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2025年01月20日 第7284号

【主な記事】

通常国会に法案提出
国定勇人衆議院議員 郵活連事務局次長 
郵政見直しは自民公約


 自民党の「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(郵活連)は、昨年の通常国会に議員立法として郵政民営化法改正案を提出することを目指したが、「政治と金」をめぐる議論の影響で断念せざるを得なかった。昨年9月に石破茂氏が自民党総裁に就任、郵政事業に関する特命委員会委員長を務める森山裕衆議院議員が幹事長に就き、自民党の公約に民営化法改正が盛り込まれた。郵活連は1月24日に召集される通常国会に改めて法案提出を目指すという。郵活連事務局次長の国定勇人衆議院議員に今後の見通しを聞いた。
 
■郵政民営化法の改正案は現在どのような状況になっているのでしょうか。
 郵活連は、昨年の通常国会で郵政民営化法改正を実現することを目標に動いていました。昨年4月に郵活連の総会が開かれ、郵政民営化の枠組みを今の環境変化に対応した形で軌道修正していくために、必要な法改正をする方針と改正のポイントが示されました。その方針は基本的に了承され、山口俊一会長に一任することになりました。
 ところが、いわゆる「政治と金」の問題が国会の中心的なテーマになる中で、通常国会での法案提出は断念せざるを得ませんでした。もちろん、私たちもそのチャンスを逃したからといって、諦めてしまったわけではありません。夏に行われる参議院議員選挙までに、議員立法を成立させるという気持ちに全く変わりはありません。
 ただ、郵活連の総会で採択された素案については、その後若干の修正が必要になりました。総会後、自民党内で手続きに入る前の様々な調整作業の中で、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険に対する上乗せ規制の緩和、また日本郵政と日本郵便の合併について懸念の声が出たことに鑑み、改めて腰を据えて検討することになりました。
 現行の郵政民営化法では、郵便貯金銀行と郵便保険会社に「他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならない」との規制がかけられていますが、改正の当初素案では「日本郵政がそれぞれの会社の2分の1以上を処分した日以後には、この規制を削除する」となっていました。これについては、当初の素案を見直し、「上乗せ規制の緩和について検討する」という表現にとどめました。
 また、日本郵政と日本郵便の合併については、当初素案では2年後を目途に合併することになっていましたが、これについても「日本郵政と日本郵便の合併について積極的に検討する」という表現にとどめました。
■1月24日に召集される通常国会での法案提出を目指すということですね。
 その通りです。そのためには自民党の党内手続きに加え、友党の公明党はもとより、幅広く各党からの賛同を頂く必要があります。
■自民党の党内手続きはどのように進むのでしょうか。
 おそらく特命委員会と総務部会の合同会議において法案審査、議決が行われることになります。この合同委員会で賛同が得られれば、政調審議会、総務会へと審査が進み、いずれも了承を得られれば、党内の手続きは完了します。ただし、この過程での議論で様々な意見が出る可能性もあります。
■昨年10月の総選挙で自民党が示した公約(総合政策集2024)には、郵政民営化法の改正が盛り込まれました。
 民営化法改正をやり遂げるという強い意志が示されたということだと思います。郵活連が、どれほど要望しても公約には書き込めません。特命委員会、総務部会で発議され、政調審議会、総務会を通って、初めて公約に盛り込まれます。また、幹事長と選挙対策委員長の理解がなければ公約には書き込めません。森山委員長が幹事長に就任したことが大きかったと思います。
■金融2社の上乗せ規制の緩和と、日本郵政と日本郵便の合併以外は、当初の素案の考え方通りに「総合政策集」にも書き込まれたということですか。
 「総合政策集」には「郵政事業を取り巻く環境の変化に対応するため、郵便局による公共サービスを含む公的サービスの提供の本来業務化、郵便局ネットワーク維持のための新たな財政上の措置の創設」と明確に書き込まれました。
 地域に住む住民は、郵政三事業のサービス向上よりも、むしろ公的サービスにおいて郵便局が果たす役割に大きな期待を抱いています。
 私は、郵政は郵便、貯金、保険の三事業に公的サービスを加えた四事業化を目指すべきだと思います。郵便局の公的な地位が法的に認められれば、郵便局の維持に対して、政府が財政支援する正当性が認められると思っています。
 また、「総合政策集」は「ユニバーサルサービスの安定的提供を確保しつつ、少子高齢化・都市への人口集中等の中で、マイナンバーカードの有効活用、自治体窓口業務の委託による行政サービスの補完や、オンライン診療、買い物支援等の生活を支えるサービスの提供など郵便局の公的な役割を拡充し、地域の活性化と地方創生に取り組みます」と謳っています。
■「新たな財政上の措置」についての異論はないということですか。
 もちろん、財務省との調整はこれから必要になってくると思います。(2面につづく)


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