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2023年09月04日 第7212号

【主な記事】

地域活性化、スポーツ振興
日本郵政・日本郵便 東京都府中市と協定

協働協定締結式に出席した皆さん。ぽすくまと府中市のマスコットキャラクター「ふちゅうこま」㊧も参加 


 東京都府中市と日本郵便の「地域活性化に関する協働協定」と、日本郵政と「スポーツ振興等に関する協働協定」の締結式が8月22日、府中市役所で行われた。4月に発足した日本郵政のスポーツ&コミュニケーション部が自治体と協定を締結するのは初めて、府中市も会社組織とスポーツ振興での協定を結んだのは初という。同協定により、日本郵政グループから中学校へのスポーツ指導者派遣なども行う計画。全国の自治体と協定を締結しながら、派遣を展開する方針。
 
 地域活性化に関する協働協定の締結式では高野律雄市長と日本郵便の東京都多摩東部地区連絡会府中西部会の矢口和成部会長(府中西府町)、スポーツ振興等に関する協働協定では高野市長と櫻井誠執行役(スポーツ&文化コミュニケーション部など担当、日本郵政グループ女子陸上部長)がそれぞれ協定書に署名した。
 地域活性化に盛り込まれた連携項目は、環境や高齢者・障害者支援、防災、子ども・青少年育成、暮らしの安全・安心、産業・観光振興、市政情報の発信・PR、地域活性化・PRに関することなど多岐にわたる。
 スポーツ振興の連携は、陸上競技などのスポーツ振興や子どもの健全育成・教育、市民の健康増進の2項目。具体的には、市立中学校の部活動指導者不足という課題を解決するため、日本郵政グループ内のスポーツ経験者の中から指導を希望する人がいれば、指導者になってもらう。市内の郵便局社員を対象、選手経験などを調べてデータベースを作成する予定。
 高野市長は「中学校の部活動を担当する教員が少なくなっている。熱心に指導している先生が異動し、後任が決まらないケースもある。生徒の指導ができる経験と力のある方が日本郵政グループにいて、職場近くの中学校に来ていただけるとありがたい」と話す。市内には11の中学校がある。
 また、日本郵政グループ女子陸上部の選手のスポーツイベントへの参加も検討されている。武蔵小金井市に女子陸上部の寮があり、府中の武蔵野公園や多摩川などでもトレーニングをしており、選手らも地域に馴染みがある。
 締結式で高野市長は「市長就任当初から市民とは協働により町づくりの施策を進めている。今回の協定は地域の安全安心や災害対策、スポーツタウン府中の実現に有効であると確信している。市の目指す『きずなを紡ぎ、未来を拓く、心ゆたかに暮らせるまち』の実現に向けて連携・協働が深まることを望む」とあいさつした。
 東京都多摩東部地区連絡会の木淳光統括局長(多摩センター)は「日本郵便は、地域活性化のために力を入れている。郵便局ネットワークや資源のノウハウは必ず役立つ。郵便局が地域の発展のために役立てるよう頑張りたい」。櫻井執行役は「スポーツを軸として、郵便局と力を合わせながら、地域活性化にグループを挙げて取り組んでいる。その第一歩として、協定を交わした。府中市の発展に、グループ全体で力を合わせて協働していきたい」と述べた。
 式には関係者19人が出席。日本郵便からは、木統括局長、加藤正俊副統括局長(府中白糸台)、矢口部会長、府中東部会の竹田貴宏部会長(府中紅葉丘)、長田諭局長(東京多摩)、平井孝博局長(武蔵府中)、東京支社の田崎政彦総務部担当部長、日本郵政からは櫻井執行役、スポーツ&コミュニケーション部の千葉岳志部長、篠原勝則統括指導役。
 府中市からは、高野市長のほか、市民協働推進部の山下隆久部長、文化スポーツ部の佐藤直人部長、協働共創推進課の小塚栄志課長、スポーツタウン推進課の目黒昌大課長ら9人が出席した。司会は協働共創推進課の本田奈織主査が担当した。
  
中学校の部活に指導者派遣〈千葉岳志スポーツ&コミュニケーション部長〉
 中学校の部活に外部指導者として日本郵政グループの社員を派遣することは、自らのスポーツ経験を活かして社会課題の解決に貢献したい、という意思を持つ社員にとっては励みにはなるが、一方でけがや事故、問題が起きた時の保護者への対応、郵便局の中の業務のローテーション、勤務時間との関係など、クリアしなければならないハードルも多くある。千葉岳志・スポーツ&コミュニケーション部長に課題解決について聞いた。
 ■中学校の部活の指導者ニーズと日本郵政グループ側とのマッチングはどのようにするのか。
 スポーツ&コミュニケーション部が設立された4月以降、多方面から情報収集を行ってきたが、地域によってそれぞれニーズが違うことが明らかになった。部活の活動時間・活動曜日(頻度)についてもいろいろなパターンがある。また、どの種目の指導者が不足しているのか、という視点も重要になってくる。
 現在、府中市には11の市立中学校があるが、どこでどのような指導者が求められているのか、学校側だけでなく、生徒や保護者にもヒアリングを行い、具体的なニーズをまとめているところだと聞いている。今後、府中市を含め、複数の市区町村でトライアルを行う必要があると考えている。
 ■勤務時間内で行うのか。その際、郵便局であればローテーションにも影響すると思うが。
 部活にはいろいろなニーズがあり、最初から画一的な社内ルールを作ってしまうと、柔軟に対応できなくなる恐れがある。まずはトライアルで実際に現場に社員を送り込むなどして課題を洗い出して解決策を導き出し、それらに見合った人事制度の整備・構築にも取り組んでいきたい。
 仮に平日夕方にある社員が部活の指導を行うことになった場合は、その社員が抜けた後の時間帯の穴埋めで、他の社員が負担を感じることのないようにすることも大切だと思う。
 ■学校教育の中でもあり、けがや事故が起きた場合の責任の所在は。
 部活外部指導者として社員を送り込むに当たっては、指導者資格講習会を受講・修了することを条件とするつもりだ。部活の地域連携・地域移行にはまだまだクリアしなければならないハードルがあるが、リスクをしっかりと潰すことで「地域社会への貢献」が生きていくよう、ステークホルダーと相談しながら、課題を一つひとつ丁寧に解決していきたい。


 


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