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2021年12月6日第7121号

【主な記事】

純利益は2651億円
日本郵政グループ中間決算

 日本郵政グループの決算が11月12日、発表された。日本郵便とゆうちょ銀行の業績が好調だったことから、日本郵政の中間純利益は前年同期比48.2%増の2651億円と大幅増となった。グループ全体では増収増益。当期純利益の通期業績予想3400億円に対する進捗率は78.0%。達成率が高く利益が見込めることから、日本郵政は通期業績予想を1400億円増の4800億円に上方修正した。ゆうちょ銀行は1株当たり7円を増配する。(関連記事3面)

 日本郵政は増収増益。経常収益は、前年同期比1116億円増(2.0%増)の5兆7507億円、経常利益は1870億円増(51.9%増)の5476億円。中間純利益は862億円増の2657億円。新型コロナウイルス感染症が落ち着き、経済が回復基調にあり、特にゆうちょ銀行は資金運用を中心に利益が大幅増となったことが、グループ全体の利益を押し上げた。
 昨年2月に約3000億円を投じ、株式取得が完了したアフラックインコーポレーテッドの配当金は、中間決算(4~9月)では年間4回のうち2回分の37.9億円を受け取った。
 通信文化新報は、業務提携によるアフラックへの投資に対するリターンとその時に盛り込まれた共同出資について質問した。日本郵政の浅井智範常務執行役は「アフラック社は30数年にわたり増配を続けており、年々配当総額が増えている。配当は四半期ごと年に4回行われ、日本郵政が受け取る年間の配当は税引き前で60~70億円。株価は1株56ドル台で推移しており、取得時より高い水準」と説明した。
 共同出資については「共同出資は行われておらず、今後も特段の予定はない。提携はアフラック社のがん保険を郵政グループで扱うということが大きい。その他にもアフラックはアジャイル開発が進んでおり、我々も活用させてもらう。いろいろな分野で提携を進めている。株式取得後4年を経過したら持ち分適用会社になることも期待している」と答えた。
 日本郵便は減収増益。経常収益は同607億円減(3.3%減)の1兆7887億円、経常利益は193億円増(124.6%増)の348億円。中間純利益は129億円増の64億円。増益の主な要因はゆうメールと国際郵便の増収、トール社のフォワーディング事業が好調だったことなどが挙げられる。エクスプレス事業の売却により赤字が縮小し、営業損益は黒字に転じた。
 ゆうちょ銀行は増収増益。経常収益は3235億円増(38.9%増)の1兆1540億円、経常利益は1535億円増(89.2%増)の3256億円。中間純利益が1110億円増(89.4%増)の2353億円。
 増収増益の主な要因は、金融市場の安定により、国際部門の資金利益が大幅に増えたこと、投資先の企業価値が上がり、特にプライベートエクイティファンドからの分配金が増加したこと、一方で調達コストは減少したことがある。
 かんぽ生命は減収減益。経常収益は1592億円減(4.7%減)の3兆2261億円、経常利益は211億円増(13.0%増)の1838億円。中間純利益は131億円減(14.0%減)の805億円。
 減収は主に新規保険契約の減少による。営業活動は再開したが、まだ軌道に乗っておらず、契約に結び付いていない。新規保険契約数(個人)は8万件。前年度上期と比べて2万件増えたが、2年前の14%に止まっている。

業績予想を上方修正 郵政、郵便、ゆうちょ

 通期業績予想は日本郵政と日本郵便、ゆうちょ銀行が当期純利益を上方修正した。日本郵政は1400円増の4800億円、日本郵便は600億円増の800億円、ゆうちょ銀行は900億円増の3500億円。
 上方修正の理由について、日本郵便は郵便・物流事業のコストコントロールの取組みやトール社のフォワーディング事業の好調を踏まえ、営業利益が想定を上回ることが見込まれること。ゆうちょ銀行はコロナウイルス感染症の再拡大という不確定要因があるものの、直近の市況から、外債投資信託やプライベートエクイティファンドからの収益が想定より増加する見込みであること挙げている。


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