「通信文化新報」特集記事詳細
2025年04月07日 第7295号
【主な記事】
駅業務と一体運営
栃木県さくら市 蒲須坂駅郵便局
栃木県さくら市の蒲須坂郵便局が3月24日、JR宇都宮線の蒲須坂駅の敷地内に新築された新局舎に移転し、局名を「蒲須坂駅郵便局」(木村良行局長)として、郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体的な運営を開始した。無人駅となっていた蒲須坂駅の老朽化による建て替えに合わせて、蒲須坂郵便局を駅の敷地内に新築移転したもので、JR東日本が駅の窓口業務を郵便局に委託し、郵便局で窓口業務に加えて、新たに乗車券の精算や運賃等の案内といった駅窓口業務を行う。
関東支社(丸山元彦支社長)とJR東日本大宮支社(石井剛史支社長)が昨年2月21日に締結した「JR東日本、日本郵政および日本郵便の社会課題の解決に向けた連携強化に関する協定書」に基づいた、郵便局・駅の地域コミュニティ拠点化の具体的取り組みとして進めてきた。当日は蒲須坂駅郵便局のオープンを前に、開局式が執り行われた。
JR東日本と、駅と局舎の一体運営は、2020年の江見駅郵便局(千葉県)が第1号、昨年7月の安房勝山駅郵便局(千葉県)が第2号。関東では蒲須坂駅郵便局が3例目となる。丸山支社長は蒲須坂郵便局の歴史を紐解くとともに「非常にお客さまからも好評を得ていて、地域の皆さんといろいろイベント等をやっている。この蒲須坂でも、少しでも役に立てるようやっていきたい」とあいさつ。
石井支社長は「蒲須坂駅で一体運営を行うことは、私たちにとっても大変ありがたくうれしいこと。蒲須坂駅郵便局が地域にとって利用しやすく、愛着ある地域の拠点となるよう、様々な努力をしていく」と話した。
来賓祝辞では、さくら市の花塚隆志市長が「日本郵便、JR東日本という2つの大きな組織が、さくら市の蒲須坂で1つになり、新しい時が始まった。局舎内に入ると木の匂いがして感激している。この地域の皆さんは地域づくりへの想いがとても深い。今後、駅周辺も期待が持てる地域に一気に変わっていくと思う。その中心となるのが蒲須坂駅郵便局。地域のために尽くしていきたい」と激励した。
開局式には来賓として、栃木県東部地区連絡会の三森久資統括局長(両郷)、関東支社の石川秀樹経営管理部長、北野谷伸一JR東日本宇都宮統括センター所長・宇都宮駅長、日本画家の窪井裕美さん、宇都宮東郵便局の古閑克也局長、さくら市の小竹欣男副市長、橋本啓二教育長、さくら市議会の笹沼昭司議長、矢澤功議員、福田克之議員、柳勝三蒲須坂行政区長、手塚源三蒲須坂駅名誉駅長、飯村和幸JR東日本ステーションサービス宇都宮駅務管区長、栃木県東部地区連絡会の新江伸一副統括局長(黒羽前田)、磯飛光利副統括局長(大田原野崎)、鈴木貴司副統括局長(泉)、塩谷部会の菊地由美子部会長(片岡)、関東支社の茂木幸一栃木県地方本部長、地元・アップル保育園の福田和憲園長らが招かれた。
続いて、さくら市観光PR大使コンタ君、宇都宮駅マスコットキャラクターみやゴロくん、ぽすくまが見守る中、蒲須坂駅郵便局への蒲須坂駅の委嘱が執り行われ、石井支社長から木村局長へ蒲須坂駅長が委嘱された。
委嘱状と帽子を渡された木村局長は「身の引き締まる思い。これからも地域のために、蒲須坂駅郵便局長として一生懸命やっていく」と決意を述べ、帽子をかぶった木村局長のリードで、全員で「蒲須坂駅郵便局、出発進行!」の指差喚呼を行った。
関東地方郵便局長会の伊藤祥紀副会長(佐貫駅前)、郵政福祉関東地方本部の常木治彦本部長からの祝電披露に続いてテープカットが行われ、開局式は終了。
続いて、ラッピングポストの除幕式が行われた。市制20周年を迎えたさくら市から今回、蒲須坂駅郵便局の開局の記念にラッピングポストが寄贈された。デザインを担当したさくら市出身の日本画家・窪井裕美さん、花塚市長、宇都宮東局の古閑局長の3人が除幕。ポストが姿を表すと、大きな拍手に包まれた。
ポストは窪井さんが、さくら市のために思いを込めて日本画を描いた。窪井さんは「さくら市で過ごした20年、春になると駅のホームから見える青い空と桜に心が浮き立つような、ワクワクした気持ちになったことを思い出す。ポストのデザインは初めての経験。なかなか日本画を見る機会がない人にも、その魅力を味わえるよう、日本画の絵の具の中でも古くから重んじられてきた青色を基調に、さくら市の花である桜と、手紙を届ける白い鳩を描いた。地域の皆さんに長く親しんでもらえたら嬉しい」と話した。
続いて、フレーム切手「蒲須坂駅郵便局開局記念」の贈呈式が行われ、丸山支社長から石井大宮支社長へ、三森統括局長から花塚市長へ贈呈された。フレーム切手は1シート110円×5枚で1350円。398シートを発行予定。
また、蒲須坂駅前郵便局の風景印も新たにリリースされた。意匠は、郵便局と駅が一体となった駅局舎と後方にそびえる那須連山、さくら市の花「さくら」を主題とし、特産品の小麦とともに線路が伸びていくイメージを添えたもの。同じく、JR蒲須坂駅の駅スタンプもリニューアル。新駅局舎とE131系車両の斬新なデザインとなっている。
9時のオープンに合わせてカウントダウンが行われて号砲が鳴り響く中、柳行政区長の働き掛けで、アップル保育園の園児たちの元気な祝い太鼓の演奏が披露された。
オープン前から多くの人が列を作り、オープンと同時に切手を買い求める人や記念押印を求める人で局内は初日から賑わった。
郵便・貯金・保険・物販業務のほか、駅窓口業務としてSuicaへのチャージ、精算、列車の発車時刻および運賃の案内業務などを取り扱う。郵便・物販が平日9~17時まで、貯金・保険と駅窓口業務が平日9~16時まで。ATMは平日9~17時30分、土曜9~12時30分まで。日曜・休日は取り扱わない。また、普通乗車券・定期券の販売業務は取り扱わないほか、郵便局は蒲須坂駅の改札外施設となる。
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