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2022年3月21日第7136・7137合併号

【主な記事】

スギ薬局と協業で買い物支援
岐阜県飛騨連絡会 東茂住郵便局


 岐阜県飛騨地区連絡会(櫻田正徳/荘川)は、飛騨市との包括連携協定締結(2021年3月26日)を機に、「郵便局での買い物支援事業」の取組みに注力している。飛騨吉城部会(洞口博明部会長)の東茂住郵便局(岡田博英局長)が、昨年4月5日にレトルト食品や日用品などのスギ薬局の商品の販売をスタートさせ、今年2月24日にはスギ薬局のカタログ商品「おもてなし便」の提供を開始したところ、「郵便局がここまでやってくれると本当にありがたい」など感謝の声が多く寄せられている。

 飛騨市との打ち合わせの中で、「東茂住地域(富山県との県境)にはスーパーやコンビニエンスストア等がなく、地域住民が食品や日用品を十数キロ先まで買いに行かねばならず困っている」との相談があり、「地域で唯一の店舗である東茂住郵便局で食品や日用品を販売できないか」と「郵便局での買い物支援事業」の実施について、以前から協議を重ねてきた。
 2021年に締結した飛騨市との包括連携協定を契機に、同年4月5日から株式会社スギ薬局との協業により、レトルト食品や日用品等の商品を東茂住郵便局で販売開始した。現在では、カップラーメンやお菓子類等を中心に、月平均120個程度の売上となるなど、地域住民に好評を博している。

 約500商品のおもてなし便も
 今年の2月24日からは、スギ薬局のカタログ商品「おもてなし便」の提供を開始し、約500品目の商品を取り寄せて、購入することが可能となった。注文方法は、郵便局のコミュニティスペースの一角に設置しているFAXを通じて、スギ薬局の店舗に発注し、窓口で商品を交付する仕組み。
 また、買い物時に囲碁サロンおよび血圧測定で地域住民に利用してもらう機会も増え、窓口ロビー隣接のコミュニティールームが地域の拠点としての役割を担うようになった。
 東茂住地域は、徒歩圏内かつ公民館での社会活動を単位とすると、24世帯39人が居住しており、平均年齢は約72.7歳に達する。東茂住(15世帯)、西茂住(3世帯)、横山(6世帯)の3地区があり、いずれも東茂住郵便局以外に店舗がないうえ、最寄りのスーパーマーケット等は、県内の飛騨市神岡町中心地域まで15キロ、あるいは富山県境を超えた市街地は20キロ以上先にあるため、買い物に不便を感じている住民が多い。

 本当にありがたい 住民から感謝の声
 郵便局での買い物支援事業によって、車での移動手段がない4世帯(4人)からは、「移動販売の利用か、たまに来てくれる子どもたちに買い出しを頼んでいたが、郵便局での店頭販売等が始まり非常に助かっている」との声が上がっている。
 車等の移動手段を持つ住民からも「高齢なので、重たい物や、かさばる日用品を、近くの郵便局で購入できるので感謝している」「普段、郵便局を利用しているのでついでに購入している」といった感想のほか、「酒類も取り扱ってもらえるとありがたい」との要望も寄せられている。
 また「郵便局がここまでやってくれると本当にありがたい」と利用者からは多くの感謝の声が届いている。

 宇宙線研究施設の職員も日常に利用
 東茂住郵便局から半径100メートル以内には、宇宙線研究施設が5か所(東京大学スーパーカミオカンデ施設、ハイパーカミオカンデ施設、東京大学重力波研究施設、国立天文台重力波研究所、東北大学宇宙線研究所)あり、研究者および維持管理職員等の関係者70人以上が従事している。日常的に利用する「修士」「博士」課程の若い研究者らは、「菓子類やカップ麺、飲み物などコンビニ感覚でそろっているのでとても便利」と好印象を語る。
 飛騨地区連絡会は、東茂住郵便局の窓口で「いつでも買える」店頭商品と、「何でも買える」カタログ商品の取り寄せによる提供を通じて、地域住民の生活必需品の購入手段の充実に貢献できるよう、取組みを今後も継続していく予定だ。

郵便局の存在価値を高める
【東茂住郵便局の岡田局長の話】
 東茂住郵便局に赴任して数年が経ち、来局者が減少傾向にある中、過疎地域における郵便局の存在価値を高める先進的な取組みとして、岐阜県飛騨地区連絡会を挙げて取り組んできた。飛騨市や協業先のスギ薬局等の支援を受けて、多くの方々の熱意と創意工夫の積み重ねが、このような新たな取組みにつながったと思う。
 東茂住郵便局の窓口ロビーに隣接したコミュニティスペースを地域住民に開放し、地域拠点として、住民の皆さまが気軽に立ち寄り、買い物や囲碁サロンに興じるなど、賑わいや活気が戻ってきた。
 郵便局で、地域住民の方々の笑顔を見ることができることを、地域に根差している郵便局長として、とても嬉しく思っている。


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