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2025年01月27日 第7285号

【主な記事】

観光促進、来訪を誘致
NFT活用石見銀山エリアで実験

石見銀山エリアの街並み


 一般社団法人石見銀山みらいコンソーシアム(島根県大田市/松場大吉代表理事「みらいコンソ」)、日本郵政、日本郵便、大田市(楫野弘和市長)は、2007年に世界遺産に登録された石見銀山エリア(島根県大田市大森町)で、NFT(Non―Fungible Token《非代替性トークン》)を活用した観光体験の向上や来訪誘致、地域と関わり続けられる仕組みの構築に向けた実証実験に着手した。


 石見銀山エリアは、銀鉱山の歴史だけでなく、その歴史的町並みや美しい自然、豊かな地域文化を楽しむことができる地域。デジタルデータに唯一性を付与する技術であるNFTは、これまでアートの分野で活用されてきたが、近年では地方創生に用いられる事例が目立ってきている。
 今回のNFT活用は、石見銀山エリア内外をより一層楽しめる体験の提供や来訪誘致を行うのが目的で、主に観光客向けにNFT配布や特典付与、情報配信を実施する。来訪者が同エリアと関わり続けられる仕組みの構築を図っていく。
 実証実験により、石見銀山エリアデータベースの構築を行う。これにより期待されている効果は以下の3点。①来訪誘致=NFTの特典や、取得者向けの地域情報の発信で、地域への来訪を誘致②周遊性向上=NFTの取得を通じ、エリア内の周遊性や消費単価、地域収益を向上③ロイヤリティ・観光データベース構築=NFT配布状況データの蓄積により、NFT取得数に応じた特別な体験を提供。
 実証実験は1月18、19日の両日、広島市で開催の「しまねふるさとフェア2025」で行われた。島根県大田市から出展する石見銀山世界遺産センターと道の駅ロード銀山のブースで、石見銀山お招きNFTを配布した。NFTのデザインには、島根県大田市のマスコットキャラクター「らとちゃん」や、島根県在住の高校生で、パラアートで活躍している重谷一甫さん作のデザインを使用した。NFT取得者には、石見銀山エリアに関する新規イベント情報や同エリアに来訪した際の域内施設割引・地域割引券などの特典を提供した。
 また、3月中旬には、石見銀山デジタルスタンプラリーで実証実験を行う。石見銀山エリアの観光施設や店舗、郵便局の窓口などに、デジタルスタンプ(NFT)を受け取れる二次元コードを設置する。来訪者が二次元コードを読み取ると、専用サイトの地図台帳にデジタルスタンプを記帳する仕組み。台帳には、対象施設の一覧を表示してあり、記帳されたNFTの取得数に応じ、地域内外で得られる特典の提供を準備している。
 江戸時代中頃に開発された代官所直営の坑道である龍源寺間歩(りゅうがんじまぶ)を核とする「銀山エリア」、世界遺産センターの「センターエリア」、石見銀山大森郵便局や石見銀山資料館などがある「町並みエリア」の3つのエリアそれぞれの施設を巡る動きを後押しする。
 対象となる施設の選定や特典などの企画は、地域内の郵便局と地域事務局が選定し、各事業者と調整を行う。
 日本郵政グループは、社会課題に取り組む企業や地方自治体などに社員を派遣しており、共同で新規事業創出に取り組む「ローカル共創イニシアティブ」施策の一環として、今回の実証実験の主体のひとつである、みらいコンソに2024年4月1日から社員を派遣している。
 今回の実証実験の結果分析と並行し、石見銀山エリアでの二拠点居住者などの地域滞在証明に加え、地域事業者と連携したサービス提供の実証実験や、日本郵政グループの各事業と連動した取り組み、郵便局が関係性を築いている他地域への展開も検討していく。
 実証実験で配布するNFTは、それぞれ二次元コードを読み取り後、日本郵便のLINE公式アカウントを友だち追加すると取得が可能。同アカウントのトーク画面で、取得したNFTと地域からの情報発信の確認が行える。


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