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2021年11月15日第7118号

【主な記事】

警察署と地域安全協定
[奈良県初]奈良県中和連絡会 特殊詐欺を防止


 奈良県中和地区連絡会(中村智宏統括局長/西大和まきのは)の香芝市内郵便局は10月19日、香芝警察署との間で「地域安全に関する協定」を締結した。警察署との安全協定の締結は奈良県で初となる。

 香芝警察署で行われた締結式には、日本郵便から香芝郵便局の小竹秀樹局長、奈良県中和地区連絡会広陵町地方公共団体窓口担当の長谷川和彦局長(瀬南)、香芝市地方公共団体窓口担当の吉田郁雄局長(香芝関谷)、葛城東部会の松村美鈴部会長(陵西)、吉田育代局長(香芝二上)、香芝警察署の上林大警察署長、増田朋美副署長、尾崎行紀生活安全課長らが出席した。
 長谷川局長は「多様化する特殊詐欺から住民をいかに守るかが、地域のお客さまのお金を預かる郵便局の大きな使命。最初は小さな金額の送金や出金が、回数を重ね最終的に300万円の出金となったという出来事が以前、瀬南局で発生した。詐欺ではないかと何度も説得し、警察にも来てもらったが、お客さまはこのお金は大丈夫だと、頑として聞かなかった」と事例をあげた。
 続けて「約40分にわたって説得したが、納得していただけないので、ひとまずお客さまの振込用紙を郵便局で預かることで帰宅を願った。この300万円は被害に遭わなかったが、お客さまはその後、体調を崩して入院した。もっと早い段階で止められなかったのかと思っている。今回の締結で、より連携を深めたさまざまな事が出来るのではないかと考えている」と強調。
 また「香芝管内は郵便局では奈良県中和エリアとなり、西は香芝市から東は曽爾御杖村、北が斑鳩町・平群町で南は御所市・高取町で、この中に100の郵便局が存在し、香芝市内には12局ある。他の金融機関に比べて局数が多く、お客さまへの対応が重要視されている」と状況を説明。
 そして「香芝市は大阪府のベッドタウンでありながら自然豊かな田園風景が広がり、葛城山系の山間部があり、奈良県を凝縮したエリア。この香芝署管内で、色々なことを模索しながら実行することで、奈良県全エリアに発出できると考えている。引き続き警察署の協力を得ながら、地域の安全を目指した取組みができることを切に願う」と述べた。
 小竹局長、長谷川局長、上林署長による署名が行われた。上林署長は「特殊詐欺防止は県警を挙げて取り組んでいる。郵便局の窓口で高額出金されるお客さまがいたら、すぐにお知らせいただいている。皆さんの協力で、当署管内では10月18日現在、被害が2件、被害額約250万円。奈良市や生駒市の北和地区と比べると被害は少ない状況」と述べた。
 ただ「香芝警察署が認知している予兆電話は9月末現在で41件。おそらくそれ以上の、警察に届け出ていない電話もあると思う。かなり多い状況だが、引き続き警戒を続ける。郵便局窓口等の水際で止めてもらうのが被害防止の要」と期待を示した。
 協定の主な締結事項は①特殊詐欺等被害の防止に関すること―広報チラシの設置・配布、防犯速報による情報共有②配達車両へのステッカー等の掲示③社員による高齢者への声かけ及び警察署との連携④子どもの安全見守り活動に関すること⑤口座開設時等における金融犯罪への広報啓発活動に関すること。
 協定締結の郵便局は、香芝、香芝別所、香芝五位堂、香芝二上、香芝関屋、香芝真美ケ丘、香芝西真美、広陵疋相、瀬南、箸尾、広陵真美ケ丘南、広陵真美ケ丘北の12局。
【防犯訓練を実施】
 また同日、協定締結後に17時から香芝真美ケ丘郵便局において、生活安全課による「特殊詐欺被害防止訓練」と「カラーボール投てき訓練」を実施し、12人の郵便局社員が参加した。生活安全課の森英世志係長から「窓口に高額出金に来た高齢のお客さまについて、署への通報の際には①受付時の様子・態度等細かな状況②特殊詐欺防止アンケート(高齢者用)の内容を伝えてもらいたい」との説明があった。
 その後、局外の駐車場に移動し、カラーボールの投てき訓練を行った。訓練用とはいえ、普段使うことがないカラーボールを目標に命中させる難しさを、参加した社員は楽しみながらも真剣に取り組んでいた。


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