「通信文化新報」特集記事詳細
2025年03月24日 第7293・7294合併号
【主な記事】
全市と包括連携協定
東京都多摩北部地区連絡会須田敬造統括局長(東村山青葉)
東京支社管内で初 受託事務の開始も
東京都多摩北部地区連絡会は、2月18日をもって、所管の全ての行政(市)との包括連携協定を締結した。全市(区町村)と締結した地区連絡会は、東京支社管内では初めて。幾多の苦労を乗り越えて、締結に漕ぎ付けた多摩北部地区連絡会の須田敬造統括局長(東村山青葉)に話を聞いた。
■東京都で初めての全行政(市)との締結となりました。
多摩地域の締結は、多摩南部地区連絡会の福嶋浩之統括局長(当時)の号令のもとで締結された八王子市との包括連携協定が基点となった。多摩北部地区連絡会の統括局長を2021年に担うことになり、2年前に東京地方郵便局長会の担務変更が行われ、以来、地域貢献・地方創生担当理事として取り組んできた。
通信研究会が毎年研究発表をしており、そこに担当理事として出席することになった。研究発表を行った滋賀大学経済学部の横山幸司教授・社会連携センター長は、地方自治体の支所機能を、地域に点在している郵便局に移管する案を提唱していた。それを聞いた時に、非常に腑に落ちるものがあった。これが転機となり、自分でも本腰を入れて調べることにした。東京都ではほとんどの地域で包括連携協定が締結されていないのが現状だが、締結済みのところは、都市部ではなく、住宅街において少しずつ締結されているばかりだ。
郵便・貯金・保険の3事業に、支所機能を受託していく、すなわち、地方公共団体から事務を受託することによって、一定の収益を稼得していくことは、これからの時代に無くてはならないもの、併せて、郵便局だからこそできることだと思っていた。そうとはいえ、郵便局には元々「地域に貢献・奉仕する」という精神があり、そういう考え方の中で、様々な地域活動に取り組んできた。そこを収益源‖ビジネスに結び付けていくのは、果たして良いのだろうかという疑問は私の中にずっとあった。
一方、持続的に事業を継続するためには、一定の収益が無ければ成り立たないという会社の理論がある。この点に関しては、私としても同意するところがあった。ただ、まったくの無償で地域のために様々な取り組みをしている郵便局の誇れる姿があり、それを存続したいとも思っている。その住み分けをどのように行っていくのかを徹底して考えた。そのうえで、包括連携協定をまずは締結していくというところからスタートしたいと思った。
■包括連携協定の有する意義はどのようなものでしょうか。
基本的に、包括連携協定というのは、イコールビジネスではなくて、地方公共団体から、こんなことはできないか、こういうことは可能か、という要望を受けたうえで、基本的には無償で郵便局において出来ることを引き受けるという性格のものだと思う。
包括連携協定の連携事項を決めるに当たって、地方公共団体の事務方と定期的に打ち合わせをしており、その中で要望を受けたり、郵便局から提案をしたりする中で、これは無償でできるが、これはビジネスとして提案させていただきたいという話し合いを行っている。
このため、そういうところから、スタートすべきだと考えている。そうであれば、せめて自らの地区連絡会内の行政(市)とは、まず包括連携協定を結び、そこから始動するのが良いだろうという考えから、残りの任期2年のうちに、地区連絡会内のすべての行政(市)と締結したいということを発信し続けた。
■地区連絡会内に単独マネジメント局がない東大和市とは、今年2月18日に締結を果たしました。
エリアマネジメント局の地方公共団体担当局長だけの力で実現するのはなかなか難しい。地域的な繋がりは、単独マネジメント局の力も大きいため、四半期に1回開催される、西東京グループのフロントライン協議会の中で、単独マネジメント局に要請したものだった。多摩北部地区連絡会の場合には、部会長全員、単独マネジメント局からは、局長、総務部長、窓口営業部長に参加してもらい、大体毎回40人ほどの参加者で開催し、様々な情報交換を行った。そういう繋がりが大きかったと思う。
一番苦労した、単独マネジメント局が存在しない、東大和市については、年初に東村山で剣道大会が開催された時にお会いした、和地ひとみ市長に直接お話をした。旧知の議員の先生に援護射撃をしていただいたことも幸いだった。
その結果、任期間近になって、(最後の)東大和市との包括連携協定がようやく締結された。であるから、まだまだスタートラインに立っただけなのだと思う。ひとまず、自分としてやれることはやったという達成感はある。それぞれの行政(市)の中によって、ニーズが異なるため、それに応えられるものが出来れば良いと考えている。
■今後必要になるのはどんなことでしょうか。
直近では、地元の東村山市の渡部尚市長が、東京都の市区長会の会長であるため、郵政の有識者懇談会委員への就任要請を行うために訪問した。その際、戸籍のフリガナの事務が事務方の負担になっていると聞き、JPコミュニケーションズと郵便局で受託できることをお伝えした。
事務方や市長と、そういう風に話をしていく中で、郵便局がどのようなお手伝いをできるか、事務手数料をいただいて受託をすることができる事項を探っていくことが、恐らくこれから必要なのだろうと思う。そのきっかけとして、包括連携協定が締結できたということは大きかったと考えている。自治体との連携、地方創生、地域貢献と、それぞれ繋がりがある中で、いずれにも携わることになり、「自分だったらこうできる」という計画性を持って取り組んだ結果だと思う。
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