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2023年11月06日 第7221号

【主な記事】

「こむすび定期」新生児に10万円
新潟県ゆうちょ銀行などが協力

協定書に署名した皆さん。中央(右)が花角知事。その左が石岡エリア本部長。


 新生児に10万円を給付する「新潟県こむすび定期」の10月20日からの申し込み開始を前に、新潟県と県内金融機関の連携協定の締結式が10月16日、新潟県庁で行われた。県の単独事業で全国初。ゆうちょ銀行をはじめ地方銀行、信用金庫など39の金融機関がこれに協力する。各金融機関とも、口座獲得に向けてプラスアルファーの独自支援を用意している。
 
 新潟県は「子育てにやさしい新潟県」を施策の柱の一つとして、力を入れており、支援を充実させている。「こむすび定期」はその一環。入園や小学校入学時の経済的負担を軽減しようというもので、この施策のために「新潟県子育て等応援基金」を創設。今年度の予算では約1万人の定期預金分の10億円を組み入れている。来年度も基金に同額程度を計画している。
 今年4月1日以降に生まれた子どもが対象で、2年満期と5年満期の定期預金各5万円を配付する。県に申請し、受理されると送られてくる証明書を金融機関に持参し、子どもの口座を開設すれば、2つの定期預金が設定された通帳が受け取れる。
 ゆうちょ銀行は、お祝いの贈り物として、オリジナル切手とポストカードを作成した。ポストカードはかわいい赤ちゃんのイラストとお花。メッセージも書き込める。切手は「こむすびにいがた」のおにぎりのキャラクターとぽすくまをデザインしたもの。
 他の金融機関もクオカードや絵本のプレゼント、金利上乗せなど工夫している。
 資金面での子育て相談などを行う金融機関もあり、ゆうちょ銀行は総合的なコンサルティングサービスを行う。
 締結式には、花角英世知事、ゆうちょ銀行の石岡雅範信越エリア本部長、新潟県銀行協会の横山史雄常務理事、県信用金庫協会の西潟精一会長、県信用組合協会の小野澤一成会長、県労働金庫の齋藤敏明理事長、県信用農業協同組合連合会の島本春幸代表理事理事長、東日本信用漁業協同組合連合会新潟支店の樋口雄一常務理事が出席、協定書に署名した。
 花角知事は「県民の意識調査をしたところ、経済的なことが随分、出てきている。こむすび定期は、金融機関の定期を活用し、お金の面から手当てをしていく。金額は十分ではないと思うが、社会全体で官民挙げて、子育てを支えるという強いメッセージになると思う。子育てにやさしい新潟の実現を目指したい」とあいさつ。
 各金融機関の代表者は、組織の紹介や取り組みを説明。ゆうちょ銀行の石岡エリア本部長は「官民一体となった取り組みに深く賛同し、地域の金融機関と一緒にこの素晴らしい取り組みに参加できることをうれしく、誇らしく思う」と述べた。
 横山銀行協会常務理事は「これまでは地域の金融機関が直接、公的機関と手を携えて、活動することはなかなかできなかった。今回のように一つの商品を作り上げ、使っていくことは大変ありがたい。協会としてもポスターやチラシでこの定期をPRしていきたい」と話している。
 通信文化新報は、こむすび定期の効果や金融教育への影響について質問。花角知事は「10万円という金額では、もう1人産むことにつながるというほど、単純ではないが、子育てを社会全体で応援するというメッセージが伝わり、少しでも前向きな気持ちになってくれたらいいと思う。また口座を作ることをきっかけとして金融機関とつながりができ、金融に関する情報を手に入れることで、定期以外でも取引ができていくことが期待できるのではないか」と答えた。
 新潟県の2022年の出生数は1万2608人。2011年から減少傾向が続いている。同年の出生率は1・26で、全国平均を0.1ポイント上回る。


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