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2024年09月30日 第7268号

【主な記事】

部活動の地域連携・移行を支援
日本郵政、スポーツデータバンク、三井住友海上火災保険

ブカツコンソーシアム協定式典。(左から)新見専務執行役員、石塚代表取締役、櫻井常務執行役


 学校部活動の地域連携・地域移行の支援を目指し、日本郵政、スポーツデータバンク株式会社(東京都中央区/石塚大輔代表取締役)、三井住友海上火災保険株式会社(東京都千代田区/舩曵真一郎社長)の3社は、「ブカツ・サポート・コンソーシアム(通称:ブカサポ)」を9月10日に設立した。同日に開催された協定締結式で、日本郵政の櫻井誠常務執行役は、「2社と協議を重ね、国内の大きな社会課題である部活の地域移行に日本郵政として協力できれば幸い」と述べた。
 
 コンソーシアムでは、3社が理事となり、スポーツデータバンクが筆頭理事を務める。コンソーシアムを代表する3社は、外部との交渉などを行うとともに、コンソーシアムの運営や活動に貢献していく。スポーツデータバンクは、学校部活動の地域連携・地域移行における自治体へのサポート・支援、コンサルティング業務を含めた制度設計を事業としている。
 学校部活動は、少子化の進展により、学校単位での態勢では今後の運営が困難となることが課題となり、学校や地域によっては活動が厳しい状況にある。部活動を担当している教員が、必ずしも担当する種目の専門性を有しているわけではないうえ、学校の働き方改革が進む中、教員が顧問を務める態勢の継続が困難となっている。こうした課題を踏まえて、スポーツ庁は学校部活動の改革の必要性を掲げている。
 コンソーシアムを構成する企業や団体、大学等が持つ専門性を最大限に生かしたサポートで、日本全国の子どもたちのスポーツ・文化芸術活動に寄与していく。理事で構成される理事会の直下に運営事務局を設置する。スポーツデータバンクと三井住友海上火災保険から成る運営事務局の役割は主に、外部からの問い合わせの対応・窓口となる。
 会員は、地域移行を推進するうえで、様々な課題を解決するよう、企業や団体、大学、研究機関などと連携して協業していく。今後徐々に支援メニューを拡充することで、地域連携・地域移行の自治体へのさらなるサポートを進める。
 また、公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)との協力関係を構築していく。コンソーシアムの支援メニューのひとつである、指導者等を対象とした講習会や資格取得プログラムについて、日本郵政との連携を図っていく。JSPOからの協力を仰ぎ、スポーツ関連団体などとの協力関係も構築しながら、コンソーシアムは各地方自治体からの支援要請に応じて実情に即した支援の提供を行う。
 コンソーシアムは、子どもたちのスポーツ・文化芸術活動の中心だった部活動を持続可能な次世代の部活、つまり地域クラブとして実現し、心身ともに成長していけるよう、地域ごとの実情に対応して、持続可能で多様な環境の整備を行うとともに継続的に貢献していけるようにとの思いで設立が構想された。同じ思いを持つ他社・団体等と連携して、部活動の地域連携・地域移行の取り組みから見えてくる様々な課題の解決解消に共に取り組んでくために、今回のコンソーシアムの設立に至った。
 同日、東京・新宿のJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREで協定締結式が開催され、日本郵政の櫻井常務執行役、スポーツデータバンクの石塚代表取締役、三井住友海上火災保険の新見吉晴専務執行役員が協定書に署名した。
 あいさつに立った櫻井常務執行役は、「昨年4月にスポーツ&コミュニケーション部を立ち上げて、まず一丁目一番地の課題が地域貢献を下支えしていく中で、中学校を中心とした学校教育における部活動の地域への移行を含めた将来像への貢献だった」と述べたうえで「スポーツデータバンクと三井住友海上火災保険の2社とこのような形でコンソーシアムを組むことができ光栄に思う。2社と協議を重ね、国内の大きな社会課題である部活の地域移行に日本郵政として協力できれば幸い」と語った。
 スポーツ庁による部活動の改革については、令和5年度以降では、具体的な実証事業を進めるための事業予算の確保や事例集などの公表により、様々な取り組みの内容が周知されている。今年度の取り組みの状況については、実証事業が拡大され、6月時点では510の市区町村が実証事業の実施を予定している。この実証事業では、コーディネーターの配置や態勢整備、指導者の確保、参加費負担への支援などが行われ、全国的な取り組みを推進している。また、今回の実証事業から政策課題の解決に向けた取り組みを実施する重点地域における政策課題の対応も新たに盛り込まれている。
 支援可能な態勢構築をするために、今年度中に自治体や会員からの相談や問い合わせを受け付ける総合的な窓口として、運営事務局内にブカサポデスクを開設する。企業団体向けについては、コンソーシアム連携のための支援メニューなどの検討について打ち合わせする。その後、コンソーシアムの活動として、自治体の課題に対応するソリューション提供と連携の準備を進める。
 提供可能な支援メニューは、地方自治体、指導者等、共通事項に分類される。
 【地方自治体に対して】①プロジェクトの全体管理(制度設計、計画策定、進捗管理、人材管理等)に関するアドバイス、コンサルティング②指導者・運営支援者等(以下「指導者等」)の配置③3社が保有する施設を活用したスポーツイベントや金融リテラシー教育等の企画・実施④「カラダうごかせ!ニッポン!」プロジェクトのメインコンテンツ「MEKIMEKI」体操。
 【指導者等に対して】①指導者等を対象とした「JSPO 公認スポーツコーチングリーダー」養成講習会の受講・資格取得プログラムの提案②リスクの軽減・回避に繋がる、「リスク対策eラーニング」の提供。加えてスポーツ活動等を行う子どもたちや指導者等を対象とした、活動中のケガや賠償責任を補償する「スポーツ安全保険」の加入促進。
 【共通事項】①所属アスリートおよびOB・OGならびにスタッフ等による指導者等を対象とした研修やスポーツ体験イベント等の企画・実施の検討②今後、会員として本コンソーシアムに加わる企業・団体や大学・研究機関等が有するリソースの有効活用。


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