「通信文化新報」特集記事詳細
2025年12月15日 第7331号
【主な記事】
日本郵政 根岸社長 不動産事業を拡大
自治体との関係を強化
上乗せ規制緩和に期待
日本郵政の根岸一行社長は11月27日、本社ビルで通信文化新報などとの共同インタビューに臨んだ。2026年3月期中間決算発表において、郵便・物流セグメントの営業損益が530億円下方修正され、日本郵政の業績も下方修正されたことが背景にあることから、次期中期経営計画の検討の中身については、「まず郵便・物流の損益改善立て直しということが一丁目一番地になるのであろう」としたうえで、「収益を伸ばすという意味では、やはり不動産事業の伸びしろが大きいので、これについてより具体化したいと考えている」と述べた。
■郵政改革法案に対する期待と法案が通過した場合にグループとしてどのように対応するかお聞かせください。
元々、郵政改革法案については、政党間で2~3年間掛けて議論されていた話であり、すでに国会にも提出されている状況の中で、決まったことに対して粛々と対応していくということに尽きます。一方で、上乗せ規制については、事業を継続することを考えると、規制がない方が良いため、「ぜひお願いしたい」と会社としてお伝えしてきたのだと認識しています。
仮に上乗せ規制が撤廃されたとすると、新商品(の開発・投入)あるいは加入限度額などが自由になるので、新しいサービスについていろいろなことを考えていく余地はあると思います。もうひとつ重要な事柄は、現行法では子会社の保有禁止が定められていますが、法案が通過した場合、かんぽ生命保険は子会社を通じて新たなサービス・商品を作ることができることになる観点での自由度が増すものと期待しています。子会社のM&A等については、ゆうちょ銀行について、仮にそういったことが認められなければ、子会社という形ではなくて、緩やかな連携という形を模索することも考えられます。
仮に子会社化が認められるのであれば、より機動的に子会社を含めた形で、幅広く前向きな検討余地が出てくると思います。一方、従来から準備できる部分については、何ができるかを検討しつつ、法案成立の行方について注視してまいりたいと思います。
■先般発表された、次期中期経営計画の骨子で、共創プラットフォームを進化させて、郵便局が地域社会インフラとして機能する未来を目指すことが示されました。今後の最適配置について考えると、それはJPネットワークを変えていく中計期間の3年間となっていくのでしょうか。
郵便局の拠点を大きく変えるという話では全くありません。むしろ、今ある現行の拠点を基本としながら、自治体との関係強化あるいは地方ならではの有益なサービスを増やしていきたいと思います。骨子には「最適配置」と記しましたが、従来から同じような表現をしており、例えば都市部では建て替えをする際に、より利便性が高いところに移転するようなことを行い、近くに他の郵便局があるようなところを建て替える時に、2局を統合するようなことをやってきました。
局の配置については、従来通りであって、方針を変えるということでは全くありません。今の郵便局の基本的な配置の状況はそのままにしながら、個々に入れ替えをしたうえで、新たなニーズがあるところについて追加でサービスすることによって、従来よりもニーズが減った部分を少しでも補いたいという意味合いです。
■公的な役割を広げていくということでしょうか。
東海支社にいた時に感じましたが、自治体の首長と話し合いをする中でも、従来地域に配置していた支所や出張所の利用が少なくなっている環境下では、統廃合していかなければならないケースも出てきているため、全国にネットワークのある郵便局に対して、マイナンバーカードの更新などにおいても肩代わりしてもらいたいという要望が寄せられています。事例が積み上がってきているので、「他の地域の例はこういうことです」など、具体的な例示がしやすくなっています。丁寧に説明をして、いろいろな受託に繋げて行きたいと思っています。(2面につづく)
>戻る

