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2021年11月8日第7117号

【主な記事】

カーボンニュートラル化推進
小山、沼津郵便局で実証実験

 日本郵政の増田寛也社長は、カーボンニュートラル化推進の一環として、東京電力グループ(東京都千代田区/小早川智明代表執行役社長)および三菱自動車工業(東京都港区/加藤隆雄代表執行役社長兼最高経営責任者)との協業による、EV車両向け等の急速充電器の実証実験を開始することを10月29日に明らかにした。また、環境配慮型の郵便局「+エコ郵便局」の建設を進める方針も発表した。さまざまなグループ外の企業等との連携した「共創プラットフォーム」で地域を支え、利便性向上に努めていくと同時に、温室効果ガスの削減を図って循環型社会の形成に寄与、SDGsへの貢献をしていく考えだ。

EV急速充電器を設置

 日本郵政グループは2050年にカーボンニュートラルの実現を目指しており、その節目として2030年度までに温室効果ガスの46%削減(2019年度比)を掲げ、さまざまな取組みを推進している。
 その一環として、4月23日には東京電力グループとの戦略提携「日本郵政グループと東京電力グループによる低炭素社会に向けた協業に関する合意書」を発表した。
 戦略提携の発表時では、今年の秋ごろの実施を目途としていた栃木県の小山郵便局、静岡県の沼津郵便局での実証実験について準備が整ったため、小山郵便局は11月10日、沼津郵便局は11月18日に、それぞれ実証実験を開始する。
 実証実験は、郵便や荷物の配達などに使う車両のEVへの置き換えに際して必要となる急速充電器を地域住民などの使用に供し、EV充電インフラの整備に貢献することなどを内容とする。
 また、沼津郵便局敷地内には、地域にも提供する急速充電器に加えて、特定の企業などへの充電サービスを行う急速充電器を追加で設置する(東京電力ホールディングスが運営)。
 実証実験では、災害時に動く蓄電池でもあるEV車両からの充電といった地域協力が可能になるため、地元自治体との活用に向けた協議が始まる見通し。当日は、それぞれの郵便局で、小山市長、沼津市長参加のもと、実証実験開始のセレモニーが開催される。
 実証実験では、新たに集配用EV車両を供給する三菱自動車工業も参加する。
 三菱自動車工業は、1年365日走り続ける郵便局の集配用EV車両(ミニキャブ・ミーブ)の走行データと電池残量の推移などのデータを取得し分析する。
 取組みを通して、郵便局の集配のEV車両の走行性能の向上はもとより、商用EV全体の性能向上を図り、地域のカーボンニュートラル化の後押しとなることが期待されている。
 増田社長は、「このようなさまざまなパートナーとの協同は、共創プラットフォームの実現に資するもの。パートナー企業等との協力のもと、カーボンニュートラル化に向けて一層推進していきたい」と述べている。

「+エコ郵便局」を建設
循環型資源や太陽光発電

 日本郵便は、カーボンニュートラル化に向けた取組みの一環として、従来よりも環境に配慮した郵便局「+エコ郵便局」の建設を推進する。
 「+エコ郵便局」第1号店として、千葉県南房総市の丸山郵便局を旧店舗から移転のうえ開局する。開局は2022年3月を予定している。移転後の所在地は、現局舎から800メートル離れた南房総市加茂2695-3。
 丸山郵便局は、郵便局として初めてCLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)建材を用いることによって循環型の資源を活用するほか、太陽光による自家発電設備の導入などにより、従来の郵便局よりも環境に配慮した取組みを始める。
 CLT建材は、長い板状の木材を縦横交互に貼り合わせた厚型のパネルで、強度や断熱性に優れており、コンクリートや鉄に比べてCO2の発生を抑制する特性を持つ。丸山郵便局は、CLT建材を使って建築する初の郵便局となる。
 局舎建設にCLTを使用することによって、循環型資源の活用や林業活性化および自然災害の軽減に貢献するほか、局舎の屋根に太陽光発電設備を設置し、使用電力の約40~50%を太陽光発電で賄うことで、CO2の発生量を抑制する。また、余剰電力を販売することによって、電気代を削減するとともに、周辺地域の電力の安定供給およびCO2の発生量抑制も期待できる。
 日本郵便は、2023年度末までの間に、10局程度の郵便局を「+エコ郵便局」として建設をする予定。「+エコ郵便局」を通じて太陽光、木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを導入し、温室効果ガスの削減を図るとともに、CLT建材を活用することによって循環型社会の形成に寄与し、SDGsへの貢献をしていく。



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