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2024年10月21日 第7271・7272合併号

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〝お困りごと解決〟に懇談会
埼玉県西部連絡会 総務省・川越市と協力


 埼玉県西部地区連絡会(野口浩之統括局長/西坂戸三)は9月25日、「地域のお困りごと解決に向けた懇談会」を総務省、川越市と合同でウエスタ川越(埼玉県川越市)で開催した。総務省と川越市、郵便局が地域の悩み事を取り上げ、行政で対応できること、郵便局が協力できることなどの対応策について意見交換した。
 懇談会には、日本郵便関東支社の森田真紀経営管理本部経営管理部地方創生室専門役、埼玉県西部地区連絡会の野口浩之統括局長(西坂戸三)、川越東部会の本藤輝明部会長(川越脇田)、川越西部会の笛木淳部会長(川越伊勢原)、川越東部会の中村吉宏総務担当副部会長(川越月吉)、柳沼正博局長(川越砂)、山田貴文総務部長(川越)が出席した。総務省からは水野靖久関東管区行政評価局長のほか、行政相談部門の担当者が出席、川越市からは川合善明市長のほか危機管理部門、政策部門、産業観光部門、広聴部門の代表者が出席した。
 初めに水野行政評価局長が、「総務省は郵便局を活用した『地方活性化方策検討プロジェクト』を立ち上げている。その一環として開催した今回の会議で地域の埋もれた困りごとを発掘し、それぞれの機関の強みを生かした問題解決を目指していきたい」とあいさつ。
 川合市長は「三者で地域の課題解決と活性化を目指す初めての懇談会になる。市役所では市民の声を市政に生かすため、市民意見箱を設置している。いかに潜在的な意見をくみ取るかが大事と思う。関係機関と連携して地域の発展に取り組んでいきたい」と述べた。
 続いて野口統括局長が「郵便局は地域にとって身近な存在で、特に高齢者に寄り添ったサービスを提供している。川越市内には28の郵便局があり、郵便ポストは278か所設置してある。こうした郵便局ネットワークを活用しながら川越市と連携してできることを模索し、地域のために貢献したい」とあいさつ。河本令子埼玉行政相談委員協議会長は「今日は川越市の担当委員と所沢市の担当委員が出席させてただいた。懇談会を通して、行政機関と郵便局で何がコラボできるか意見交換をし、出された意見を行政に生かしたい」と述べた。
 続いて井澤誠子総務行政相談部長が懇談会の趣旨を説明。「郵便局と川越市が連携し、地域の困りごとを解決する土台作りのきっかけとしたい。郵便局には能登半島の地震の際にも協力いただいた。関東管区行政評価局では様々な相談を受け付けており、行政相談委員にも協力いただいているが、郵便局とも連絡を密にして協力いただき、地域のために取り組んでいきたい」と郵便局に期待を寄せた。
 日本郵便における地方創生については森田地方創生室専門役が説明。「日本郵便は『地域と寄り添い、地域と共生する』を会社の経営理念としており、住民の利便性の向上に貢献することで、郵便局の価値や存在意義の向上が図れる。郵便局の地域の課題解決に対する考え方は、川越市や行政評価局の取り組みと親和性があると思う。郵便局は各自治体と包括連携協定を結んでおり、川越市とも平成29年5月31日に締結した。高齢者のみまもりや防災対策など、住民の安全や満足度を高める取り組みをしていく。郵便局が地域のために何を提供できるかを考え、地方自治体に提供できることを実現化することが必要」と述べた。
 松本英藏行政相談委員からは、「これまで住民から様々な意見を受けているが、『郵便局を作って欲しい』という要望があったこともある。郵便局の集配社員が配達の現場で見聞きした住民の困りごとを行政相談につなげていただき、新しい仕組みを作れたらいいと思う」と述べ、各機関の代表者が展望や期待感を述べることで、問題解決のために一致協力する意向にあることを確認した。
 続いて、今回のテーマである「災害対応」と「オーバーツーリズム、外国人対策」についての意見交換となり、対応策についての意見が出された。
 ①災害対応について
 大地震や台風、津波、災害級の酷暑など自然災害が多発している昨今、川越市から自然災害発生時の対策が問題提起され、「川越市は能登半島地震の救援として、給水車や職員、保健師を現地に派遣し、家屋の被害調査、罹災証明発行の手伝いでも職員を派遣した。一方、川越市もこの夏、大雨による大きな被害が生じた。こうした状況の中、高齢者や体の不自由な人の支援や救助が一番の課題になっている。郵便局で何か協力できることがあれば提案いただきたい」と要望。
 郵便局からは「ハザードマップを窓口に配備しているが、高齢者にまだ浸透していない状況にある。このマップを全戸配布したり、行政で作成したポスターやチラシを郵便局窓口に配置するなど、郵便局社員が避難場所を教える、または誘導するなどの協力ができると思う」と回答があった。
 また「災害は家にいる時に起こるとは限らない。外にいる時はどこに逃げればいいか分からない。外出時に災害にあった場合に備えて、市内にある278本のポストにQRコードを貼っておき、それを読み取ることで避難場所等のさまざまな情報が分かるようにするのもひとつの方法」などの意見が出た。
 行政相談委員からは、「包括連携協定では災害時は二輪車が機動性に優れているため、緊急物資を二輪で配達してもらうことも含まれている。ただ、大量の緊急物資をどこに保管するのかなどの共通認識を持っておく必要もあると思う。また、川越市は江戸の風情を残した区域もあり、観光客が多い。観光客の避難対策も必要。郵便局の社員には土地勘のない観光客の避難場所への誘導等に協力いただけるとありがたい」などの要望があり、防災無線を利用した情報提供などの案も出された。
 ②オーバーツーリズム、外国人対策
 コロナ禍が終焉し外国人観光客が増加している現状にあって、川越市も観光客への様々な問題に直面している。岸野産業観光部長から「川越市には一番街という江戸風情を残した区域があり、一か所に集中して観光客が来る。大型観光バスが走行する場合も多々あるが道路幅も狭く、車両と歩行者が錯綜して危険な状況にある。またインバウンドにより外国人観光客も増えているが、マナーを知らない外国人のゴミのポイ捨てなどが問題になっている」と問題提起があった。
 どこの国の人でも視覚的に理解できるように「ピクトグラムでマナー啓発する」などの案が出され、郵便局からは「外国人への対応としては、やはり言葉の壁が存在する。災害時の避難誘導にしても外国人への啓発にしても言葉が通じない問題が大きい。ピクトグラムも有効だが、行政の側でも通訳に関して検討するなど、言葉の問題に取り組んでもらうといいと思う」と要望した。
 最後に水野行政評価局長が「今日の会議で出た災害対策や通信、地方行政、郵便事業の管轄などは、すべて総務省が所掌している。地域住民からこうした分野に対する意見が出た際は私たち総務省に連絡いただければありがたい」と締めくくり、総務省と川越市、郵便局が一体となって地域行政の取り組みを向上させていく、貴重な懇談会になった。


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