「通信文化新報」特集記事詳細
2025年02月03日 第7286号
【主な記事】交付金は3027億円
日本郵便へ 前年度より177億円増
動物ゆうパック 引き受けを終了
第96回情報通信行政・郵政行政審議会(相田仁会長)郵政行政分科会が1月20日、開かれた。来年度の郵便局ネットワーク維持の支援のための交付金・拠出金の金額や、日本郵便から申請があった生き物の配送取り扱いの変更(内国郵便約款の変更)について審査を行い、「申請通りの認可が適当」という結論を得た。
日本郵便が金融2社から受け取る交付金は前年度比177億円増の約3207億円。生き物の取り扱いは4月1日(予定)からは、危険のない魚介類と昆虫類に限られることになった。
不可欠な費用4515億円と事務費の内訳は、ゆうちょ銀行が約2631億円(前年度比164億円増)、かんぽ生命保険が約577億円(前年度比14億円増)。郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)の事務手数料が0.8億円。日本郵便に係る金額は1309億円で前年度比で約153億円増加した。
日本郵便の交付金は、前年度比177億円増となったが、増加の要因は、郵便窓口に関する算定方法(人件費等の按分の仕方)について、日本郵便に関する部分だけ実態に即した内容に変更したことや、人件費の上昇(直営局約2万局)、簡易郵便局(約4000局)への委託手数料の増加がある。
日本郵便の人件費と賃借料・工事費、郵便局の維持費の一部の算定方法について、日本郵政と日本郵便から「郵便物数の減少等を踏まえ、より郵便局ネットワークの利用実態を踏まえたものとなるよう検討してもらいたい」という要望があったため来年度から変更することとになった。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険については変更はない。
日本郵便の算定方法は、これまで15歳以上の人口を基にしていたが、来年度は郵便の利用単位数(18歳以上の人口+事業所数)×郵便物の増減とした。郵便物数は減少しているが、人口は郵便物の減少程減少していないことから、実態が反映されていないというのが変更の理由。
法人数でなく事業所数としたのは、法人数にすると本社の数しかカウントされないため、利用実態に合わせた。18歳以上としたのは、成人人口の方がより利用実態に近いという理由。
15歳以上の人口は1億1017万7000人。今回の見直しで使った数値は、18歳以上の人口は1億692万8000人、事業所数は528万7000人。郵便物の増減率はマイナス21.16%(2017年度と2023年度の郵便物数の比較)。
算定方法について総務省では「郵便の利用は減っているが、人口だけを使うとそれが反映されない。実態の把握に適切かどうか、今後の利用環境や実態の推移を見ながら、審議会にも相談したい」としている。
生き物の取り扱いに関しては、動物の愛護と管理に関する法律を所管する環境省に確認を行ったところ、「一般論として、温度管理や給餌などが行われない環境で愛護動物を輸送することは結果的に虐待と司法が判断する可能性があり、この場合、当該輸送した者が 罪に問われる可能性もある」との説明があったことから昨年12月25日、約款の変更を申請した。
これまでは、人に危害を与えない小型の鳥(近距離)や爬虫類の差し出しができたが、改定された約款施行後(4月1日)は、魚介類と昆虫のみとなる。実態としては、迷いバトの輸送が年間で数千件ある程度で、他の事例はないという。動物専門の配送業者もあり、影響は軽微。郵便約款変更のほか、ゆうパックやゆうパケット、ゆうメールの約款も変更になる。
▽交付金・拠出金額
日本郵便1308億5993万2716円、ゆうちょ銀行2630億7948万524円、かんぽ生命保険576億6221万3524円
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