「通信文化新報」特集記事詳細
2024年11月18日 第7275・7276合併号
【主な記事】年賀はがき発売 多様なサービス提供
当初発行枚数 10億7000万枚
新商品「POST&GIFT」
日本郵便は2025年用年賀はがきを11月1日から販売開始した。当初発行枚数は10億7千万枚で、前年より3億7千万枚減となった。年賀はがき発行枚数は年々減少し、過去最高だった2004年用(44億5千万枚)の約4分の1に落ち込んだ。一方、5年ぶりにディズニー年賀はがきを発行するほか、2025年日本国際博覧会にちなんだ寄付金付きはがき、100個限定の「ロイヤル純金年賀状」、新商品「POST&GIFT」年賀はがきの発行など、さまざまな工夫をこらした商品やサービスを提供する。
「POST&GIFT」年賀はがきはQRコードを印刷した年賀はがきで、年賀状と共にギフトを送ることができる新商品。受取人ははがき上のQRコードからアクセスするWebサイトで好きなギフトを選択することができる。
また日本郵便は2022年用年賀はがきから、「森林の保全と持続可能な利用」に関して社会的な役割を果たすため、FSC®認証を受けた紙の使用などに取り組んでおり、2025年用年賀はがきについても継続する。
発売初日の11月1日には東京中央郵便局に多くの年賀はがきを買い求める人たちが訪れた。報道陣からの「今年から単価が上がったが、その影響は?」の問いに、50代男性は「値上がりで差し出す枚数は減らした。今までは友人・知人全員に出していたが、今年からは疎遠になっている人だけに出すことにした」と回答。その一方、「個人で買う枚数はそんなに多くないので、多少値上がりしても購入枚数は昨年と変わらない」と答える人もいた。高校で教師をしているという女性は、「年賀はがきは日本の文化。値段にかかわらず大切にしていきたい」と話し、今後も枚数を減らす考えはない意向を述べた。
販売枚数の減少に伴って販売日初日の購入にこだわる人も減少しているためか、郵便窓口に大きな行列ができることはなかったが、必ず初日に東京中央郵便局で購入するというコアなファンもいて、9時の窓口オープンと同時に郵便窓口で購入していた。
手書きで年賀はがきを作るのが好きという人や、今年から販売となったPOST&GIFT年賀はがきをいち早く購入する人もいて、郵便窓口は賑わいを見せた。
年賀はがきの引き受けは12月15日から。元旦に配達するためには12月25日までの差し出しを呼びかけている。お年玉くじ抽選日は2025年1月20日で、1等は現金30万円または選べる電子マネーギフト「EJOICA(イージョイカ)セレクトギフト」31万円分または2024年発行特殊切手集&現金20万円。
また、同日にシティホール&ギャラリー五反田で販売開始セレモニーが行われ、日本郵便の千田哲也社長が登壇しあいさつ。「今年の年賀はがきは『年に一度。だけど、ずっとつながっている』をコンセプトにした」としたうえで、「年賀はがきは友人、お世話になった方と新年を迎えることを一緒にお祝いし、あいさつし合う大切な伝統文化。年に一度年賀はがきを出すことで『つながり』を育むことができる」と話した。また今年発行する新商品を紹介し、POST&GIFT年賀はがきや大阪・関西万博に関連した寄付金付年賀はがき、「ロイヤル純金年賀状」について購入の検討を呼びかけた。
続いて年賀状アンバサダーに任命された俳優の中川大志さんが登壇し、年賀はがきに向けた思いを披露。「歴史ある年賀はがきのアンバサダーに指名していただき、大変光栄に思う。CM撮影は路上でギターの弾き語りをするシーンだったが、子供の頃の夢はまさに路上ライブをすることだった。年賀はがきのおかげで夢がかなった」と述べ、自身も販売初日の朝に品川郵便局で年賀はがきを購入したことを披露した。
柔道家で2021年東京五輪金メダリストの阿部一二三さん、同じく2024年パリ五輪金メダリストの角田夏実さんが登場し、それぞれが年賀はがきに対する思いを語った。阿部さんは「オリンピックで金メダルを取った時に、自分のフレーム切手が発行され、すごく嬉しかった」と話し、角田さんは「年賀状は毎年出している。もらうと嬉しいので、こちらからも出したい」と述べた。
会場には地方版の絵入り年賀はがき全種類と純金年賀はがき、その他新商品の年賀はがきなどが展示され、来場者は興味深そうに見学していた。
発行枚数が対前年3億7千万枚減となったが、日本の文化を象徴する年賀はがきの販売がスタートした。
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