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2024年04月08日 第7243号

【主な記事】

日本郵政増田社長 収益拡大に繋がる
マイナス金利解除後の影響
ゆうちょ銀行 国債シフトを維持 

 日本銀行は3月18日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利を解除することを決めた。今回の政策変更によって、再び現物の投資先として国債を選好する機運が高まった。マイナス金利解除後の日本郵政グループの金融事業の方針を明らかにするため、笠間貴之社長が国債への投資を明言しているゆうちょ銀行に話を聞くとともに、マイナス金利解除が経営に与える影響に関する日本郵政の増田寛也社長の発言(3月26日の定例会見時)を伝える。


 3月26日に開催された定例会見で、増田社長は「ゆうちょ銀行の貯金金利について引き上げの考えがあるか」との問いに、「ゆうちょ銀行では現在、市場金利等を注視しながら、貯金金利の設定についてもさまざまな検討を行っている段階と承知している。現段階で金利の引き上げに関する方針が決定したという事実はない。今後、貯金金利の変更を決定した場合には、速やかにゆうちょ銀行から公表したい」と答えた。
 また「ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社にとって、今後の業績や経営戦略に与える影響について」との質問には、ゆうちょ銀行に関して「収益面では新規の投資利回りが改善することが見込まれるので、収益が拡大することにつながっていくと考えている。今後は、長期金利も上昇していくものと思われるが、そうなると現在保有している日本国債の評価損益が悪化するという側面が考えられるものの、これまでも金利の上昇が行われるであろうということを見据えてリスク管理を行ってきているので、全体とすればプラスの方向に働いてくるものと思っている」と見通しを述べた。
 今後については「円金利の上昇は昨年来、ある程度考えていたことから、日銀への預け金から国債への投資シフトなどをゆうちょ銀行は行ってきている。今後も、金融政策、金利動向を見ながら、経営戦略を考えてまいりたい」と語った。
 かんぽ生命に関しては「国内金利の上昇は、かんぽ生命にとっても、再投資金利の向上ということで、資産運用収益が拡大すると捉えている。したがって、他の生保も同じだと思うが、収益や企業価値のプラスに繋がると考えている」と予測した。
 続いて「これまでも、金利動向すなわち日銀の金融政策がいずれかの段階で変更されることを見越したリスク管理を行ってきたが、これからも円金利資産への投資も、きちんとしたリスクを取る中で行うなど、全体として収益性を確保していきたい」との考えを述べた。
 2023年12月末時点での、ゆうちょ銀行の運用資産残高226兆2967億円のうち、国債は41兆6307億円で、運用資産に占める割合は前年度末が16.8%だったのが18.3%にまで拡大した。日銀によるイールドカーブ・コントロールの運用の見直し等に伴う国内の金利上昇を受け新規投資を増額しており、2023年9月末に比べ国債残高は2.7兆円増加している。マイナス金利政策が解除され、国債への投資はどのように変わっていくのか。ゆうちょ銀行に聞いた。
■ゆうちょ銀行には日銀当座預金への63億円の預け金があります。昨年11月30日開催のゆうちょシンポジウムで、池田憲人前社長はその63億円の運用について「国債購入も含めてプランニング中」と述べました。笠間貴之社長は就任会見時の質疑応答で「日本銀行の当座預金への預け金を日本国債の投資の方に振り向けたいと思っている。実際、下期から投資を進めている」と明らかにしました。
 マイナス金利導入前は、(法定準備預金額を超えて預けている)超過準備金に0.1%が付与されていました。日銀当座預金の3層構造を1層構造に戻す可能性もあるとの3月に入ってからの各社の報道を見る限り、当座預金に預けていても利息が付くとの見方があります。そのような状況下において、国債投資に振り向ける考えに変わりはないでしょうか。
 日本銀行植田総裁は、当面は緩和的な金融環境が継続する方針を示していることから、日本国債投資方針に変更はありません。
■国債へのシフトは、長期保有(満期保有)目的、期中売買、先物等さまざまな形態が考えられますが。
 長期保有目的を中心に投資を検討します。
■日本国債の価格下落(利率の上昇)を見込むポジションを積み上げる投資家もいるようですが、すでに割高感というものは無いとの考えでしょうか。
 マイナス金利解除後も、日本銀行の国債買入規模は同程度で維持される予定であり、引き続きやや割高な状況が継続するものと考えます。
■今後の円金利資産への投資についてのお考えをお聞かせください。
 日銀金融政策の動向や金利水準に応じた円金利資産への投資を継続します。


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