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2024年09月16日 第7266・7267合併号
【主な記事】郵便局を「コミュニティ・ハブ」に
総務省概算要求 地域活性化の推進拠点
総務省は8月30日、来年度の予算概算要求を公表した。一般会計要求額は、前年度実績と比べ6221億円増の18兆8327億円。主な増額の要因は、来年予定されている国勢調査と衆議院・参議院選挙の費用の2580億円と重要政策推進枠の472億円。郵政関係では新規事業として郵便局を地域活性化の推進拠点「コミュニティ・ハブ」として活用推進するための実証事業に1.5億円を要求している。
郵便局のコミュニティ・ハブとしての活用推進(地域の持続可能性の確保に向けた郵便局の利活用推進事業)は、「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」(6月に一次答申)に、郵便局がコミュニティ・ハブとして機能を果たすことへの期待が明記されており、同事業はこれを受けて新設された。
同事業は郵便局が、コミュニティ・ハブとしての役割を果たすことで、地域に必要な機能を維持するとともに、行政事務の効率化や生活支援サービスの充実・強化を図ることを目的としている。
総務省ではこれまで、行政の事務受託事業をはじめ、郵便局でのオンライン診療、買い物支援などの実証事業を行ってきたが、来年度はこれらのサービスを組み合わせて、地域のニーズに応えていく。
地域の事情は、「自治体の支所や銀行などの金融機関が撤退した」「医療機関や食料品を購入する店が遠い」など様々。行政サービスだけでなく、民間サービスを必要とする地域も多い。
同答申では、郵便局がコミュニティ・ハブで担うサービスとして、買い物や見守り、防災、金融窓口、鉄道窓口、道路インフラの管理などを挙げているが、地域や自治体のニーズと郵便局ができることのマッチングも必要。実証事業の選定に当たり総務省では、「地域のニーズを把握している自治体からの提案」も含めて検討する。
このほか、「万国郵便連合(UPU)への拠出金による国際協力の強化」として10.4億円。今年度実績と比較して2.1億円増。増加は、円安(拠出金は今年度と同じ額)と来年9月にアラブ首長国連邦のドバイで開催される予定の4年に一度の「UPU大会議」の費用などによる。
日本型郵便インフラシステムの海外展開は継続される。日本の優れた郵便業務のノウハウや関連機材・システムを途上国や新興国の郵便サービスの品質向上に役立てるとともに、日本企業の海外展開を後押しする。消防や行政相談など他の分野と合わせて要求額は11.1億円。
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