「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

2022年4月25日第7141号

【主な記事】

消防と「防火防災」で協定
堺・高石・大阪狭山市の郵便局


 大阪府堺市、高石市、大阪狭山市に所在する郵便局は、堺市消防局との間で4月1日、「防火防災に関する協定」を締結した。消防との協定は全国初となる堺市総合防災センターで締結式が行われた。

 締結式には、大阪府堺地区連絡会の南埜昭敬統括局長(堺浜寺船尾)、河内南部地区連絡会の辻井久仁統括局長(藤井寺小山)、堂本昭信局長(堺)、松田圭一局長(堺中)、前川一彦局長(堺金岡)、斎藤秀一局長(泉北)、萱原与嗣局長(浜寺)、冨谷芳典局長(鳳)、田中清彦局長(美原)、渡邊司局長(大阪狭山)が出席。
 消防局から堺市消防局の新開実局長、堺消防署河下武史署長、中消防署中村宏純署長、東消防署松村浩行署長、西消防署白水克文署長、南消防署黒田裕幸署長、北消防署山領崇司署長、美原消防署阪口理署長、高石消防署服部良一署長、大阪狭山消防署山﨑成昭署長が参加した。
 また、大阪府堺地区連絡会の田畑紀己治副統括局長(泉北宮山台)をはじめ、各消防署を担当する郵便局長と堺市消防局の部長や課長がオブザーバーとして出席。ぽすくまと堺市消防局のイメージキャラクター「タッシー」が参加して、総勢40人を超える締結式となった。
 堺市総合防災センターは、消防職・団員の教育・訓練施設だけでなく、市民たちに自助・共助の大切さを伝え、防災を総合的に学べる最新の防災学習施設で4月1日にプレオープン、15日にグランドオープンとなった。
 調印式は施設内のガイダンスシアターで行われ、堺市の災害特性を映像で学んだ後、堺市消防局の織田彰彦総務課長が「昨年12月に堺深井沢郵便局の北田大介局長より、地域の安心・安全に対する取組みを消防局と一緒に出来ないかとの提案を受け、消防局と消防署管内、各郵便局が連携して取り組む事項について検討してきた」と報告。
 また、「郵便局側の取組み事項は、防火防災に関する広報チラシの配架及び配布、郵便局へのAED設置による緊急事案発生時の情報共有、火災等の災害発生時における施設の利用提供、消防協力事業所への登録、まちかど救急ステーションへの登録などが挙げられる」と強調。
 消防局側からの協力体制は、郵便局社員に対する防火防災研修の実施、応急手当てに関する講習の実施等が挙げられる。管轄する市民が安心して暮らせる町を目指し、今後両者で連携して取組みを進めていくことに同意し、本日の調印に至った」と締結の経緯を説明した。新開消防局長、南埜統括局長、辻井統括局長の3人が協定書に署名した。
 新開消防局長は「堺市消防局は堺市、高石市、大阪狭山市の管内に、職員数約1000人という組織。119番通報を受けて出動する災害現場は、火災は年間約200件、救助は約1000件、救急事案にあっては約5万5000件の市民の安全・安心に関わる事案に対して出動している。今回、地域に寄り添い、地域を支え、地域と共に生きていくことを企業理念としている、大きな組織力の郵便局と連携できることは嬉しく心強く思う。風水害、地震災害、大規模災害が切迫しているといわれる中で、地域の安心・安全を守っていくため、この日を機に更なる連携強化を図りたい」とあいさつ。
 南埜統括局長は「消防局との連携は本当に心強い限り。消防が駆けつける前に、我々が市民にお手伝い出来ることがあればと思っている。私は統括局長となって12年目。12年前、平成23年には東北の震災があった。局長になって7年目には阪神・淡路大震災があった。阪神・淡路大震災の時、我々は公務員であり、郵便車が堂々と被災地に入れた」と振り返った。
 そして「民営化以降、東北の震災時には郵便車が入れなくなった。地域を愛する我々が地域の方々のお役に立てないことが、民営化によってなされた。とはいえ、我々は公の魂を失うつもりはない。引き続き地域の方々が安心・安全に暮らせるよう、局長をはじめ社員全員が活動・行動していく。これから連携していく中で、双方の気楽な交流が有事の際には強い連携になる。この機会に皆さんと懇意に、そして強い結びつきを持って実行できたらと思う」と話した。
 辻井統括局長は「美原は堺市に編入される前は、河内南部として一緒だった。郵便局は地域に根差した中で活動していかなければならない組織。地域が分断し、寂しくなっている昨今、地域の方々と何ができるのかを常に考えている。ほぼ全員の局長が防災士資格を持っているが、取得していても、運用していくとなると難しい。協定を機に、連携を密にして地域の方々に何ができるのかを模索していきたい」と述べた。
 また、「堺市には一昨年に世界遺産となった仁徳天皇陵古墳があるが、我々の地域にも古墳がある。古墳があると天災が少ないと言われるが、大和川沿いは氾濫が危惧される。例えば、藤井寺には小さな連合の消防しかない。このような立派な施設のある堺市消防局と連携出来れば、地域は活性化すると思っている」と期待を込めた。
 協定は、堺市消防局と堺市消防局管内に所在する114の郵便局が相互に協力し、地域における防火・防災の観点から地域住民の安心・安全につなげることを目的として、①地域における消防相互応援協力に関すること②その他、協議により合意した防火防災に関すること―が主な連携事項となっており、「連携協力に関する具体的取組事項」を定めて連携協力することとしている。


>戻る

ページTOPへ