「通信文化新報」特集記事詳細
2025年12月1日 第7329号
【主な記事】
林芳正総務大臣 郵便局は重要な生活インフラ
地域の持続性確保に貢献
住民サービス向上の役割も
官房長官や主要閣僚も務めた経験豊富な林芳正総務大臣。自民党総裁選では国会で継続審議中の郵政民営化法の改正も取り組みの一つに挙げた。人口減少や高齢化が進み、特に過疎地では公共交通機関減便や廃止、金融機関や自治体の支所の撤退など生活を支える基盤が崩壊しつつある。法律で過疎地の維持が義務付けられている郵便局をもっと活用することが、地域基盤の支えにもなる。ITを活用して社会基盤の整備を進めることが求められる中、国民の生活と密接にかかわる総務行政を担うトップとしての考えをテレコム記者会の共同インタビューを通して聞いた。
■少子高齢化で地方は過疎化が進んでおり、金融機関や自治体支所が撤退し、郵便局が最後の砦となっている地域も多数あります。郵便局は地域のニーズに応え、自治体事務業務の受託や買物支援、集落支援員の受託、一部の地域ではオンライン診療の本サービスも始まっています。総務省では郵便局を「コミュニティ・ハブ」として活用する実証事業を行っていますが、この事業展開の先にある郵便局の将来像について、お考えを聞かせてください。
郵便局は、全国津々浦々に設置され、地域の重要な生活インフラとして、郵便・貯金・保険の3事業のユニバーサルサービスの提供を行っています。これに加え、地域の実情やニーズに合わせた取り組みの実施を促進するため、「コミュニティ・ハブ」として郵便局を活用する実証事業を行っており、オンライン診療、買い物支援の実証などにより、郵便局の地域貢献の後押しをしているところです。
こうした取り組みを通じ、郵便局がユニバーサルサービスを確保しながら、行政サービス・住民生活支援サービスを一元的に提供する拠点となり、地域の課題を解決し、地域の持続可能性の確保に貢献する存在となることを目指しています。
■医療保険証がマイナ保険証に一本化される中で、郵便局がマイナカード申請・交付・認証のサポートを担う役割を果たせると思うのですが見解を聞かせてください。
郵便局は全国津々浦々に存在し、住民に身近な存在であるため、郵便局でマイナンバーカードの関係手続ができることで、住民の利便性が向上するものと考えています。
日本郵便では、マイナンバーカードの関係手続について、令和4年度から電子証明書の発行、更新などに係る事務の取扱いを開始し、令和5年度から交付申請の受付等の事務の取扱いを追加したところです。
これらの事務受託件数は年々増加しており、住民の負担の軽減に寄与しているところです。今後も引き続き、広く地域の需要に応じてこうした役割を果たしていくことを期待しています。
■高市内閣では「強い経済の実現」が基本方針に掲げられています。総務省では、国内のデジタルインフラの整備と合わせ、国際競争力強化ということで、そのデジタルインフラの海外展開支援などを重点施策として取り組まれています。「強い経済の実現」のためには、光ファイバー網、5Gなどの高速無線網、データセンターなどの国内デジタルインフラ整備を進めるとともに、光技術やBeyond5Gなどインフラの海外展開支援も強力に進める必要があると思いますが、今後の方策についてお考えを聞かせてください。
デジタルインフラは、社会経済活動を支える重要な基盤であり、日本成長戦略本部においても、「情報通信」は戦略分野の1つに位置づけられ、総務大臣を担当大臣として強力に取り組みを進めることとしています。
総務省としては、5月に策定した「DX・イノベーション加速化プラン」の下、通信インフラと電力インフラが高度に連携する、いわゆるワット・ビット連携によるデータセンター等の地方分散を進めるとともに、進展するAI社会を支える鍵となる「オール光ネットワーク」や「海底ケーブル」「5G」「光ファイバー」などのデジタルインフラについて国内の整備を加速させてまいります。
また、官民連携の下、先手を打って戦略的な投資を行い、研究開発から国際標準化、社会実装、グローバル市場の獲得まで、反転攻勢をかけるための一気通貫した取り組みを推進してまいります。
このような取り組みを通じて、デジタルインフラ分野における国際競争力の強化を図り、高市内閣が掲げる、大胆な「危機管理投資」による力強い経済成長の実現に貢献してまいります。
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