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2022年3月21日第7136・7137合併号

【主な記事】

日本郵政グループも参画
三重県尾鷲市のゼロカーボン宣言

 


 三重県尾鷲市(加藤千速市長)は3月1日、「ゼロカーボンシティ宣言」を行った。同日、日本郵政をはじめ、地元の商工会議所、社団法人Next Commons Lab(NCL)など宣言に賛同する7つの企業や団体と実現に向けた協定を締結、脱炭素や環境教育に取り組む。日本郵政は新規プロジェクト「ローカル共創イニシアティブ」を通じてこれに協力する。

「ローカル共創イニシアティブ」も参画

 加藤市長は尾鷲市議会定例会で「未来を担う子どもたちのためにも100年後に、この美しいふるさと尾鷲を引き継いでいくことは私たちの責務。賛同いただいたパートナー企業と共に、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする」とゼロカーボンシティを宣言した。
 尾鷲市ではゼロカーボンに向けて「CO2排出量を削減する」(脱炭素)、「森林や海洋資源を保全することでCO2の吸収量を増やす」(脱炭素)、「森林や海洋を生かした新しい教育モデルの検討」の3つの施策を推進する。
 日本郵政は「ローカル共創イニシアティブ」事業の一環として、社員をこの地域に4月から2年間にわたり派遣する。同日開かれた記者会見には、派遣される日本郵政経営企画部サステナビリティ推進室の萩野泰史さんも出席した。
 萩野さんは「尾鷲の美しい森や海を100年後も守りたいと思っている。2年間で何ができるのか試す場になるが、私自身、何かを成し遂げない限り帰らないという志を持って来ている」と想いを語った。
 ローカル共創イニシアティブの協業パートナーである社団法人NCLと共に、郵便局の活用も視野に入れながら脱炭素などのプロジェクトに取り組む。NCLは、尾鷲市のゼロカーボンの実装の一端を担う「ローカルコープ尾鷲」の運営にも参画、脱炭素教育や町の魅力に関する全体戦略やコーディネートを担当する。
 ローカルコープは、共助の考え方の下、自治体の補完システムとしての自治サービスの運営を行うという構想。構想はSustainable Innovation Lab(SIL)の林篤志共同代表らが提唱。参画者を募り地域で活動を進めている。
 林共同代表は「これまでは自治体のみが担っていた地域の課題解決に対するソリューションを、住民と地域内外の企業などが連携し協働することで、地域そのものの豊かさや、住民ひとりひとりの暮らしを共に作っていくことを目指す」と説明する。奈良でも同様のプロジェクトを進めており、日本郵政はこれにも参画する。
 ローカルコープ尾鷲もこの構想に基づいて設置される。日本郵政は、このローカルコープの組成や運営をテーマ(仮)に挙げている。
 立ち上げメンバーは、同市のほか、SIL、NCL、日本郵政、一般社団法人つちからみのれ、尾鷲商工会議所、ヤフー、合同会社シーベジタブル、三ッ輪ホールディングス(東京都新宿区、尾日向竹信社長)。事務局はSIL(運営母体はNCL)の予定。
 加藤市長は「ゼロカーボンシティの実現には、地域課題の解決、地方創生の大きな柱、カーボンニュートラルの3つの取り組みが一体となったものでなければならない。実現のためには、具体的に実装する仕組みが不可欠。協定を締結した企業・団体の皆さまを実装パートナーとして、「22世紀に向けたサステナブルシティ尾鷲」の具現化に向け、実装体制を作り上げてまいりたい」とコメントしている。
 「2050年までにCO排出量をゼロにする取り組み」を行う自治体は2月末現在で598。


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