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2022年1月24日第7128号

【主な記事】

超高層マンションで実証実験
ドローンでオンデマンド配達

 JP楽天ロジスティクス(東京都千代田区、諫山親社長)は1月11日、自律飛行型ドローンによるオンデマンド配送の実証実験の結果を発表した。専用サイト(楽天ドローンショッピングサイト)から注文があった防災用品を物流倉庫から12キロ先の高層マンションの屋上に届けた。
 実証実験は「千葉市ドローン宅配等分科会技術検討会」の取組みの一環として、12月1日から16日までの2週間にわたり実施された。スマホから注文した救急箱や非常食、医薬品などの商品を千葉県市川市内にある物流倉庫「プロロジスパーク市川3」からピックアップし、海上を渡り、対岸の幕張にある高さ100メートルの高層マンション(THE BAYFRONT TOWER & RESIDENCE幕張)の屋上に届けた。
 ドローンに商品をセットしたら、ボタンを押すだけで自動で飛び立ち目的地に到着。配送物資を切り離し、自動で戻ってくる仕組み。操作性を重視しシステムを組み上げた。着陸にはGPSなどの位置情報のほか、画像認識機能も使った。また追跡機能も付いており、機体の飛行位置をリアルタイムで顧客に知らせる。
 機体は、台湾メーカー「Coretronic Intelligent Robotics Corporation」(CIRC)と同社が共同開発したもの。大きさは、長さ175センチ、幅175センチ、高さ90センチ。最大7キロまで運べる。
 都市部の有人地帯での目視外飛行「レベル4」(2022年度の実現目指し昨年6月航空法を改正)が、今年度制度上は可能となる予定だが、実用化に当たり同社では、機体の信頼性や飛行中の映像の遅延が起きないなど、安全に運航できる条件が揃ってから社会実装に入る計画だ。
 まずは、離島や過疎地を実用化し安全性や社会の受容を確かめたうえで、都市部を実用化していく方針だ。
 同社の向井秀明ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャーは「ドローンは高齢化やドライバー不足といった社会の課題を解決する重要なインフラになる。早く実用化できるよう技術開発を加速したい。空でもしっかり荷物を運ぶ。もう一つの物流インフラを作っていく。新たな産業を後押ししながら進めていきたい」と話す。


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