「通信文化新報」特集記事詳細
2026年08月17日 第7366・7367合併号
【主な記事】
高齢者の社会的孤立を予防
東京都西北部連絡会豊島西部会・豊島区
気楽に困り事の相談を生活支援推進員が対応
豊島千早郵便局
独居老人比率が全国最多である東京都豊島区の西部圏域で、全国初の画期的な取り組みとして、豊島区高齢者福祉課の事業「街の保健師さん~健康と暮らしの相談室」が7月27日に開催された。郵便局が地域のタッチポイントとなり、高齢者の社会的孤立予防を図る試みだ。豊島千早郵便局(渋谷諭局長)のロビーを活用することで、支援未接続高齢者との接点を増やし、相談への心理的ハードルを下げたうえで、必要に応じて地域の福祉・医療・生活支援サービスへ繋ぐことを目的としている。
豊島区西部圏域高齢者の生活支援推進員が用意したチラシには、「街の保健師さん~健康と暮らしの相談室~ 保健師と少しお話ししませんか。病院へ行くほどではないけれど、気になることや心配ごとがあれば、お気軽にお立ち寄りください。保健師が、あなたのお話をゆっくりお伺いします。ひとりで暮らしても、ひとりじゃない。この街には、あなたを想う人がいます」と記されている。取材日の7月27日をスタートに、8月17日、9月15日の9時半から11時半まで開催する。
今回の施策は豊島区の豊島区高齢者福祉課の生活支援整備体制事業の一環。豊島区西部圏域担当の高齢者の生活支援推進員である羽吹さゆりさんによれば、豊島区高齢者福祉課から委託を受けている西部圏域高齢者の生活推進員と郵便局がコラボレーションを行い、保健師として、東京医療学院大学看護学科の豊島雪絵准教授に依頼したという。
羽吹さんは、「地域包括支援センターへの相談は、よほどの事情が必要など、実はハードルが高いという印象を持っている人が多いと思います。特に独居高齢者の皆さんは悩みを抱えていても相談することが困難な事情があります。そこで、地域の高齢者の皆さんに馴染みのある郵便局の中では、相談できる可能性があるのではないかと考えたのです」と説明する。
また「暮らしの悩み事を直ぐに他人に相談するのはハードルが高いですが、病気や健康のことを相談することはハードルが低いのではないかと感じたのです。病気や健康相談から、話を繋げてその人の生活背景を知ることで、早いうちの課題解決に結びつくことができるように、高齢者の生活支援推進員やCSW(コミュニティソーシャルワーカー)、地域包括見守り担当者などと連携し高齢者に必要な支援を行うというのが本来の目的です」と趣旨を語った。
また、「この豊島西部圏域には、一人暮らしの高齢者がたくさんいらして、日々の生活を送るのに頑張っていらっしゃるわけですが、必ず何か困っていらっしゃるはずなのです。その困り事が、私たちのところに届かない状況にあります。困り事が私たちに早く届けば、健康・生活状況を支援して、その人らしい暮らしができるのではないかと考えています」と、切実な地域ニーズを解説してくれた。
保健師として依頼を受けた豊島准教授は、「独居高齢者が自ら助けを求めることは少ないのです。郵便局まで来たら、その支援の糸口が用意されているという図式です。郵便局を、支援に未接続な高齢者の接点、タッチポイントと位置付けています」と語り、地域住民が日常的に利用する身近な生活インフラであり、高齢者が自然に立ち寄ることのできる場所と郵便局を評価した。
豊島准教授は、「まちの保健室」にも言及し「健康相談という入り口は同じですが、『まちの保健室』が、健康相談・健康教育・健康づくり・個人支援であるのに対して、『街の保健師』は、タッチポイント形成・社会的孤立の早期把握・地域資源への接続・地域づくりを旨としています」と違いを明らかにした。
9時半過ぎに2人の高齢の来局者が声かけに応じて、羽吹さんと豊島准教授が対応した。羽吹さんは、世間話から始めて、利用者から最近の暮らしや気になることを聞いたうえで、地域活動や相談先を紹介した。豊島准教授は、握力測定を行い、介護予防の重要なサインとなる、社会的・身体的などのフレイルについて見立てを行った。
社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会のCSWと東京都西北部地区連絡会(福富裕人統括局長/豊島南大塚)の豊島西部会(須田薫矢部会長/豊島千川駅前)は日ごろから、「地域のために一緒に何かできることがあれば」と連携を模索していた。
豊島区高齢者福祉課の施策の一環として、地域住民の健康相談を実施する中で、郵便局活用の申し出があったことが発端となった。
須田部会長と、豊島千早郵便局長の渋谷諭副部会長(貯金)が近隣にチラシのポスティングを行ったほか、局窓口での声かけも実施し、告知を徹底した。開催当日の7月27日には、西北部地区連絡会の地域貢献担当、山田静世局長(駒込駅前)、東京支社経営管理部広報室の田口桃子主任が応援に駆け付けた。
渋谷副部会長は、「豊島千早郵便局は、高齢者の来局が多く、郵便局の手続きはもとより、『これはどうしたらよいのだろうか』といった、通常の業務以外の相談を受けることもあります。そういった意味では、本日からこうした取り組みを行うことができ良かったと思います。郵便局は地域の拠点として、何でも相談できるような場所でありたいと考えています。郵便局があるから安心して暮らせるという想いを持っていただけたら」と語った。
須田部会長は、「郵便局としても、普段の業務以外に、地域の住民に『郵便局に行くと健康などの相談もできる』と思っていただくと、地域の一員として、これまで以上に認知度を高められると考えています。今回の取り組みは郵便局の間口を広げる試みだと思っていますし、郵便局があって良かったと思っていただければ幸いです」と話している。
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