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2024年05月27日 第7250号

【主な記事】

大和証券グループと資本業務提携
かんぽ生命 収益多様化、運用を強化

(左から)増田社長、谷垣社長、小松社長、荻野社長


 かんぽ生命保険、株式会社大和証券グループ本社(東京・丸の内/荻野明彦社長)、同社連結子会社の大和アセットマネジメント株式会社(東京・丸の内/小松幹太社長)は5月15日、資本業務提携を行うことに合意した。かんぽ生命は大和アセットマネジメントによる第三者割当増資を引き受け、増資後の大和アセットマネジメント株式の20%を取得する。同日、東京大手町の本社ビルで、4社の社長や役員が出席する共同記者会見が開催され、概要が公表された。
 日本郵政の増田寛也社長は、「かんぽ生命の収益源の多様化と資産運用力の強化を図り、収益力を高めることは日本郵政グループにとってもお客さまへの還元にも繋がり、郵便局ネットワークの価値を高めることを期待している」と述べた。
 かんぽ生命は525億円を出資し、同社を持分法適用会社とする。資産運用力の強化については、かんぽ生命の資産運用部門と大和アセットマネジメント間で人材交流を行うとともに、同社の運用資産の一部について大和アセットマネジメントへ運用委託を行う予定だ。
 かんぽ生命の谷垣邦夫社長は、「例えば、大和アセットマネジメントの運用拠点に当社運用チームの一部を派遣し、米国社債の運用業務を行うことを想定している。本提携を通じて、大和アセットマネジメントの体制を活用し、当社運用力を強化し、運用収益の増大を図ってまいりたい」と語った。
 今後については、大和アセットマネジメント、大和証券グループ本社、かんぽ生命の3社で経営協議会を立ち上げ、大和アセットマネジメントの成長に向けた協業について議論を行う。
 谷垣社長は、「例えば、オルタナティブ資産への投資について、当社の投資ノウハウを大和アセットマネジメントと共有することについて、今後協議を行う。協業を行う中で、現在20%である出資比率についても話し合い、両社の関係をさらに深めてまいりたい」との考えを示した。
 大和アセットマネジメントの小松幹太社長は、「投資顧問ビジネスへの本格参入、オルタナティブでの知見獲得についてかんぽ生命の協力を仰ぐ予定だ。また、かんぽ生命から運用に精通した取締役、監査役を受け入れることを予定している」と述べた。
 記者からの「資産運用委託の規模の数値と範囲は」との質問に、かんぽ生命の春名貴之常務は、「確定した数値ではないが、向こう2年ぐらいかけて1兆円超くらいの資産規模を委託していく方向。米国社債以外のところで、本株式のアクティブ運用などを含めて検討協議を行っていく」と回答。
 国内生保の中では、アセットマネジメント会社を保有しているケースが多く、大手生保の中で、不動産投資を除いてアセットマネジメント会社を持たないかんぽ生命は、パートナーを探していた。2019年の日本郵政グループと大和証券グループとの提携を機に両グループの関係が深まり、今回の提携に至った。
 収益源の多様化に関しては、かんぽ生命は2022年に三井物産との合弁持ち株会社を設立し、不動産におけるアセットマネジメント事業に初めて進出。今回は、株式や債券を中心とする証券アセットマネジメント事業への拡大を目指し、大和アセットマネジメントをパートナーとして選んだ。


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