「通信文化新報」特集記事詳細
2025年02月17日 第7288・7289合併号
【主な記事】
「物流の課題解決は社会的大義」
増田日本郵政社長ヤマト運輸提訴で
協議の門戸は開いている
日本郵政の増田寛也社長は2月5日、東京・大手町のサンケイホールで開催された定例会見で、ヤマト運輸との係争関係について、「先行したDM便は予定通り移管しているが、クロネコゆうパケットへの移管についてもヤマト運輸から話があれば、いつでも協議の門戸は開いている」との見解を述べた。
配達協業の見直しを申し出たヤマト運輸への提訴については、「2024年問題、CO넘の削減など社会的大義の合意の元で協業の話を進めてきた。物流各社が協力することはこれからも必要だ。今後ともヤマト運輸と社会的大義を守るために協業をしていくスタンスに変わりはない」と語ったうえで、「本来の協業では今月から全量クロネコゆうパケットに移るはずだった。ネコポスとクロネコゆうパケットとの並立でお客さまの利便性を損なわないようオペレーションをしっかりとし、誠実に対応していきたい。先行したDM便は予定通り移管しているが、クロネコゆうパケットへの移管についてもヤマト運輸から話があれば、いつでも協議の門戸は開いている。ヤマト運輸は履行の義務がないとするが、そういった基本合意に反する部分の法的責任は司法の場で解決するしかないと思っている」と述べた。
さらに、「物流各社は激しい競争になっており、各社とも個別の事情はあるが、ドライバーの確保やCO넘の削減などは物流業界全体が直面している問題だ。協力できるところはまだまだある。社会的大義を果たすためにも、各社が個別の問題を乗り越える努力が必要。信頼関係を再構築するのは大変だが、当初はヤマト運輸側からの申し出から始まった。今後の展開がどうあっても、真摯に対応していく」と語った。
「昨年10月に郵便料金改定をしたが、その影響は」との質問には、「年賀状の影響を見ると、減少幅は想定内だった。しかし、企業による年賀状の差出しやこれまで出していた世代が減少したことが影響し、厳しい状況になった」と述べた。
ゆうパックの委託業者に対する違約金問題に関して、下請法違反で行政指導を受けたことを把握した時期についての問いに対しては、「把握したのは昨年の12月下旬。それまでは日本郵便で対応をしていたが、情報共有が十分ではなかった」と回答したうえで、「協力会社とは対等のパートナーとしての関係を築いていかなければならない。問題となった点はきちんと早く是正をすることが必要」と話した。また「違約金の原因となる誤配やタバコ臭、遅配などのクレームを無くすために何が必要かを最優先で考える必要がある。協力会社の意見もよく聞くのが大切」と述べた。
他に不当な請求があったかどうかの質問には、「現在は調査中の段階。委託業者から郵便局を介さずに直接日本郵便本社に申し出てもらうようにしている」と説明した。「違約金制度の目的は、お客さまにきちんとした品質で荷物をお届けすることであり、品質が保てない場合にその改善を図るのもひとつの方法。お客さまにとって不快なことが起きない方法は何がベストかを考えていく」と語った。
新機能を追加 郵便局アプリ
日本郵便は、「郵便局アプリ」への新機能追加を行う。新機能は2月10日から利用できるようになった。増田寛也社長が2月5日に定例会見で発表した。
2023年10月にサービスを開始して以来、これまでにも金融相談予約機能やかんぽマイページ登録との連携機能、日本郵政グループ独自のポイントサービス「ゆうゆうポイント」の来局ポイント取得機能など、さまざまな機能を追加してきた。
今回は、より便利に郵便局のサービスを利用してもらうために、主に郵便・物流に関する機能を3つ追加した。
一つ目は「ゆうパックのお届け通知機能」の追加で、プッシュ通知により確認できる。配達予告時に受け取り日時や場所を変更できるほか、不在持戻通知で再配達の依頼が可能になる。
二つ目は「ゆうパックの発送場所」の追加で、郵便局アプリ内の「カードで事前決済」により、全国約5500箇所の宅配便ロッカー「PUDOステーション」を選択できる。また直接集荷を申し込めるメニューを追加する。
三つ目は「e転居の申し込み機能」の追加で、郵便局アプリでe転居を申し込めるとともに、簡便にするため申請に必要な本人確認書類の読み取り機能を改善する。
郵便局アプリは昨年12月30日現在400万ダウンロードを達成しており、さらなる機能追加を予定している。増田社長は「今回の機能追加により、お客さまの生活とニーズに寄り添うツールとして活用いただき、郵便局のサービスをより身近に感じていただければ幸い」と述べた。
また、同日の定例会見では、増田社長が「ゆうゆうポイントキャンペーン」を発表した。ゆうパックの差出人と受取人が受け取れる「ゆうパックでゆうゆうポイントプレゼントキャンペーン」を3月3日から開催し、ゆうゆうポイントのコンセプトである「あなたとあの人を結びちょっとしあわせにする」の推進を図る。
キャンペーン期間中、郵便局窓口でゆうパック包装箱を購入者に二次元コード付きキャンペーンカードを先着で配布し、受取人用の二次元コード部分を切り離してゆうパックに同封して差し出し、双方が応募サイトからゆうIDでログインすることで、それぞれが25ポイント獲得できる。貯めたポイントは郵便局の限定商品との交換や家族とのシェアにも使用できる。
ゆうIDについては、「グループのDX推進に向け、ゆうIDを軸としたグループ各社との連携により、一層のサービス拡充と利便性の向上を図る」と述べた。ゆうゆうポイントは今春に郵便局窓口での買い物やゆうパックの差出しなどでもポイントを貯められるようになり、2026年度中に支払いに使えるといった、機能を拡大する予定である。
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