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2022年1月24日第7128号

【主な記事】

特殊詐欺を未然に防止
警視庁が「声掛けマイスター」に委嘱
東京都多摩南部連絡会・八王子長房郵便局 山岸正和さん


 東京都多摩南部地区連絡会(福嶋浩之統括局長/八王子並木町)、八王子北部会(安達茂樹部会長/元八王子三)の八王子長房郵便局(浅原卓史局長)の社員に、未然に特殊詐欺被害防止に貢献したとして「声掛けマイスター」の委嘱状が高尾警察署(古田淳史署長)で交付された。委嘱状を受けたのは山岸正和さん。

 山岸さんは2020年3、5、10月に利用者の態度から疑義を抱き、浅原局長と連携して、高尾警察署にホットライン(特殊詐欺速報専用)で通報。 未然に被害を防止し、3回にわたり感謝状を受け取ったことから今回、警視庁の「声掛けマイスター」を委嘱された。
 昨年の警視庁管内では11人目となる。被害の未然防止は次のようなもの。

■3月15日、ATM前で戸惑っている60~70歳くらいの女性を山岸さんが不審に思い窓口へ誘導。電話で市役所の職員を名乗る人物から「還付金がありATMにおいて操作方法を教える」と指示があったとの返事。
 その場で女性の鳴っている電話に山岸さんが出ると「プツり」。疑わしく感じ、浅原局長に相談。ホットラインにて通報。女性もうすうす怪しいとは思っていたが相談する相手もおらず、山岸さんが声を掛けてくれて助かったと感謝。

■5月10日、山岸さんに窓口で定額貯金50万円を解約したいと60~70歳くらいの女性の申し出。挙動から疑いを持った山岸さんが、用途目的をヒアリング。NTTを名乗る人物の電話で「未払い分を納めないと法的に差し押さえる」と脅しの連絡があったと回答。
 「NTTがATMを使って口座間送金の案内をするのか?」、怪しく思い浅原局長がホットラインで報告。詐欺被害を未然に防ぎ感謝された。

■10月27日、80歳代の女性が窓口で「JA職員から電話で『郵便局に行ってくれ』と言われて来たが、肝心な内容を聞く前に切れてしまい、どう手続きしたら良いのか分からない」と申し出。
 山岸さんが事情を尋ねるも話がどんどん変遷していく。認知症も疑われると感じ、このまま自宅に帰しては待ち伏せや押し込みも考えられると不安を感じ、万が一の対応のためホットラインにて通報。警察が電話履歴を調べたところ、不審な連絡が入っていたことが判明した。
 12月28日に行われた委嘱状の交付式には、東京支社総務・人事部コンプライアンス・安全推進担当コンプライアンス・リスク管理係の堀越一哉さん、東京都多摩南部地区連絡会スタッフの野村覚美さん、山岸さんが出席。古田署長から委嘱状が交付された。
 古田署長から「特殊詐欺被害は、金融機関などの窓口が最後の水際である。警察に詐欺の報告をくれる人は相手を見破っている。しかし、窓口にくる利用者はだまされているまま。ここで被害を未然に防止していただけることは大変重要な位置づけと考える。被害にあって欲しくないとの思いから防止に全力をあげて取り組んでいる中、年間3件の被害を未然にくいとめていただき感謝。警察も協力をいただきながら抑止に努めていく」と感謝の言葉があった。
 山岸さんは「被害に合うお客さまに共通する点は、認知度の低下があげられる。話をよく聞いて、少しでも『おかしい』と感じたら、上司に相談してホットラインなどを利用して情報提供をしている。今後も被害が少しでも減っていくよう、微力ながら協力していきたい」と話した。
 浅原局長は「当局のエリアには都営長房団地という高齢化社会の縮図のような団地群がある。そこに暮らす高齢者が狙われている。私たちも注視しながら警察と連携して未然防止に努めている。お客さまが局を出たあとも終わりではない。その後のケアや安全が図られているかまで追いかける意識をいつも社員と共有している」と日頃からの取り組みを話した。


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