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2024年12月23日 第7280・7281合併号
【主な記事】機動的な料金改定を
総務省政策委 日本郵便が要望
総務省の第5回情報通信審議会郵政政策部会郵便料金政策委員会(山内弘隆主査)が12月3日、開かれた。日本郵便へのヒアリングが行われ、同社は「郵便料金制度の見直しへの要望」について説明した。
ヒアリングには日本郵便の美並義人副社長が出席。日本郵便は「主体的で機動的に料金改定を行えるようにして欲しい」「値上げの国民の許容と予見可能性の確保のため、値上げの上限は、賃金や物価の上昇率等を反映した算定式により算出されるものにしてもらいたい」の2つを要望。
今後の検討項目としては「郵便のユニバーサルサービスの財政的な支援の可能性」と「第三種郵便物、第四種郵便物の必要性・妥当性の確認・検証と費用負担の在り方」の2つを挙げた。
美並副社長は料金改定について「海外は頻繁に料金改定をしているが、日本は30年ぶり。改定には省令改定が必要で主体的に変えることが難しい。2023年10月に諮問して、届出までに6か月かかった。法人利用者の小刻みな値上げの方が受け入れられやすいという意見を受け、改定には主体的、機動的、柔軟で、経営判断を踏まえた実施が必要」と主張した。
料金設定基準については、現状では「適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならない」と規定されており、具体的でないことを指摘。
諸外国の料金上限が、物価上昇率(CPI)と物数減少を反映した算定式が導入されていることを挙げて、検討を要望した。
委員からは「郵便料金規制は、総括原価方式とプライスキャップ方式(上限価格方式)、あるいはハイブリッドなのか。今後、議論することになるが、適正な原価の範囲など定義を明確にしたうえで、公平性、透明性を保っていく。まずは適正な原価を明らかにすることが重要」「欧州で導入が進んでいるプライスキャップについては、通信の場合はデータ入手の制約が大きく、難しかった。上限価格の運用は簡素化した手続きで行う。上限以下なら経営判断で日本郵便が行えるよう協力したい」「第3種、第4種郵便は、以前の議論では日本郵便の経営努力で頑張って下さいということで財政支援をする省庁は一つもなかった。赤字分を値上げする方向が現実的な選択肢だと思う」という意見。
総務省によると、第3種と第4種については、この委員会で扱う予定はないが、25グラム以下の郵便の上限、現在は110円だが、郵便法ではそれを上回らない水準と定義されている。第3種と第4種は値上げの余地は残されている。
この日は日本クレジット協会のヒアリング(会員906社)も行われた。同協会では大手クレジット会社13社にアンケートを実施(10月29日~11月8日)した。10月からの値上げについて、郵便物をすでに減らしているが7社、今回を機に減らすが7社、減らす予定がないは3社に留まった。
同協会では「安定的な提供のための値上げは理解できるが、公式発表が6月で10月の実施までに時間がなかった。大掛かりなシステムで、修正に時間が掛かる会社もある。開発するためには1年前、少なくとも半年前には正式な情報をもらいたい。また、小刻みな値上げにしてもらいたい」と要望した。
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