「通信文化新報」特集記事詳細
2025年01月06日 第7282・7283合併号
【主な記事】年頭所感 日本郵政 社長 増田 寬也
最大の財産は郵便局ネット
グループの未来を切り拓く
通信文化新報の読者の皆さま、あけましておめでとうございます。
皆さま、つつがなく新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
2025年を迎えるにあたり、日本郵政グループを代表して、新年のご挨拶と本年の抱負を申し上げます。
昨年元日に発生した能登半島地震では、248の郵便局で建物被害が生じ、延べ120の郵便局が窓口業務を休止いたしました。更に、9月には記録的な豪雨災害もあり、二重の災害に見舞われた中、現場の懸命な対応で復旧を進め、窓口休止の郵便局は、現在では23局まで減少しています(2024年12月20日時点)。ご自身やご家族が被災している方も多くいる中で、復興に向けご尽力いただいた社員や、ご支援いただいた関係者の皆さまに心から御礼申し上げます。当グループは今年も変わらず、被災地の復興に向けて全力で支援を行ってまいります。
昨年9月に公表しましたとおり、郵便局において、事前にお客さまのクロスセル同意をいただかないまま、貯金などの非公開金融情報を用いて保険募集を目的とした来局誘致を行うという、法令に違反する事例を確認しました。
これは、本社が郵便局の社員に対する指示を誤ったことにより、正しいクロスセルの取り扱いのルールを浸透させ、実行していく態勢を構築できていなかったことに原因があり、グループのトップとして、お客さまをはじめ関係の皆さまに深くおわび申し上げます。
このような法令違反を二度と起こさないよう再発防止策を徹底し、お客さまに郵便局を安心してご利用いただける態勢の構築に、グループ全体で取り組んでまいります。
昨年5月、当グループの中期経営計画の見直しを実施し、「JP ビジョン2025+(プラス)」として公表しました。昨今の事業環境の急激な変化等により、当グループのコアビジネスの利益は減少傾向が継続しており、グループ全体が一体となって直面する課題を克服し、「成長ステージへの転換」を実現するための道標とすべく策定したものです。
この見直しにおける目標を実現するための柱として、①収益力の強化、②人材への投資によるEX(従業員体験価値)の向上、③DXの推進等によるUX(ユーザー体験価値)の向上の3つを揚げ、重点的に取り組んでまいりました。
①収益力の強化は、コアビジネスにおける商品・サービスの充実や物流、不動産分野など成長分野への重点資源配分を行うこととしています。不動産事業では、昨年7月、旧大阪中央郵便局を開発したJPタワー大阪内に商業施設「KITTE大阪」がグランドオープンし、大きな話題となりました。
②人材への投資によるEXの向上については、社外で新しい経験・知見を培った当グループの退職者を対象とした「カムバック採用制度」、国内最大規模の社員ネットワークを活用した「リファラル採用制度」を導入いたしました。
③DXの推進等によるUXの向上については、グループ共通IDである「ゆうID」のサービスを開始し、併せて、「郵便局アプリ」の機能拡充として、かんぽ生命の「かんぽマイページ」との連携や、金融相談窓口の予約機能、一部の自動車保険・自賠責保険のお申込み機能を追加しました。
さらに、「郵便局アプリ」や「ゆうID」を軸としたサービス提供によるお客さま体験価値向上の取り組みとして、グループ独自のポイントサービス「ゆうゆうポイント」の提供を開始したところです。
本年は、「JP ビジョン2025+」の最終年度を迎える年です。見直し後の計画においても、当グループがお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指すことに変わりありません。この実現に向けた取り組みがグループの持続的な成長につながることはもちろん、持続可能な社会の実現、ひいては日本の未来を支えることにもつながるものと信じております。
日本郵政グループの最大の財産は、郵便局ネットワークとそこで働く社員の皆さんです。皆さんが安心して働き続けられる制度・職場づくりのために、我々経営陣が何をすべきか、これからもできる限り現場におうかがいし、お客さまや社員の皆さんと目線を合わせていきたいと考えています。
2025年の干支の「巳」は脱皮する姿から、「変化」や「成長」を象徴しています。グループ全社員が一丸となって、今日より一歩進んだ明日を迎えられるよう、グループの未来を切り拓いてまいります。
本年が皆さまにとって、幸多き一年になることを祈念して、新年の挨拶とさせていただきます。本年もよろしくお願い申し上げます。
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