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2022年4月11日第7139号

【主な記事】

地域課題の解決で包括連携
日本郵政・楽天グループが北海道と
各社の強みで地方創生に貢献


 北海道と日本郵政、楽天グループの3者は3月29日、包括連携協定を締結した。地域課題の解決やデジタル実装、地方創生などで連携・協力する。デジタル実装サポートチームの設置や寒冷地でのドローン配送の実用化、北海道初の荷物配送の効率化、外国人向けオンライン行政相談など、3者の強みを生かして地域課題に取り組む。日本郵政の増田寛也社長は「郵便局ネットワークの強みを生かし、地域課題の解決に努めたい。協定を機に一段と取り組みを強化したい」と抱負を述べた。

 北海道と日本郵政グループ、楽天は、それぞれ個別に包括連携協定を締結している。日本郵便と北海道は、2017年に地方創生や防災などで、楽天は2009年に特産品の販路拡大や環境保全で協力してきた。3者での締結により、シナジー効果の最大化を図るのが目的。
 それぞれの強みは、日本郵政グループは全国に張り巡らされた郵便・物流ネットワーク、楽天グループはデジタル技術やECなど70以上の多様なサービスによる知見、北海道は地域のニーズやシーズの把握と提供、道内市町村・関係団体との調整など。それらを生かし北海道の人口減少や高齢化、地域活性化などの課題に取り組む。
 具体的な取り組みとして、市町村向けデジタル実装サポート体制を構築するため「北海道デジタル実装サポートチーム」を4月に設置する。サポートチームは道内179の市町村に対して、生活や産業面での課題を拾い上げ、優良事例を示しつつ、対応策や事業化を提案する。事業費はデジタル田園都市国家構想推進交付金の活用を想定している。
 北海道には外国人の移住者も多い。身近な郵便局で利用できる「外国人向けオンライン相談」を5月から6月にかけて実施する。北見郵便局や稚内市と根室市内、白老町にある郵便局を予定している。デジタルデバイド解消に向けて、シニア向けスマホ基礎講座も帯広郵便局と釧路中央郵便局で開催する。
 大消費地の首都圏や関西圏から遠くにある北海道は、物流コストが割高になる。効率的な配送により、コストの低廉化に取り組む。北海道の拠点から本州の拠点までの一括輸送や配送時期・集荷方法の工夫による荷物の集約、本州内の拠点からのゆうパック配送などにより、配送コストを圧縮する。
 雪や風、寒さなど気象条件の厳しい北海道では、ドローン配送を実用化するには課題も多い。寒冷地ではバッテリーの効率が下がり、後続距離が伸びないという問題や、雪による視界不良、強い風に対する機体の制御といった問題がある。 これらの問題点をクリアするための技術開発を進め、実用化に向けて検討する。
 記者発表は、北海道庁で行われ、日本郵政と楽天グループはオンラインで参加した。増田社長は「3者の連携により強みを生かした様々な取り組みは、地域貢献という当社の経営理念にもつながると考えている。道内の1466の郵便局、物流ネットワークという強みを生かして、地域の課題やニーズの解決に努めていきたい」。
 楽天グループの三木谷浩史社長は「70の事業を展開しており、そのノウハウやアセットを使い北海道の魅力をアップさせたい。ディスアドバンテージを逆にアドバンテージに変えたい。地域の活躍を少しでも向上できるよう協力したい」と抱負を述べる。
 北海道の鈴木直道知事は「日本郵政グループと楽天グループの両者が持つネットワークやデジタル技術を生かして北海道の課題解決ができないか、という私の率直な思いを両社長に受け止めていただき、締結に至った。新たな船出をうれしく思う」とあいさつした。


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