がかかり、説明を聞いて購入する姿も見られ、関心の高さがうかがえた。
 生活の利便性向上は市民の大きなメリットになり、地域の魅力創出に繋がる。現在、市と市内郵便局の間では、包括連携協定をもとにした多様な内容の企画が進行している。今年4月からは新規事業として、千葉中央局と美浜局の空きスペースにシェアサイクルステーション(電動自転車を貸出・返却する場所)を設置し、好評を得ている。
 今後も、双方の人的・物的資源を有効活用し、更なる市民サービスと地域社会活性化を目指し、地域貢献に尽力していく。


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