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2024年07月08日 第7256号

【主な記事】

郵便料金制度の見直しへ
総務省 政策委員会で議論
透明性・適正性ある算定を検討

 第38回情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)が6月24日、開かれた。郵便局活性化委員会を廃止し、郵便料金の制度について審議する「郵便料金政策委員会」を設置した。総務省は料金制度の在り方について審議会に諮問。郵便料金政策委員会では、調査・検討を行い、来年夏をめどに答申をまとめる。また、パブリックコメントを終え一部修正された「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」答申案を承認した。


 郵便料金は10月1日に値上げされる。郵便物数の減少や物価の上昇などコスト増により、郵便事業収支は、2025年度には一時的に黒字(67億円)になるものの、翌年からは再び、赤字になる見込み。「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」の答申で、安定的な郵便サービスの提供という観点から郵便料金の制度の見直しも含めた検討を行うことや適切な価格転嫁の取り組みの継続と利便性・付加価値の高いサービスの開発・提供が明記された。
 また、郵便料金改定の過程で審議が行われた「物価問題に関する関係委閣僚会議」では、「同制度の見直しの検討結果を踏まえ、次回の改定までに、郵便料金に関する算定基準等を作成・公表する」「適切な賃上げとその監視」という政府の方針が示された。
 総務省の諮問内容は「郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方」。主に制度の見直しや透明性・適正性のある郵便料金の算定などについて審議される。郵便料金政策委員会の主査には山内弘隆武蔵野大学経営学部特任教授が選任された。
 委員からは「現在の規制は、大きな郵便局が民業を圧迫しないか、過剰な利益を上げさせないようにすることを前提にした考え方だが、世の中の実態と合っていない。現状に即した形で見直す必要がある」という意見が出された。総務省は「規制が作られた当初と比べて経営環境が変化しており、どのような規制が望ましいのか審議してもらいたい」と述べた。
 海外の郵便事業との比較について「ラ・ポストは高いサービスレベルを維持しながらも利益を上げている理由は」との質問があり、総務省は「ラ・ポストが郵便サービスだけでなく、様々な公共サービスを組み合わせながら提供していることがある」と説明した。
 このほか「日本郵便のサービスは法律で規定されており、それに則り運営するには値上げが必要だということをセットで説明していくことが必要。郵便事業が縮小傾向にあるから値上げが必要というだけでなく、クオリティの高さをアピールすることで、値上げに対して国民の理解が得られると思う」「民間企業なら、赤字が見込まれる場合、その対策として新たなサービスの拡充をセットで報告する。値上げと合わせて対策を発表してもらうのが良いと思う」などの意見が出された。


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