「通信文化新報」特集記事詳細
2025年04月21日 第7297号
【主な記事】
DXで収益力向上へ
日本郵政 日本郵便 モニタリングレポート
総務省
総務省は3月28日、「日本郵政・日本郵便モニタリングレポート2024」を公表した。2024年度の事業計画の認可時に総務省が示した取り組むべき要望事項について、その進捗状況と評価についてまとめた。価格交渉・価格転嫁は引き続き改善が求められる状況、国民・利用者の信頼確保は、改善策をグループ横断的に取り組む必要があるという評価。
日本郵政に対しての要望事項は「デジタル化の進展を踏まえたグループ運営」「新たな成長分野の構築」など、日本郵便に対しては「収益の抜本的な改善策、複数年の収支見通しの報告」「サービス提供条件の見直し、抜本的なDXによる収益力向上」「適正な価格交渉・価格転嫁」「郵便局ネットワークの活用と地方活性化」「保有データの活用の推進」「国民・利用者の信頼確保、コンプライアンスの徹底」など多岐にわたっている。
要望事項に対する評価について、DXの推進では「郵便局アプリでは一定の成果が見られるが、データの共有やどのようなことができるのかについてもっと発信してもらいたいという意見があったことや、成長のために価値あるサービスの提供が求められることから、DX推進やデータ活用の取り組みは重要」としており、モニタリングは継続していくという。
信頼の確保については、「かんぽ生命保険の募集管理体制や非公開金融情報の不適切な利用を受けた対応については、改善策に一定の成果が見られるが、再発防止に向けてグループ横断的に取り組む必要がある」として、引き続きモニタリングを行う。
日本郵便の適正な価格交渉・価格転嫁については、「委託への違約金の運用に関する全国調査を行ったところ、運用を見直していくべき点が判明したこと、価格交渉・価格転嫁に関する中小企業庁によるフォローアップ調査の結果(2025年1月公表)では、必ずしも委託先企業からの評価は好転していないこと等を踏まえると、引き続き改善が求められる状況にある」と評価した。
郵政モニタリング会合の議論の中では「価格転嫁等に関して問題がある事案が発生した場合の詳細な経緯を説明すべき、違約金に係る問題はコンプライアンス上の問題として粛々と適正化を進めるべき、地域毎の事情も異なる中、細かくサポートする仕組みが求められる」という意見があったという。
モニタリングレポートの作成は「日本郵政と日本郵便の現状や課題、望ましい取り組みの方向性等について、総務省の認識を明確化することを通じ、同省の監督機能の強化や両社に対する監督の透明性の向上を図ると共に、日本郵政グループの持続的な成長に向けた総務省と日本郵政グループの対話のツールとして活用されること」を目的としている。
進捗状況や評価は「郵政モニタリング会合」で、関係者からのヒアリングや構成員の議論を基にまとめられた。
>戻る
