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2025年07月07日 第7308号

【主な記事】

全国郵便局長会
勝又一明会長
地域の中で存在感を示そう 郵便局は最後に残る対面の拠点
 


 5月25日に開催された全国郵便局長会通常総会で勝又一明副会長(東海地方郵便局長会会長)が新会長に就任した。勝又会長は、我が国の明るい未来のためには、地域から頼られる郵便局長となるという基本に立ち返ることが必要だとし、会員一人ひとりに寄り添い、会員同士のコミュニケーションの深化を図り、さらなる組織強化に取り組むと強調する。
 
■5月に全国郵便局長会会長に就任されました。まず就任の抱負をお願いいたします。
 私は、静岡県東駿河地区の裾野岩波郵便局の局長を務めてきました。局舎は、現在トヨタ自動車が建設している未来都市「Woven City(ウーブンシティ)」の目と鼻の先にあります。
 私は郵政事業を愛する気持ちは誰にも負けないと思っています。次の世代に繋げるために、今私たちが何をすべきなのか、それを考えてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
 郵政事業、郵便局を守るためには、時と場合によっては変えていくことを決断する必要があると思っています。その際は、勇気を持って変えるべきことは変え、明るい未来を目指していきたいと思っています。
 明るい未来とするためには、地域から頼られる郵便局長となるという基本に立ち返ることが必要です。私は、地域の中に入っていく、地域の中で活躍をしていく郵便局長というのが基本だと思っています。
■郵便局長がそれぞれの地域の実情を把握するために心がけるべきことについてのお考えをお聞かせください。
 会則第3条に「会員の団結により、郵政事業及び地域社会の発展に寄与するとともに会員の勤務条件の向上を図る」とあるように、郵便局長は地域に密着しなければなりません。
 しかし、地域において局長の顔が見えにくくなっていることが心配です。局長は地域の中で存在感を示すべきだと思います。
 私自身も地域と密着した郵便局長であるため、様々な工夫をしてきましたが、地域にお住まいの方と様々な機会にお会いして、コミュニケーションを図ることが一番大切だと思っています。
 コロナ禍以降、地域にお住まいの方とのコミュニケーションが不足しがちであると感じていますので、その向上に取り組んでいきたいと思っています。
 6月下旬に能登半島地震、奥能登豪雨の被災地に行ってまいりました。移動型郵便局でお客様にサービスを提供しているというところもありますが、「週に2日でも1日でもいいから、郵便局を開けてほしい」という地域のお客様の切実な声があると聞き、郵便局への地域の期待の大きさを改めて実感しました。
 具体的にどのように地域貢献、地域活動に取り組んでいけばいいか悩んでいる局長もいるので、地域活動の実践集のようなものを作成して、活用してもらうことも検討していきたいと考えています。
■少子高齢化、過疎化が進行する中で郵便局が果たすべき役割についてのお考えをお聞かせください。
 6月13日に閣議決定された「地方創生2・0基本構想」において、郵便局の利活用を盛り込んでいただきました。
 郵便局以外の金融機関が撤退し、郵便局だけが残る地域も多くなっていますので、郵便局が郵便、貯金、保険といったサービス以外にも行政サービスや買い物支援、オンライン診療のための拠点の提供など、先に国会に提出された郵政民営化法等の一部を改正する法律案にも記載していただいていますが、「郵便局ネットワークの活用による地域住民の生活の支援」は、非常に大切なことだと思っています。
 包括連携協定の締結を手がかりに行政事務の包括受託等に取り組んでいるところですが、地方公共団体から郵便局へ委託する際の手数料など金銭的な問題で地公体側が断念する場合が多いと聞いています。この点についても、郵政民営化法等の一部を改正する法律案に盛り込まれている「地域貢献基金」や各種補助金の活用で解決が図られると思っています。
 重要なことは、採算性を維持しつつ、公益性を確保していくことだと思っていますので、まず地公体事務の包括受託、オンライン診療や買い物支援の拠点化を推進する必要があると思っています。こうした取り組みは郵便局への来客者拡大にもつながると思います。
 郵便局は地域に残る最後の対面の拠点ですので、これを最大限活用することが大事です。地域にお住まいの方がデジタル社会で取り残されないためにお手伝いすることも、郵便局の使命の一つだと思います。
■三事業の一体性の低下など郵政民営化による変化をどのように認識されていますか。
 平成19(2007)年10月の民営分社化以降、本来一体的であるべき郵便、貯金、保険の事業が、会社が分かれたことにより、時が経るにつれ遠心力が働き、各事業間の距離が遠のいていると感じています。民営化当初は、郵政事業の民営化が世界的なトレンドでしたが、今は、我が国の少子高齢化、人口減少といった社会環境も含め、状況は一変しています。全国に張り巡らされた郵便局ネットワークは、社会生活の基盤となるインフラの一つであり、地域の人たち、特に情報弱者となりやすい高齢者の方も安心して対面で利用していただける最後の砦と言っても過言ではないと思います。
 今後、提供する商品内容は変化していくかもしれませんが、郵便、貯金、保険のサービスを一体的に郵便局の窓口で提供できる仕組みは、絶対に残していく必要があると思っています。(2面につづく)


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