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2021年11月22日第7119・7120合併号

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民営化委 運用方針で再意見

 郵政民営化委員会の「かんぽ生命保険の新規業務に関する届出制の運用方針」の決定内容(10月13日)をめぐり、業界団体からの意見が相次ぎ、委員会としての考え方を示すことになった。
 11月10日に開かれた第238回委員会では、それらの意見を再び議題として取り上げて議論された。決定後に委員会の考え方を示すのは異例の措置。かんぽ生命保険はこの日、新規業務の届出を行った。
 届出制の運用方針を決めるに当たり、パブリックコメントや業界団体のヒアリング(9月6日)も実施された。ヒアリングを希望する団体には意見を述べる機会を設け、委員との意見交換も行われたという。
 しかし、11月10日に運用方針が発表されると、関連する団体はホームページなどを通じて、相次いで更なる意見を公表した。委員会ではパブリックコメントやヒアリングの段階で、委員会の考え方が明確に示されていなかったことから、意見のある団体に対して納得してもらうために考え方を公表した。
 意見は主に「配慮義務」や「調査審議」「暗黙の政府保証」についてで、その多くはすでにパブリックコメントを提出している金融関係(生命保険、銀行)の団体や郵政関係の団体など。
 意見は「日本郵政の議決権保有割合が49.9%となっても暗黙の政府保証は払しょくされない」「配慮義務の遵守状況を業務開始時、開始後に適切な確認・検証をして欲しい」などがあった。
 全国郵便局長会は「金融2社の上乗せ規制は社会の要請に合致した魅力ある商品や新サービス、新規業務を。他の金融機関と同様に速やかに認可していただけるようにするため、直ちに廃止し公平な条件としていただきたい」という意見だ。
 委員会の考えとしては「暗黙の政府保証の残存は誤解」「日本郵政のかんぽ生命の株式を2分の1以上処分することにより、他の生命保険会社との適切な競争関係を阻害する恐れが低下する旨は、国会審議で法案提出者から述べられている」「必要な場合は調査審議は行う。その場合は、適正な競争関係の確保や役務の適切な提供といった配慮義務について検証する」などが示された。
 第238回委員会では、委員から「暗黙の政府保証があるという指摘についての誤解を払しょくするために、丁寧なコミュニケーションが必要なのではないか。民営化のプロセスが終わっていないことについても一般の人に伝わっていないのではないか」「理解してもらうには暗黙の政府保証はないと言い続けるしかない。上乗せ規制があることも伝えるべき」といった意見があった。

 調査審議実施へ
 かんぽ生命は11月10日、総務省と金融庁に新規業務の届出を提出した。翌11日に両省庁から通知があり、委員会では「調査審議し、外部からの意見聴取が必要」と判断した。
 12月15日に委員会で法人と団体向けの意見陳述を実施することにした。
 意見陳述の希望者は12月1日までにメール(g.yusei.mineika.c3v@cas.go.jp)または郵送(〒100-0014東京都千代田区永田町1―11―39、永田町合同庁舎内 郵政民営化委員会事務局「保険担当」係)で申し込む。


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