「通信文化新報」特集記事詳細
2024年11月04日 第7273号
【主な記事】地域活性化に協力
集落支援員制度
近畿支社 受託へ自治体に働きかけ
総務省の集落支援員制度を法人が請け負えることを活用して、近畿支社では業務受託に向けて自治体への営業に乗り出す。集落の課題を把握し、解決や改善策を住民同士で話し合ってもらうという仕事。郵便局は、地域のお困りごとのお手伝いは日頃から心掛けており、業務を社会全体でも受託できるよう自治体に働きかける。
人口減少や少子高齢化が進む中、住民は通院や買い物、公共作業に支障が起きている集落もある。集落支援員制度は、市町村職員と集落支援員が連携し、これらの集落ごとに特色ある課題を把握し、住民に自ら当事者意識を持ってもらいながら、課題解決や将来のあるべき姿を話し合ってもらい、解決に導くというもの。
仕事内容は、集落の現状や課題を把握する「集落の点検」(人口や世帯数、通院・買物・共同作業・農地の状況、資源やUIターン、他集落との連携の状況など)、課題について集落内での話し合いを促進していく業務、それらを自治体に報告する業務など。このほか、任意ではあるが、地域と共に地域の活性化策に取り組むこともある。
同制度は2008年度から始まり、個人、法人ともに受託できる。専業で行う「専任」と他の仕事と併用しながら行う「兼任」の2種類がある。郵便局が兼任として業務を遂行するに当たり、総務省では「郵便局の本来業務と集落支援業務を区別したうえで行ってもらうのが基本」と話している。
採用の条件としては、地域の実情に詳しく、集落対策の推進にノウハウと知見があることが挙げられる。地域を良く知る郵便局OBが委嘱を受けて、うまくいっているケースもあるという。
総務省では、この制度に対して特別交付税を、兼任では年間で1人当たり上限40万円、専任は上限485万円を自治体に交付している。郵便局が業務を行う場合は、市町村と郵便局(日本郵便)が委託契約を締結する形になる。法人契約となり受託料は業務内容も含めて、市と郵便局(委嘱された本人も含めて)との間の話し合いで決めることになるという。
総務省では「郵便局は地域ごとにあり、地域に詳しい局長は身近な存在。ずっと同じ人が地域にいて、配達もしていて、地域の実状がよくわかっている」と郵便局の集落支援員の活躍に期待する。
昨年度の集落支援員数は全国で4926人(専任2224人、兼任2702人)。専任・兼任共に60歳代が4割弱を占め、一番多い。集落支援員の設置団体は増加傾向にある。
集落支援員の地方自治体との契約について日本郵便では「日本郵便が集落支援員の業務を受託できることを多くの自治体に知っていただけるよう取り組みつつ、興味を持つ自治体に地域の郵便局がお役立ちできるよう前向きに取り組みたい」としている。現在のところ、契約した事例はない。
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