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2024年09年30日 第7268号

【主な記事】

小林鷹之衆議院議員 
郵便局ネットワークを最大限活用
〝地域の絆〟の回復へ
地方に投資、成長産業を育成


 大蔵(財務)官僚を経て2012年の衆議院議員選挙で初当選を果たした小林鷹之議員は、岸田政権で経済安全保障担当大臣として関連法案成立を主導した。9月27日に投開票された自民党総裁選にいち早く立候補を表明し、「世界をリードする日本」と訴えた。地方への大胆な投資を主張し、郵便局ネットワークを最大限に活用すべきと強調する小林議員に聞いた。(坪内隆彦)


■小林議員は日本人が「地域や家族の絆」を大切にしてきたと強調しています。地域の絆を取り戻すうえで、郵便局ネットワークにどのような役割を期待していますか。
 国民の生活は自助、共助、公助に支えられていますが、社会が成り立つためには地域コミュニティが維持されていなければなりません。ところが最近、自治体や町内会を見ても、地域コミュニティ、地域の絆が弱まってきているように感じています。いまこそ地域の絆を回復しなければなりません。だからこそ、2万4000の郵便局ネットワークが非常に大切だと思っています。
 同時に私は、地方から活力が出てくるようにしなければ、日本の発展はないと考えています。これまでも、地方都市は企業誘致や移住促進など、活力を取り戻すための様々な取り組みを進めてきました。それに成功している自治体もあるかもしれませんが、基本的には人口減少に歯止めがかからず、地方から都市への人口流出、東京への一極集中は是正されていません。
 地方からの人口流出に歯止めがかからなければ、地方はさらに疲弊していきます。総裁選に出馬した理由の一つも、そこをなんとかしたいという強い思いがあるからです。それぞれの地域で、国と自治体と企業が一体となり、新しい産業の集積地を作るべきだと思います。
■総裁選で青森を訪れた際には、「人口減少が青森県にとっての大きな課題だと認識している。そういう地方への投資を訴えていきたい」と述べています。積極的な財政措置が必要だということですか。
 もちろんです。ただし、国が各地域の自治体や企業ときちんと話をしたうえで、半導体、航空宇宙、グリーン関係、データ産業など、それぞれの地域の特徴やニーズを踏まえ、10年、15年先のビジョンを共有しながら、戦略産業を育成していくことが重要だと思っています。こうした新しい産業政策を、私は「シン・ニッポン創造計画」と名付けています。
 戦略産業の育成は、民間企業だけではリスクが大き過ぎますから、必要最小限のリスクは国が取り、国が伴走する形で進める必要があると思います。地方に投資をしなければ、東京一極集中の流れは止まりません。
 地方に企業が集積されれば、雇用の機会が増え、所得も上がります。そうなれば、地元で生まれ育ち、地元で就職し、地元で結婚して子育てをしていくことができます。私はそういう地方にしたいと思っているのです。できるだけ若い人が地方に残り、地元を支えていただく。その中で、2万4000の郵便局ネットワークが果たす役割は極めて重要だと思います。
 特に、市町村合併などによって行政サービスを提供する拠点が減少するとともに、これまで地域を支えてきたJAなどの集約が進む中で、郵便局こそが地域の公共サービスの最後の担い手になっています。多くの同僚議員たちもそう思っています。
 「この郵便局ネットワークをどうすれば最大限に活用できるか」という視点が必要です。高齢化が進む中で、例えば「買い物難民」の支援という役割も重要です。災害時の情報伝達においても重要な役割を果たせると思います。さらに、郵便局を活用したオンライン診療にも期待が高まっています。
 郵便局の強みというのは、地域の皆さんと顔の見える関係を長年培ってきたことによって築き上げられた信頼だと思っています。地域の公共サービスの最後の担い手として、その役割を十分に発揮していただきたいと思います。
 現在、郵便事業は厳しい状況に置かれていますが、郵便局ネットワークに新たな付加価値をつけていくことは重要なチャレンジだと思いますので、私はそれを応援していきたい。
■小林議員は「先人が培ってきた文化、伝統に立脚した保守」を唱えています。
 私は、一人ひとりの人間は、間違えうる存在だと思っていますし、一人ひとりの知識は非常にちっぽけなものだと思っていますので、より多くの人が知恵を出し合う仕組みとして民主制が重要だと考えています。しかし、多くの人の意見を取り入れても、間違える可能性はあります。
 だからこそ、多くの時間をかけて、多くの先人たちが試行錯誤する中で積み上げてきた伝統、文化、慣習を尊重したうえで、時代に合わないところを少しずつ変えていくのが、本来の「保守」の姿勢だと思います。
 今まであったものを一気に壊してしまうような急進的な改革には、慎重であるべきだと思っています。時間をかけ、少しずつ漸進的に改革を進めていくことが政治のあるべき姿なのではないでしょうか。(2面につづく)


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