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2022年2月28日第7133号

【主な記事】

ロボットデリバリー協会発足
日本郵便などが発起人
業界で安全基準を策定


 物流のラストワンマイルを担う自動配送ロボットの安全基準や、認証の仕組みを策定する業界団体「ロボットデリバリー協会」(東京都千代田区隼町)が2月18日に発足した。参画企業は日本郵便、ZMP、楽天グループ、川崎重工業、TIS、ティアフォー、パナソニック、本田技研工業の8社。通常国会には小型配送ロボットに関する道路交通法の改正案も提出される予定で、自動運転の社会実装に一番近い業界として、期待が集まっている。

 自動配送ロボットの実証実験は、2017年から各地で実施されてきた。同協会は、これらの実証実験により安全走行に向けての知見が蓄積され、法改正に向け政府も動き出していることから、業界の自主的な安全基準や認証を策定するために設立された。
 取り組むのはロボットデリバリーサービスの安全基準の制定と改訂、認証等の仕組みづくり、行政機関や団体などとの連携、情報の収集と発信。
 Eコマースやクイックコマースの市場は拡大する一方で配送員は不足している。自動配送ロボットをこれらの課題解決に役立てようと、実証実験を重ねてきた。協会発起人の8社の公道での実験は合わせて2500キロに及ぶという。
 協会発足式で、発起人を代表して安藤公二楽天グループ常務執行役員が「各事業者の実証実験でのデータや知見を持ちより、行政機関とも連携することで、自主的な安全基準の制定や認証づくりに取り組み、早期の社会実装を目指したい。今年をロボットデリバリー元年として普及に向けて飛躍の年にしたい」とあいさつした。
 日本郵便の金子道夫専務取締役兼専務執行役員は「日本郵便は配送ロボットやドローン、テレマティクスなど先端技術の検証を進めてきた。配送ロボットは2020年に国内で初めて公道の実証実験にたどり着くことができた。デジタル田園都市国家構想に配送ロボットの活躍が話題になり、実用化に近づいたと、わくわくしている。実用化できるよう取り組んでいきたい」と抱負を語る。
川崎重工は「安心してサービスが提供できるよう品質向上に努めたい」ZMPは「2016年から宅配ロボットに取り組んでおり、長い経験が貢献できる大きな要素」。
 TISは「システムインテグレーターとして、地方での事業が成り立つよう活用に寄与していきたい」、ティアフォーは「自動運転のプラットフォームの提供者として、オープンソースで日本や世界の会社、個人も参加できるような仕組みを提供し、業界を盛り上げたい」と普及に向けた役割や取組みについて語る。
 通常国会に提出する道路交通法の改正について、今村剛警察庁交通企画課長は「これまで全国で行われた実証実験により一定の安全性が確保されたと認識している。低速の小型配送ロボットは、道路交通法の体系の中で位置づけるとともに、通行場所を事前に届けることを内容とする改正案の準備を進めている。機体の安全性は同協会が策定する自主基準に依拠することにしている」と説明する。
 協会では参画企業を今後、更に拡大させる計画だ。


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